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グローバルユニオン

No.20/2006
■ニュース
 
国際運輸労連(ITF) は、135カ国以上から交通運輸産業の600労組が加盟し、約500万人の労働者を代表する連合体。1896年に結成され、船員、鉄道、路面運輸、民間航空、港湾、内陸水運、水産、観光の8産業別部会で構成される。ITFは国際レベルで交通運輸労働者を代表し、国際キャンペーンや連帯活動を通じて労働者の利益の増進を目指している。国際自由労連(ICFTU)とともにグローバルユニオンを形成する10の国際産別組織(GUF)の一つである。
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遺棄された船員

遺棄された船員に関する国連のデータベースが始動


遺棄された船員に関する国際的なデータベースが、国際労働機関(ILO)および国際海事機関(IMO)の2国連機関によって開発され、2006年3月に立ち上げられた。データベースは、インターネット上(www.ilo.org/dyr/seafarers)で閲覧することができる。
ITF船員部長のジョン・ウィットローは、「船員の遺棄は、未だ日常茶飯事的に発生している。ILOおよびIMOによるこうした取り組みによって、この問題により多くの光が当てられることは大変意義があると思う。この他にもEQASISホームページなどのプロジェクトも進行しており、分かりにくい下院業界の実情の透明性が増すのではないか。この新データベースの導入が旗国の義務遵守の向上にも繋がればと願う」と述べた。
「また、遺棄された船員のための経済的保証に関するIMO/ILOの現行ガイドラインが、将来的に、船員の権利章典やそれに相当する法律において、義務規定となることを期待している」
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連帯行動

「公平な処遇」に関するガイドラインを歓迎


ITFは加盟組合と連携し、船員が海難事故の罪を着せられる事態を防ぐための新国際ガイドラインに関する合意を確保することに成功した。
2006年3月、国際海事機関(IMO)および国際労働機関(ILO)が設立した特別作業部会の会議が開催され、詳細なガイドライン草案に関して合意し、今年7月より履行するよう各国政府に勧告している。
IMOは4月に開催された法律委員会で同ガイドラインを正式に採択しており、ILOによる採択は、6月に開催予定の理事会で正式に行われる予定。
IMO・ILO合同専門家会議は、エリカ号事件、プレステージ号事件、タスマン・スピリット号事件など、海事関係者が犯人扱いされ、また海難事故が犯罪化される事例が増えていることを受け、設立された。船長や職員が裁判において犯罪が立証される以前に当局から犯罪人扱いされる事例が増えている。
同ガイドラインは、「船員は、海難事故に関する捜査中および捜査後も、いかなる強制および脅迫からも保護される権利を有する」と規定するとともに、港湾・沿岸国当局、旗国、船員の出身、船舶所有者、および船員が遵守すべき原則も、以下のように規定している。
船員は、いかなる取調べにおいても、常に基本的な人間の尊厳を尊重されなければならない。
船員は、いかなる取調べにおいても、通訳のサービスなど独立した法的助言を受ける権利を有する。
旗国は、船舶の所有者が確実に捜査に協力するよう促し、雇用主が船員を遺棄した場合はその帰国を支援しなければならない。
船員は、適切な通訳のサービスを必ず受けるようにし、いかなる供述も犯罪の起訴に利用される可能性があることを理解しなければならない。
港湾および沿岸国は、拘留された船員が家族、福祉団体、船舶所有者、労働組合、領事館職員、および法律関係者と面会できるよう取り計らわなければならない。
IMO・ILO合同専門家会議では、舶職員組合(NUMAST)の書記長で、ITF船員部会の議長を務めるブライアン・オレルが船員代表団の団長として交渉にあたったが、「ガイドラインの実施状況をモニターするため、この会議を今後も開催すべきではないかとの意見も出ている」と述べた。
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連帯行動

