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グローバルユニオン
No.23/2009
■接触禁止
 
接触禁止

ISPSコードの導入によって、行動が厳しく制限されるようになったと船員は感じている。ロイ・ポールの報告。

2009年7月1日、問題の多い国際船舶港湾保安コード(ISPSコード)は施行5周年を迎える。このコードの実施によって、船員は潜在的なテロリストとして扱われるため、罪人の気分を味わうことを強いられ、船員の役割が軽視されていると感じている。
2001年9月11日の同時多発テロ発生に伴い、国際港湾および500総トン以上の船舶に関する保安基準コードの強化を、米国は強力に推し進めた。米国の活動は十分な成果を収め、2002年末にはISPSコードとして実施された。このコードは、海上人命安全条約(SOLAS)の一部となり、2004年7月1日からは船舶および港湾施設における強制規則として実施されている。
この国際コードの導入によって、船員の労働条件に大きな変化が生じている。とりわけ、イスラム圏出身の船員は、自らの行動に対する制約を実感している。港湾の大部分が立ち入り禁止区域となった。コードの解釈は各港湾にまかされているため、禁止区域の設定は、船員の生活を極めて困難なものとしている。船舶の運航にとって船員が不可欠であることは以前と変わっていないものの、一部の港湾オペレーターは、コードの解釈に関して、船員を考慮に入れていない。
ヤン・オルトマンス師は、世界最大規模の船員センター、ハンブルグの「ドゥクダルベン」付きの港湾牧師だが、この船員センターには156カ国から毎日100人以上の船員が訪れて来る。オルトマンス師は次のように語る。「ISPSコードの影響を最も強く受けているのは船員たちだ。彼らによれば、港湾での滞在時間が短くなっているのに、今では、休暇や出張の旅行者が空港で行う入国管理手続きと同じようなものが必要になっている。多くの旅行者が、空港の入管手続きで時間を費やし、遅れが出るのを経験している。船員たちが自分の職場や住居に出入りするたびにこのような手続きが必要になれば、どのように感じるだろうか?結果として、多くの船員の間で、ISPSコードが船員を「罪人扱い」しているとの意見が広がり始めている」
多くの港湾牧師が、ISPSコードが船員の日常生活に与える深刻な影響を懸念している。船員は、家族と連絡をとるために、国際最低賃金の一部を使って、高価な携帯電話の利用を強いられている。なぜなら、陸上の公衆電話はフェンスで隔離されているため、利用できないからだ。外食なども一層困難になっている。船内においても、船員の救命器具類は鍵のかかる収納庫に入れられている。なぜなら、ISPSコードでは、船員の安全よりも「公共の安全」が優先されているからだ。
船員は以前に比べて陸上に出かける機会が少なくなった。その理由は、舷門で当直し、訪問者リストの作成や訪船パスの発給等の業務に従事しなければならないからだ。船員がこれらの業務に従事するのは、陸上から派遣される警備員の経費を節約するためだ。このような体制により、船員労組や船員福祉関係者が、船社の指示によって訪船を阻止されることもある。船社は訪船者が少ないほど船の安全が保たれると主張している。船員にとって一層大きな問題は、自分の船が母国の港に入港した時、家族の訪船が禁止されることである。ある港湾では、警備員が船員の妻たちに保安パスを発行し、手数料を徴収したとの報告もある。この時に請求された手数料は、保安パスの公式手数料の4倍の金額であったとのことだ。
船員にとって、現実的な危険も増している。コンテナ置き場のスペースをできるだけ広く確保するために、船員用の通路を仕切るフェンスが岸壁近くに設置されることが多い。そのため、船員は常に海中に転落する危険にさらされる。特に通路の表面が滑りやすい場合や、照明が暗い場合は危険である。
我々としては、政府および港湾当局がISPSコードの解釈を再検討することを期待したい。船員はテロに対する戦いの戦士であり、それにふさわしい敬意と尊厳をもって処遇されるべき存在であることを十分認識すべきだ。ISPSコードが施行されて一年後にITFが実施した調査によると、上陸休暇を拒否されたことがあると回答した船員労組は58%に上る。とりわけ米国の港湾において、このような経験が多くなされている。ISPSコードが、一時上陸の必要性や陸上の船員福祉施設(医療施設を含む)へのアクセスについて「十分に配慮すべき」と明確に規定しているにも関わらず、このような状況が発生している。
ITFは、一時上陸の取得や船舶から離れることを拒否されたケースをインスペクターに報告してもらう、新たな通報システムを導入する予定だ。ITFのジョン・ウィットロー船員部長は語る。「海事保安の確保は、船員の人権保護の観点から実施されなければならない。これには、船員の一時上陸の権利も含まれる。新たな通報システムで、問題の所在と範囲を把握し、ISPSコードや他の関連保安措置が正しく履行されるようにしたい」
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●一時上陸を拒否された場合は、www.seafarers.orgにログインすれば、論議や報告に参加できる。

