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グローバルユニオン
No.25/2011
■海事労働条約
 
実行可能な権利まであと一歩

海事労働条約(船員権利章典とも呼ばれる)は、船員の雇用のあらゆる側面についての実質的で実行可能な権利を規定している。
ペニー・ハワードが報告する。


"船員権利章典"すなわち海事労働条約(MLC)が2012年に発効したら、世界の船員は新たな権利を得ることになる。この国際労働機関(ILO)条約は、広範な分野における船員の権利の最低基準の概要を定めている。
2006年に完了したこの国際条約の起草作業にはITFも参加した。関係各国は今、国内手続きと法律に基づいて実施に移すため、条約の規定を検討しているところである。2010年12月現在、10カ国が公式に批准手続きを完了し、2011年中には、さらに多数の国々が批准する予定である。
MLCは、世界の船腹量の33%を所有する30カ国が批准した日から12カ月を経過した後に発効することになっている。現在までに批准した10カ国が所有する船腹量は、すでに世界船隊の46%を占めている。
ILO労働基準局のクレオ・ドゥンビアヘンリー国際局長は、2010年8月にメキシコシティで開かれたITF大会において、MLCの批准手続きが順調に進んでいると報告した。
「過去80年以上の期間において、船員のために採択された65件以上の国際労働基準が近代化されて統合されたものが船員権利章典である」と彼女は語った。
ドゥンビアヘンリー局長は、MLCには実施のための手続き規定が組み込まれており、「牙を持った」新しいタイプの条約である、と述べている。
条約発効の見通しが立ったことを歓迎し、ITFのジョン・ウィットロー船員部長は次のように語った。「これは海運産業にとっては良いニュースだが、世界の船員150万人にとっては"素晴らしい"ニュースだ」。
ITFおよびILOは、2011年末までに30カ国がMLCを批准するものと予想している。これは、MLCの批准を完了した全ての船籍国、寄港国および船員供給国が、2012年からMLCの強制的実施を開始しなければならないことを意味している。2012年の発効後にMLCを批准した国は、その12ヵ月後から実施しなければならない。

従来の労働関係条約とMLCの相違点は、強制的に実施する規定が組み込まれているかどうかである。MLCのなかの一章(第5章)で、強制適用手続きが解説されている。寄港国検査(PSC)当局は、入港した船舶がMLCの規準を満たしていることを確認するために検査を行うが、問題点を発見した場合、その船舶を拘留する権限がPSC当局に与えられている。パリ・メモランダム協定加盟国(EU、アイスランド、ノルウェー、カナダ)は、MLCに基づく船舶検査のガイドラインの策定に取り掛かっている。労働組合、乗組員および福祉団体は、船内で問題点を発見した場合、PSC検査官に苦情を提起する権限を与えられている。
MLCの実施状況は、ITFも構成組織として重要な役割を担っている三者構成の委員会によって監視を受ける。MLCの実施または強制方法について、ある国の政府で問題が発見された場合、ITFは委員会に対して問題提起することができる。また、この委員会は、MLCを状況の変化に合致したものとするため、規定の一部を改正する権限を認められている。
条約の発効日以降は、批准国のすべての港湾に存在するあらゆる船籍国に登録された船舶が、検査の対象となる。また、基準を満たしていないと認定された船舶を拘留することが可能となる。
MLCの発効によって、新たに権利を享受することになった船員は、クルーズ客船の乗組員である。クルーズ客船に雇用されている全ての労働者が「船員」と定義されたため、彼らはMLC条約の全ての規定の適用と保護を受けることになった。唯一の例外は船内で働く芸能人グループで、彼らは船内に留まる期間が短いために除外された。
この変更によって、クルーズ客船の乗組員は新たな権利を獲得することになった。MLC条約の最低基準によって、多くのクルーズ客船の経営者は乗組員の居住設備の基準を改善しなければならない、とITFは予想している。
各船舶は、海事労働証明書および海事労働遵守宣誓書を所持することによって、MLC条約を満たさなければならない。また、寄港国検査の際に、これらの証明書を船内で提示しなければならない。
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MLCに関する詳細情報は、www.itfseafarers.org/ILOMLC.cfmでチェックして下さい。
海事労働条約(MLC)を支持している国々とは?