ITF、船舶の登録替えをめぐる裁判で勝訴

バイキングライン社が所有するフェリー、ロゼーラ号をコスト削減のため、フィンランド籍からエストニア籍に登録替えしようとした問題で、これに反対したITFとITF加盟のフィンランド船員組合(FSU)は、ストライキも辞さない覚悟を表明した。これを受け、バイキングラインは本件をロンドンの商業裁判所に提訴し、同裁判所は、2005年6月にITFとFSUに対し、スト禁止命令を出した。しかし、このたびの控訴院(最高裁)判決では、前回判決が覆され、ITF・FSU側が勝訴した。
ITFのデビッド・コックロフト書記長は、2005年10月の控訴院判決を受けて、「大変満足できる結果であり、国際連帯を示し、組合員を合法的に支援するという労働組合の権利の正当性を立証する第一歩である」と述べた。
商業裁判所の判決を覆した3名の控訴院判事は、ITFの主張どおり、欧州委員会(EC)条約の自由移動条項に基づき、組合の団体行動権に関わる重要な問題は、欧州司法裁判所(ECJ)に付託されるべきとの見解を示した。
また、控訴院判事は、商業裁判所が2005年6月にITFとFSUに対して出したスト禁止命令も棄却し、ITFとFSUに対してECJの判決が出るまでの暫定的な救済措置を取ることもしなかった。
コックロフト書記長は、「本件は、欧州法における労働者および使用者それぞれの権利の関係という重要な問題を提起した。控訴院は明らかにこの事実を認識している。今、労働者の基本的な権利がリスクにさらされている」と述べた。
控訴院で商業裁判所の判決が覆されていなかったなら、欧州法が組合員の権利を守るという最も基本的な組合の権利に背を向けることになっていただろう。今後、労働者の権利擁護の闘いの場は、欧州司法裁判所に移されることになる。
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インド

偽インスペクター見つかる


2005年12月の便宜置籍船(FOC)キャンペーン中にインドの加盟組合が偽インスペクター2人を捕まえた。
カルカッタ港湾労組(CPSU)からITFに寄せられた報告によると、2人の男はハルディア港(カルカッタ)に停泊中のパナパ籍船ゴールド・フライデー号にITFインスペクターを装って乗船していたところをCPSUに発見された。船長から金を脅し取ろうとしていたという。
CPSUは本件をすぐに港湾当局、治安当局、ITFデリー事務所に報告した。2人は間も無く警察に身柄を拘束され、所持品の中から偽造書類も見つかったという。
「彼らはいろいろな船の船長から金を脅し取り、ITFの名前を汚していた。カルカッタでの偽インスペクター騒動はこれを最後にしなければならない」とカルカッタで活動するCPSUの本物のインスペクター、チンモイ・ロイは語った。
「インドでは、7年前にインドにインスペクターを配置して以来ずっと偽インスペクター問題が生じており、ITFデリー事務所が対策を講じてきた。今回の事件で人々のこの問題に対する意識が高まり、問題根絶につながることを望む」とロンドンのITFアクションユニットのファブリチオ・バルセロナは語った。
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ブラジル

商船隊の拡大


2005年10月、ブラジル労組の大きな貢献のもと、トランスペトロ社(ブラジルの石油会社、ペトロブラスの所有する会社)により、ブラジル商船隊の拡大とブラジル海運の再生を目指すプログラムがニテロイ市(リオデジャネイロ州)で立ち上げられた。ブラジルの労組は、2001年に前政権の海運産業民営化計画に反対し、全国ストを実施して以来、永らく、ブラジル海運再生プログラムの必要性を訴え続けてきた。
このプロジェクトの一環として、26隻のタンカー建造に続き、国内で石油タンカー42隻を建造する計画もあり、2万人の雇用が創出される見込みだ。
プロジェクトの結成式典で、ITF加盟組合の海運航空輸送組合(CONTMAFF)のセヴェリノ・アルメイダ委員長は、「雇用創出だけでなく、国家の独立性も強化される。自国の船でエネルギーを輸送できるようになる。ブラジルのような国は、国際市場の従属的立場に甘んじる余裕はない」と述べた。
2005年10月に開催された式典にはルーラ大統領も出席した。「もっと受注が欲しい。ブラジルの国際競争力はかつて非常に高かった。先進国からも受注を受けていた」と大統領は語った。
ITF米州間地域事務所のアントニオ・フリッツ部長も、「地域の船員組合は当局に海運産業の重要性、自国の船員の質の高さ、海運産業への投資の必要性を認識させようとしている」と述べ、CONTMAFFにお祝いを述べた。
自国の商船隊を再生するための政策は、ブラジルの他、アルゼンチンやベネズエラでも検討されている。
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海賊問題