●ロイ・ポールはITF船員トラスト事務局次長。
ある船員の嘆き

シナラジャ・ゴヴィンダサミは、「シナ」として知られている、マレーシア出身のシンガー・ソングライターで、手品師のエンターテイナーである。東南アジアをはじめとする世界各地の舞台で活躍している。1986年にダックダルベン船員センターが発足した当時から、同センターのスタッフとして活躍している。ISPSコードの実施以来、シナは多くのイスラム諸国出身の船員と話し合い、彼らの苦情を聞いてきた。
「インドネシア人船員と話して、ISPSコードと格闘していることが分かった。そこで私はこの歌を作った。歌のテーマは平和だ。船員の出身国が戦争に巻き込まれている場合は、故国の家族や友人の安否などをめぐる心配事が日常生活に影響を与える」と彼は語る。シナは歌のコピーを米国のブッシュ前大統領をはじめ世界の指導者に送付した。米国のオバマ新大統領にも送るつもりだ。
シナは次のように言う。「CNNテレビで、オバマ大統領が選挙運動の演説の中で、米国の国境やニューヨークなどの港湾をテロリストから守るために、保安体制を強化すると語るのを見た。だが、船員たちはテロリストではない。彼らは家族を養うために働いているだけだ。朝、コーヒーを一杯飲むときに、大統領に思い出してもらいたい。そのコーヒーは船員たちが運んできたものだということを。世界の貨物の95%は、船舶が輸送しているという事実を大統領に考えてもらいたい」

この歌は、下記のサイトで聞くことができる。
www.duckdalben.de/index.php?option=com_content&task=view&id=24&Itemid=27
船員の尊厳への応援歌

ISPS ISPS 止めてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ドイツ船員ミッションで。

ISPS ISPS やめてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ハンブルグのダックダルベンで。

東や西からの航海で、
いつも全力で働いてきた。
世界の経済のために。
僅かな稼ぎを得るために。
けれども今では港に閉じ込められて、
友達に会うことも許されない。

ISPS ISPS 止めてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ドイツ船員ミッションで。

ISPS ISPS やめてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ハンブルグのダックダルベンで。

昼も夜も働いても、
私たちの悩みには誰もが無関心。
けれども船員ミッションだけは、
よく見える目とよく聞こえる耳を持ち、
私たちを助け、慰めてくれる。

ISPS ISPS 止めてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ドイツ船員ミッションで。

ISPS ISPS やめてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ハンブルグのダックダルベンで。

あの9月11日の後に
法律が成立した。
私は思い出す。あの法律で、
私の人権は奪われてしまった。
私はテロリストでもないし、野獣でもない。
ひどい差別は止めてくれ。

ISPS ISPS 止めてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ドイツ船員ミッションで。

ISPS ISPS やめてくれ。
私はただ楽しみを求めている船員だ、
ハンブルグのダックダルベンで。

無実の船員に対してISPSコードを乱用しないでください。
作曲・歌:シナ・ラジャー
国際船員クラブ“ダックダルベン”
ハンブルグ・ドイツ
International Seamen’s Club Duckdalben
Zellmannstr. 16
21129 Hamburugu, GERMANY
Tel.:+49(0)40 7401661
Fax:+49(0)40 7401660
e-mail:seeyou@duckdalben.de
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