批准した10カ国:
バハマ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、カナダ、クロアチア、リベリア、マーシャル諸島、ノルウェー、パナマ、スペイン。

2011年末までの批准が期待されている17カ国:
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チリ、キプロス、フィンランド、フランス、ドイツ、アイボリーコースト、日本、韓国、オランダ、ロシア、スイス、トリニダード・トバゴ、英国、米国。

2012年に批准が予定されている国:スウェーデン。

批准手続きは進んでいるが、期限は未定の14カ国: ベルギー、デンマーク、ギリシャ、インド、インドネシア、マダガスカル、ナイジェリア、フィリピン、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、タンザニア、トルコ、ウクライナ。

批准の見込みのない2カ国:
メキシコ、ニュージーランド。

ITF加盟組合の報告(2010年9月)より
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海事労働条約(MLC):その機能

MLCとは、ITFとその加盟組合が勝ち取った「船員の権利章典」である。この条約は、職場における船員の基本的権利と保護を定めている。MLCは船員の権利を、次のように規定している。
■ 安全が保障された職場
■公正な雇用条件
■然るべき生活条件および労働条件
■医療、健康保護および福祉などの社会保障の適用
この条約には、包括的な実施・強制システムが組み込まれているが、このシステムを機能させるためには、船員による問題の提起・報告が必要である。
MLCが持つ船員のための重要な規定には、次のようなものが含まれる。
●船内の然るべき労働および生活条件を保証する雇用契約書。この文書は、船員および船主または船主代表者によって署名される。
月間賃金,。雇用契約書および適用される団体協約に基づき全額が支給される。
●24時間中の最大労働時間は14時間とする。7日間における最大労働時間は72時間とする。
●疾病、負傷、難破、倒産、売船などによる船員の本国送還費用は、船主が負担しなければならない。
●船員居住設備および休養施設の特定の要件には、船室の最低面積、適切な暖房、換気、衛生設備、照明および医療設備などが含まれる。
●船内および港内における医療の即応体制
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MLCに関するITFの手引き「船員権利章典」は、以下のサイトからダウンロードできます。
http://www.itfseafarers.org/publications.cfm/detail/23556
Eメールの場合は<seafarers@itf.org.uk>に請求してください。中国語、英語、フランス語、ロシア語およびスペイン語版があります。
一時上陸

アクセスの改善に希望が持てる米国の新しい法案の進捗をITFが後押し

米国における船員の一時上陸の権利が、2010年10月にオバマ大統領が署名した法案によって、相当程度改善される見込みとなっている。
米国コーストガード委任法は、米国沿岸警備隊(コーストガード)に対し、来年度107億ドルの資金を供与することを定めている。この法律は、船員が無料でターミナルを経由して、陸上の施設またはターミナルに出入りすることを許可するよう求めている。
この法律は、次のように定めている。「港湾施設は、その港湾施設にいる船舶の乗組員、パイロット、船員福祉団体代表および船員労働組織代表が、適切な時間内に、経費を個人的に負担することなく、乗船または乗船して出港するためのシステムを提供しなければならない」
ITFのウィットロー船員部長は、次のように論評した。「これは大いに歓迎すべき動向である。船員たちからも高く評価されるであろう。国際海事機構(IMO)の船舶・港湾保安コードに定められた港湾へのアクセス要件が確実に実施されるよう、その他の諸国も米国に続くことを希望する」
2001年に米国で発生した9/11同時多発テロの後、世界的に導入された保安措置のため、船員の一時上陸の権利は圧迫されていた。国際船舶港湾施設保安コード(ISPS)が導入された結果、船員は厳格な港湾保安規則の適用を受けることになった。これによって、港湾における船員の移動(公衆電話や福祉施設へのアクセスなど)は、大幅に制限された。米国の港湾においては、ISPSに基づき、ビザのない外国籍船員には一時陸上の権利が認められていなかった。
船員を一層困難に陥れているのは、ビザの要件と入国管理手続きである。乗組員の構成が多国籍化しているため、同じ船の乗組員でも国籍によって制限や処遇が異なる場合がある。つまり、乗組員の一部には一時上陸が認められ、他の仲間の乗組員は船内に残らなければならないのである。また、入管職員が異なれば法律の解釈も異なるという問題も発生している。さらに、一部の船主は問題が発生するのを避けるため、乗組員に一時上陸を一切与えないケースもある。
このような厳格な新保安規則の実施によって、船員が従来から利用してきた陸上の福祉施設へのアクセスが影響を受けるため、船員の疎外感が増大し、彼らの肉体と精神の健康・安定が損なわれている。
これらの保安措置は、船員の基本的人権の擁護と矛盾すると考えるITFは、船員の基本的権利である一時上陸を守るためのキャンペーンを行っている。
新たに提案されている船員の身分証明書に関する国際条約が批准され、実施されるならば、船員の一時上陸の権利が、一段と強力に保証されることになる。
船員の身分証明書に関するILO国際条約(第185号)は、全世界で認知される高度の保安基準に基づいた身分証明書を、資格を有する全ての船員に確実に発給することによって、現状の改善を目指している。
ITFは、第185号条約の批准要件を満足させるためのキャンペーンを行っており、国際報告制度を通じて船員の一時上陸の取得状況を調査している。
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