求められる国連安全保障理事会の関与


国際海事機関(IMO)は、2005年11月クルーズ船シーボーン・スピリット号が海賊に襲撃された事件に関して、ソマリア沖海域の無政府状態に対処するよう国連安全保障理事会に訴え、ITFはこれを歓迎した。
ITFは以前、海賊問題を安全保障理事会に付託するようIMOのE.ミトロプロス事務総長から要請していた。安全保障理事会は、IMOが不可能な海軍介入などの処置を取ること可能である。
ITF船員部会のジョン・ベインブリッジは、「2隻の救助船に対する襲撃事件の直後に発生した今回の事件から、ソマリア沖海域がほぼ無秩序状態になっていることが分かった。沿岸から100マイル沖ですら、船の安全が保証できない。認めがたい事実だが、ソマリアはもはや国家としての機能を失っており、他国が同海域に介入し、秩序を回復しなければならないという事実を認めるべきだ」と語る。
また、「海賊の問題はもはや一地域に留まらない、国際貿易を標的として拡大する国際問題である。今回の事件は、もはや一刻の猶予もならないと証明するよい機会になった。今こそ、海賊および武装強盗船に立ち向かうべきである。IMOの努力にも関わらず、海賊事件の発生は収まらず、船員は殺害されたり、負傷したり、人質に取られるケースが後を絶たない。その結果、IMOがさらなる対策強化に必要なステップを取ろうとしているようだ」
ベインブリッジは、「安全保障理事会は、さらにどれだけの船員が犠牲になれば実際に行動を起こすのか。過去に発生した1件のアチル・ラウロ号テロ事件が、海洋航行不正行為防止条約(SUA条約)の採択に繋がったことを思い出してほしい」と述べた。

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FOCキャンペーン

新たに3船籍を指定


ITFは、新しく3船籍を便宜置籍船(FOC)に指定した。
今回、FOC船籍に指定されたのは、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、ジョージア、フランス第2船籍(RIF)で、ITFのFOCキャンペーンに関する意思決定機関である公正慣行委員会( FPC ) が2005年4月にブラジルのリオデジャネイロで開催した会議で決定した。
ゾディアック社およびラプソーン社が所有する船舶も、個別にFOCリストに加えられた。
FPCはITFに加盟する船員組合と港湾組合の代表者で構成され、4月の会議では、海運業界の動向を踏まえ、FOCキャンペーンの戦略的方向性を検討することと、「便宜港湾(POC)」に反対するITFキャンペーンを拡大することが合意された。
ITF特別船員部のスティーブ・コットン部長は、「北朝鮮の船舶の老朽化は激しく、乗組員の安全もほとんど全く確保されておらず、世界でも最も劣悪であることは周知の事実となっている。錆びたバケツのような船舶を必死で売り込んでいるが、今こそ、その実態を暴くべき時だ。ジョージア船籍の水準も同程度に下がってきているため、FOCリストに加えられた。このような形でフランス第2船籍がFOC指定されたことは遺憾である。フランスには伝統的海運国としての名声を維持する機会がいくらでもあったはずだが、ついにそれを拒否した」と語った。
* リオデジャネイロで開催されたFPC会議では、2006年1月よりAB船員のITFベンチマークを月額1,550米ドルとすることが決まった。
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インドネシア

米政府の保安対策と闘う組合


インドネシア船員組合(KPI)は、25カ国の外国人船員に米国上陸を禁じる、米政府の保安措置に対して、即刻対応するよう、インドネシア政府に要請している。
インドネシアなど25カ国は、米国税関・国境保護局(CBP)の「ハイリスク船員の拘束に関する覚書と標準運用手続」に「保安リスクが高い国」としてリスト化されている。
この覚書は、外国人船員が米国の港で上陸できるかどうかはCBPが決定するとし、「ハイリスク」の乗組員には25カ国のいずれかの国籍を持つ船員が含まれると規定している。
米国に定期的に就航する船舶の乗組員18,000人を組織するKPIは、ユドヨノ大統領に対し、米政府および国際機関に連絡をとり、状況改善を呼びかけるよう、要請している。KPIによると、いくつかの船社は米国港湾でのトラブルを避けるために、インドネシア人船員を他の船員に置き換えることを既に示唆しているという。
その他に保安リスクが高い国としてリストに掲載されたのは、アフガニスタン、アルジェリア、バーレーン、バングラデシュ、エジプト、エリトリア、インドネシア、イラン、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、リビア、モロッコ、北朝鮮、オマーン、パキスタン、カタール、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、シリア、チュニジア、アラブ首長国連邦、イエメン。
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アイルランド

船員の争議が妥結


2005年11、12月、ITFは、低賃金の導入をめぐる争議でアイルランド人船員と連帯した。結果として、船員組合SIPTUは、アイリッシュ・フェリー社が最初に提示した賃金を大幅に上回る金額で最終的に合意した。
これによって、新規にEU加盟した東欧の労働者を含む同社の全従業員は、アイルランドの最低賃金(現行は時間給で7.65ユーロ)を上回る賃金を勝ち取ることができた。
また、会社が提示した人員整理条件の受け入れを希望しないアイルランド労働者は、現状の給与額と労働条件のままで働き続けることができる。
この争議の発端は、会社が直接雇用の543名のアイルランド船員を解雇し、代わりにラトビア人を時間給3.60ユーロ(ラトビアの最低賃金)で雇用すること、さらに船籍をキプロスに変更することを一方的に提示したことであった。
その結果、アイリッシュ・フェリー社は、ウェールズおよびアイルランドの港に約3週間留まることになった。
ITFのデビッド・コックロフト書記長は、厳しい争議が終結したことに対し、「ITF加盟組合の連帯とアイルランド国民の多大な支持を受け、SIPTUの固い決意が実った。アイリッシュ・フェリー社は交渉のテーブルに着かざるを得ず、妥結に至った。船舶を警備員で固めるのではなく、交渉を行うことによって、海運業界に変革をもたらすという戦術を取るべきだ」と語った。
以前、ペンブルックでアイル・オブ・イニシュモア号に、ホリーヘッドでユリシーズ号に、それぞれ会社が雇った警備員がいとも簡単に乗客に扮して乗船した事件があり、ITFはそうした事態を憂慮していた。報告によれば、警備員はアイル・オブ・イニシュモア号のトイレで制服に着替え、ブリッジに乗り込み、アイルランド人乗組員を強制的に低賃金の東欧労働者に置き換えようとした。
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ビルマ

ITF、労組オルグ殺害に抗議


ITFは、ビルマの労組組織化担当者が殺害された事件を受け、国際社会から同国を孤立させるため、一層強い態度に出ることを決定した。
2005年5月、ラノン地区の組合組織化担当のコ・モエ・ナウン(38歳)が拷問を受けて殺害されたとビルマ船員組合(SUB)より連絡があり、ITFはこれに抗議した。SUBによれば、コ・モエ・ナウンは5月19日に逮捕され、ビルマ第431軽武装歩兵連隊で拷問を受けて3時間後に死亡したという。SUBはITFの加盟組合であり、ビルマ(ミャンマー)の軍事政権が労組運動を禁じているため、タイで活動を展開している。
ITFはビルマ軍事政府に抗議文を即時送付し、この中で、デビッド・コックロフト書記長は「コ・モエ氏は、ビルマの漁師および出稼ぎ労働者の組織化に取り組む、非常に献身的な指導者であった。この活動が理由で犠牲となったことは明らかである」と述べた。
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アルバニア

ITF、遺棄船員を保護


2005年1月、キプロス船籍のRO-RO船メディアV号の乗組員(右下写真)が、アルバニアのドゥラスで遺棄されているところをITFに保護された。
40名の乗組員は11ヶ月間も給与を支払われていない上、ギリシア人の船舶所有者パルミエール社によって、電気、食料、水も与えられないまま遺棄されていた。同船舶は債権者によって抑留され、乗組員はITFによって保護された。キプロス当局は乗組員の本国送還義務を履行するよう要求され、本年末乗組員の帰国が完了した。
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組合権

英国フェリー船員組合認知を獲得


ITFに加盟する英国船舶職員組合(NUMAST)は、過去3年間にわたり、ドーバー港とニューヘブン港を結ぶ英仏海峡横断フェリー、ホバースピード号の従業員の組合認知をめぐって、争っていたが、7月5日、英国の中央調停委員会(CAC)の決定により、認知を勝ち取った。この決定により、ホバースピード号に乗り組む職員の協約締結権も保護される。
ホバースピード社(米国の多国籍海運・輸送会社、シーコンテナ社のグループ企業)は、これまで再三にわたり、NUMASTの組合認知要求を退け、イタリアの労働組合とすでに協約を締結しており、同船の職員はチャンネル諸島の企業と雇用契約を結んでいるため、同社は雇用主ではないなどと主張していたが、CACは企業側の主張を退けた。
マーク・ディキンソン書記次長は、この判決を歓迎し、「労働者の歴史的な勝利だ。これにより、英国の船員の雇用権が確実に保障された」と述べた。
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インド

ITF、未払い給与獲得を支援


2005年12月初め、ITFの介入の末、インドのコーチ港でジョージア船籍シーエンペラー号が抑留された。これによって同船舶の乗組員が総額176,975米ドルに及ぶ未払い賃金を手にすることができた。
シーエンペラー号は5000トンの硫黄を積載してイランのカーグ島を出港し、荷下ろしの目的でコーチ港に入港していた。乗組員はほぼクロアチア人とウクライナ人で、同船はITF承認協約を適用されていないことがITFインスペクターの査察により明らかになった。船舶および設備のメンテナンスも不十分であった。
同時に、他の債務者からもシーエンペラー号の抑留申請があった。2006年1月末、キプロスのWWシップマネジメント社が所有する同船は、最終的に解放された。
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ブラジル

海運労組のスト終結


国営の石油会社、ペトロブラス社とその子会社、トランスペトロ社の船員を組織する、SNOMM 、FNTTAA 、CONTTMAF(3労組ともITFに加盟)は、会社側に差別的慣行の撤廃を要求していたが、交渉が失敗に終わったため、3月22日に無期限ストに入っていた(船員職2,900名の7割がストに参加)。
会社側はスト破り要員を動員して、スト潰しをはかったが、4月1日に事態が急転、労使が合意に達したことで、ストは4月3日に終結した。3労組は、給与の見直し、休暇の増加、陸上職と同等の昇進機会の保障を含む、多くの譲歩を両企業から勝ち取った。
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アジアの津波被害

津波被害地域のための救援プロジェクト立ち上がる


ITFとその他の国際産別組織(GUF)は2005年1月、2004年12月の津波被害を受けたアジア沿岸地域の復興支援のための国際労働運動としての取り組みを開始した。
津波により命を落とした交通運輸労働者は多い。現在、死者は16万5千人に達し、行方不明者は数千人に上る。インド洋海底を震源地とする地震により発生した大波は、特に漁村に壊滅的な打撃を与えた。船や港湾施設、海岸沿いの道路、鉄道路線、列車やバス、組合の事務所や施設が破壊された。
グローバルユニオンの取り組みは、津波の被害に対する労働界の対応を一つにまとめる目的で開始された。復興支援の中で労働組合が特に大きな役割を果たすべき分野を追究し、例えば組合インフラの構築など、組合の経験が最も必要とされる分野を特定することを目指す。
この取り組みの規定のもと、グローバルユニオンに加盟する被災地域の組合は、支援要請を行うことができ、他地域の加盟組合は、グローバルユニオン津波基金への拠出協力を求められる。拠出金を特定の国や産業またはプロジェクトに充てて欲しいといった要望が組合にある場合は、その旨を伝えることもできる。
一方、グローバルユニオンのパートナー組織は、現地の情報収集を継続している。
1月には、国際労働界の指導者で構成される視察団が、最も甚大な被害を受けたインドネシアとスリランカの視察を行った。視察団は現地の組合員や社会活動家と何度も会い、被災国の組合から得ていた報告の補足的な情報を収集することがでた。これにより、当面の支援計画と長期的な復興支援計画を立てる必要性が明らかになった。ITF地域事務所の職員も被災国を訪れ(バンダアチェ視察の報告書を参照)、交通運輸労組に特別な要望がないか尋ねた。地域事務所は、現在も引き続き現地の加盟組合協議会と緊密に連絡を取っている。
ITFは、グローバルユニオン津波基金、および国際海事機関(IMO)が設立した津波海事救済プログラムに合計1万ポンド(1万8,850米ドル)を寄付した。ILOの予測によると、津波により仕事を失った人の数は、スリランカとインドネシアだけでも約100万人に上った。その大部分が漁師だが、多くの小規模農家や商人もまた職を失った。
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●ストライキをしようと思っていますか?
●まずこの文章を読んでください!


便宜置籍船(FOC)に乗り組む船員が正当な賃金と適正な団体協約の適用を受けるために支援することをITFは約束しています。
場合によっては、船員は当該国内の法廷における法的手続きを取る必要があります。場合によっては、船舶に対するボイコット行動が必要です。どのような手段が適切かは、国または場所によって異なります。ある国では適切な行動が、他の国においては全く不適切なこともあります。
最初にとるべき行動は、まずあなたの住む地域のITF代表に連絡することです。このITFシーフェアラーズ・ブルテンの裏表紙に記載されている住所と電話番号等を参照してください。何らかの行動に出る前に、ITF地域代表の助言を必ず得てください。
「一部の国においては、船舶の乗組員によるストライキが違法行為となる場合があります。そのような場合には、ITF地域代表がその情報について説明します。
多くの国において、労使紛争に際しての勝利の鍵を握るのは、ストライキ行動です。この場合にも、ITF地域代表の助言に基づいて行動する必要があることは言うまでもありません。多くの国で、あなたがた船員には、航行中を除き、入港中のストライキ権が法律上認められています。
あらゆるストライキ行動において重要なことは、規律と安全を守り、団結を維持することです。多くの国で、ストライキ権は基本的人権の一部として、法律あるいは憲法により保障されています。
どのような行動を選択するにせよ、事前に地域のITF代表に連絡することを決して忘れないでください。お互いに協力することによって、我々は正義と基本的権利のための闘いに勝利することができるのです。
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異国の地に死す

異国の地で命を落としたフィリピン人船員−ITF、遺族を支援


ITF特別船員部 ジョン・カニアス報告

香港船籍イオソナス号がコロンビアのプエルト・ドラモンドに向かって航行中の2004年11月29日、フィリピン人船員アルテミオ・コバチャは医師の診察を希望した。その時点では深刻な様子はなく、業務の継続にも支障はなかった。
12月3日、船がプエルト・ドラモンドに到着。コバチャは上陸して医師の診察を受けたが、この時すでに症状が現れていた。脚および腹部がはれ上がり、脚はけいれんを起こし、腹部に痛みを訴えていた。C型肝炎の疑いで翌日までの経過観察となった。
12月5日、乗組員はコバチャを帰国させるように告げられた。ウォーレン・シップマネジメント社も帰国の航空券を用意するよう連絡を受けた。しかし、米国のビザがなくては米国内で乗り換えができないこと、またクリスマスシーズンで空席がほとんどなかったことなどの理由から、2005年12月7日、ボゴタ発の航空券が手配された。
コバチャは空港に向かったが、途中で状態が悪化して病院に搬送され、重体となった。医師は、即時に肝移植が必要であると述べた。船主は救急航空機でコバチャをマニラに搬送し、処置を受けさせることを考えたが、コバチャもはや移動に耐えられる状態ではなくなっていた。
ウォーレン・シップマネジメント社は、クリスマス間近いコロンビアにコバチャの妻エディサを呼び寄せ、夫と過ごせるよう宿泊、食料、その他全ての費用を負担した。
2005年1月19日、コバチャは妻に看取られてついにこの世を去り、1月21日、遺体となって故郷に帰国した。会社からは葬儀見舞金として1,000米ドルが支払われた。
コバチャが乗船していたイオソナス号には香港の国内協約が適用されており、死亡保障が支払われるのは、死亡原因が事故または労務に関係する疾病であった場合に限られていた。
コバチャの死因はこれに該当しなかったため、家族は死亡保障を請求することができず、すぐに支払われた疾病手当と葬儀費用しか受け取れなかった。
しかし、ITFはウォーレン・シップマネジメント社および受益船主スタンフォード・ナビゲーション社に何通ものEメールや手紙を送付し、亡くなった船員には2人の幼い子供がいる上、妻には収入がないことを伝え、決定の再考を強く訴えた。
このようなやりとりが7ヶ月間行われた後、亡くなった船員の妻エディサ・コバチャに死亡保障として、両社は5万米ドル、児童手当として1万4千米ドル支払うことに合意した。
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未払い賃金

未払い賃金を手に


アンティグアバーブーダ船籍HAVアンドロメダ号の2人の船員がITFの支援により、めでたく未払い給与を手にした。
「バルト海で行った査察から船員3名に対する給与未払いが明らかになった」という情報をドイツのITFコーディネーター、アリ・メモンから得た、英国ティルベリーのITFインスペクター、クリス・ジョーンズは、2005年11月、サザンプトンに停泊中のドイツ貨物船に乗り込んだ。
ジョーンズの立会いの下、この3名の船員はハンブルグの使用者から総額2,014ドルの未払い給与を現金で受け取ることができた。
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遺棄船員

フィリピン人船員、オーストラリアの裁判で勝利


オーストラリアで約8ヶ月間、賃金未払いのまま行き場を失っていた、クウェート籍のマワシ・アル・ガシーム号(クウェート・サウジ・ライブストック社所有・運航)のフィリピン人乗組員69人は、8月、賃金の支払いと本国送還を求めてオーストラリア連邦裁判所に訴訟を起こした。なお、クウェート・サウジ・ライブストック社のもう一方の債権者、OWバンカーはアデレード港で本船の拘束に成功した。
10月、連邦裁判所は乗組員の未払い賃金と本国送還費用総額70万米ドルの支払いを命じる判決を下した。
「これは乗組員にとって大きな勝利だ。アデレードのフィリピン人社会、オーストラリア海事組合(MUA)、ステラマリス、ITF、ボランティアのクレム・クロチエやレイ・ノーランなどの活躍で、このすばらしい結果を出すことができた」とマット・パーセルITFアシスタント・コーディネーターは語った。
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水産

FOC船違法漁業の隠れ蓑に


オーストラリア政府、ITF、グローバル自然保護団体の世界自然保護基金(WWF)が共同で行った研究により、「略奪的」漁業と便宜置籍(FOC)システムの関係が明らかになった。
2005年11月にジュネーブ(スイス)とホーバート(オーストラリア)で同時に立ち上げられた研究「変化する公海漁業:FOCシステムがいかにして違法・無報告・無規制(IUU)漁業の隠れ蓑になっているか」によると、漁船に安価な船籍登録を提供することで、FOCシステムはIUU漁業の完璧な隠れ蓑になっている。
FOC国は自国に登録した船舶の管理をほとんど全く行わず、その結果、多くのFOC漁船が公海の資源保全や資源管理に関する法律を容易に回避することができる。
国連食糧農業機関(FAO)は、一部の主要漁場では、IUU漁業が総漁獲量の3割、金額にして10億ドル超を占めていると予測する。世界の大型漁船の約15パーセントがFOC船か、船籍不明となっている。
ベリーズ、ホンジュラス、パナマ、セントビンセント、グレナディン諸島は、いずれも大型漁船の登録先として人気が高い。
同報告書は、強制労働、外国港への船員の遺棄、最近ウルグアイのモンテビデオ港で発生したシミエズ号の火災(中国人船員11名が死亡)のような、不可解な事件などの、人権侵害についても記載している。
「IUU漁船では、公然と人権が侵害されており、もともと存在している乗組員の過剰搾取と劣悪な安全基準が漁船の置かれる厳しい天候によって、さらに悪化している」とITFのコックロフト書記長は述べる
「FOC漁船の存在は、水産資源や海洋資源を脅威にさらすだけでなく、人命の損失というコストを伴う。IUU漁船に乗船する船員は何の保護も受けていないことが多い。虐待、飢え、未払い賃金など、世界で最も危険なこの産業の劣悪な条件を挙げていけばきりがない」
違法漁業は世界の漁業産業を脅かすだけでなく、違法漁業による付随漁獲物はウミガメ、アホウドリ、サメやその他多くの種を脅かしていると報告書は述べる。
「南氷洋の公海におけるIUU漁業は依然として跡を絶たない」とオーストラリアのイアン・マクドナルド農林水産大臣は言う。
マクドナルド大臣によると、「責任感ある国家が持続可能な漁業管理とコスト高の実施を行う一方で、FOC国や違法漁業従事者が利益を得て、公海の漁業資源の保全と管理を目的とした国際法を公然と無視している」
WWFインターナショナル事務局長のクロード・マーティン博士は、漁船がFOC登録をして、公海で違法かつ無規制に操業することが許される堕落したシステムに早急に終止符を打つ必要がある。一部の内陸国を含むFOC国は、わずかばかりの登録料と引き換えに漁船の登録を受け入れる一方で、登録漁船の違法行為を見てみぬ振りをして、登録漁船の操業を管理することはほとんど全くない。
* 報告書「変化する公海漁業:いかにしてFOCがIUU漁業の隠れ蓑に使われてきたか」は、マシュー・ジアニとウォルト・シンプソンの共著で、FOC船と公海におけるIUU漁業に関して過去一年間に実施してきた調査・研究の総まとめである。同報告書は、www.itfglobal.org/infocentre/pubs.cfm/detail/1658 からダウンロード可能。
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スペイン

新任インスペクター、船員救助に活躍


2006年2月、新任のITFインスペクター、ルズ・バズは、スペインのアビレス港で動けなくなっていたばら積み船グレンランド号に、ウィンチで吊り下げられて乗船し、大活躍を果たした。ドミニカ船籍の同船は、エンジンの故障により、港入口の防潮堤に激突した。
ルズの任務はまず、天候悪化によって危険が迫っている船を降りるよう、船員を説得することであった。6人の乗組員は下船したが、船長、機関長、二等航海士の3名は給与の未払いに抗議してその後2週間下船に応じなかった。しかし、天候がさらに悪化していった。
スペインのITFコーディネーター、ミグエル・コロナドはこう報告する。「ルズは、天候が悪化すれば船が倒壊すると確信していた。私は、ルズと緊密に連絡を取り続けた。船は岸壁に乗り上げ、船楼が徐々に倒壊する音がルズには、はっきりと聞こえていた。それでもルズは、「1人では船を降りない」と言い切った。
そしてついに、ルズは3名の乗組員を連れ、陸に戻ってきた。
サンクトペテルスブルクの船舶管理会社、SAシッピング社は、現時点でも責任を取ることを拒否している。同社は、未払い給与の支払い責任は雇用契約書に署名したモスコエ・リッチェンシロバニエ社にあり、給与は船主(未だに未確認)が支払うべきだとはずことになっていると主張している。
しかし、インスペクターらは、状況が改善するという希望を捨てていないとコロナド・コーディネーターは言う。
「ルズが関係者にファックスを送付したのに続き、ドミニカ連邦海事省、副海事行政官もSAシッピング社にファックスを送信し、未払い給与および船員の本国送還の問題が解決するまで、同社の法令遵守証明書を一時停止すると勧告した」。
グレンランド号は、アビレス港に停泊してセメントを積載し、デンマークのランダースに向けて航海を続ける予定になっていた。
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船員の賃金

新交渉協議会の成果


2003年、国際海事使用者委員会(IMEC)、国際船員労務協会(IMMAJ)、ITFの3大プレーヤーが結集し、世界の船員の労働条件改善を目指した革新的な協議会が誕生した。国際団体交渉協議会(IBF)と呼ばれるこの協議会は、2003年5月より動き出している。
以来、IBFは、トータルクルーコストの枠組みなどの船員の賃金、労働条件、手取り現金の増額、争議手続きに関する協約交渉にあたってきた。このようなIBF交渉により、組合員を代表して地域交渉をする際の拠り所となる明確な枠組みが設定されることになる。ITFアグリーメントユニットのブランコ・クルズナリック部長は、「労組は、だれでも発言することができるという原則の上に成り立っている。IBF協約により、労組の発言力はさらに増すことになる」と語っている。
同協議会への参加は船主側にも利点があり、書類手続の軽減化や、ITFインスペクターによる査察の優先順位が下がる「グリーン・サーティフィケート」の取得などの特典を受けられる。したがって、さらに多くの船主がIBFのメンバーに加わることになり、ITFのFOCキャンペーンを後押しする動きになっている。
IBFの効力は、関係者全般の支持を受けることによって上がっている。
クルズナリック部長は、「海運業界の国際化と共に、海運労働市場の国際化も益々加速している。労組は、国際労働市場における組合員の競争力を維持するため、全ての企業が同じ規則に従い、安売りをすることがないようしなければならない。組合だけでそれを達成するのと、船主や会社から支援を受けてこれを達成するのとでは、状況は全く異なる」と述べる。
IBFの設立によって、船主側は船員組合の発言を尊重するようになったが、他にはどのような具体的な利点があるのだろうか。
最新のIBF協約は、2005年10月に東京で開催された会議で締結され、3,200を超える船舶に乗船する55,000人の船員に適用されている。同協約により、船員の賃金は2年間で2段階に分けて10%引き上げられることになった。23人の乗組員を想定した「IBFモデルシップ」を基準とし、船員の賃金は、2006年1月1日に46,170米ドルから48,478米ドルに、2007年1月1日にさらに50,787米ドルに引き上げられることになった。
さらに、死亡・障害補償も、2006年1月1日に5%、2007年1月1日にさらに5%と、2段階に分けて引き上げられる。また、設備が整っている場合は、船員が船上でEメールを無料で使用できるようにすることも合意された。
また、IBFは、先進国出身の船員の雇用確保の問題にも取り組み、また船舶所有会社の経営者に対して、未組織の港湾労働者を使用しないように勧告することも決定された。
クルズナリックは、IBFが象徴する協力関係の新たな段階について次のように述べた。「IBFは、真の連帯の精神の下に、関係者全てがお互いを支援するために努力し、相互に利益をもたらすという新しいパートナーシップの形を示している」
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