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グローバルユニオン

No.20/2006
■ITF船員トラスト
 
今最も必要とされるもの

2006年は、ITF船員トラストが船員の援助活動を開始してから25周年にあたるが、船員のための福祉というしばしば忘れられがちな分野の重要な活動をもっと支援する必要があると、トム・ホーマーは広く海事産業に訴えかける。

ITF船員トラストは、船員の宗教や国籍に関わらず、船員の精神的、道徳的、身体的幸福を支援することを専門とする慈善団体として、1981年に英国で設立された。それ以来、全世界の船員に恩恵をもたらす船員トラストの様々なプロジェクトに対し、1億2千万ポンドを越える寄付金が寄せられてきた。
最近までは、寄付金の大半が寄贈者の指示に従い、建物や車両に使用されてきた。しかし、この5年ほどは、寄付金の分配に関して、より先を見越したアプローチを採用してきており、結果として、より広範なプロジェクトへの拠出が増えている。トラストが実施するプロジェクトは、全世界を活動の対象とし、多数の船員とその家族の生活を改善できるものでなければならない。最近の例としては、2004年に始まった、国際船員援助ネットワーク(ISAN:船員と家族のための無料電話サービス)と船員健康情報プログラム(船員に特有の安全衛生問題を扱う)の2つが挙げられる。また、スウェーデンのマルメにある世界海事大学や英国のカーディフにある国際船員研究センターへの支援も引き続き行っている。
1990年代半ばから終わりにかけて、船員の福祉施設が全く存在しない、あるいは開発が遅れていて、特に支援が必要な地域を対象とした活動強化への熱意が高まり、その結果、基金の大半が途上国で実施されるプロジェクトに振り分けられるようになった。最近のプロジェクトは、アフリカ、中南米、インドネシア、ロシア、旧CIS(独立国家共同体)国家で行われている。これらの国々では、当該港のある地域共同体が困窮を極めているため、船員の福祉施設を外からの援助なく建設することは不可能になっている。
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顔と顔をつき合わせた支援

資金提供、資金の訓練への振り分け、福祉施設の設立の資金援助は船員トラストの仕事だが、船員と実際に顔をつき合わせての活動は、数少ない人々の努力と熱意によって支えられている。こういった人々の大多数がキリスト教諸派に属する人たちで、彼らは船員に語りかけ、船員に支援の手を差し伸べたいと考えている。船員とその家族の人生は多くの困難に満ちているからだ。
これらの人々は、新たに生じてきた保安問題や厳しい時間の制約といった困難を克服し、陸にいる者と船に乗る者の間に人間的なふれあいをもたらす役割を果たしている。船員にとって、彼らは商業的な目的から港にいるその他大多数の人間とは異なり、友人としてそこにいる。それにも関わらず、福祉活動家と話をしにくる船員は非常に少ない。こうした福祉サービスの到達範囲をより拡大し、また船員が最も必要とし、利用するサービスを確実に提供できるように、もっと大きな努力が必要だ。
しかし、船員の福祉に携わるあらゆる団体が最も懸念しているのは、こうした船員を対象とした福祉活動が財政的に持続可能なのかという点である。福祉関係団体の目的は、福祉施設の建造や港周辺の地域社会から受け入れられ、広く支援されるような活動の骨組みを作り上げることだ。
船員福祉国際委員会(ICSW)は、船員の福祉施設に関するILO163号条約に基づき、船員を対象とした福祉活動の資金調達をより確実なものにするため、あらゆる海運関係団体をまとめるという優れた活動をしている。港湾運営者に船員の福祉の問題を認識させるには、大変な困難が伴った。しかし、国際船舶および港湾施設保安(ISPS)コード導入により、船員の上陸が著しく制限されている今、電話やEメールといった施設は港湾利用者にとっては必要不可欠なサービスと見なされるべきである。
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困難な時期

船員の生活がますます困難になってきていることは誰の目にも明白だ。港湾施設を利用する金ももっていない船員が多い。何年も船員のためにサービスを提供してきた福祉センターも、船員が支払う利用料以外の方法で収入を確保しなければならなくなってきた。福祉センターが閉鎖するのは、必要がなくなったためとは限らない。資金不足から閉鎖されることもある。
今日大変なのは、現行の福祉サービスを維持しつつ、同時に、新しい港にサービスを拡大したり、また新しい種類のサービスや援助も提供しなければならないことだ。ある地域で福祉サービス提供を援助すると、別の地域でサービスが停止されたと報告を受けることもある。船員トラストの目的は、船員のための福祉という領域にできるだけ多くのパートナーを引き込むことだ。政府であれ、港湾局であれ、船員の配乗代理店であれ、船社であれ、海運産業のあらゆる関係者がこれまでの素晴らしい活動の成果を認め、それを支援すべきだ。船員のための福祉提供者を一つにまとめ、船員支援の取り組みを支え、調整する役割をもつ連合体を形成することも、ITF船員トラストとICSWの活動目的の一つである。
内容的に素晴らしく、あとは資金調達を待つばかりといったプロジェクトから援助申請を多数受け取るが、船員トラストが援助できるのは、ほんの一握りのプロジェクトであり、このことにはいつもイライラさせられる。しかし、港ごとに教会関係者や組合関係者、その他の目的から活動に参加した人々によって、これまでに多くの素晴らしい活動が実施されてきた。多くは、技術はあるが、社会の周辺に追いやられ、しばしば忘れられがちな船員のために、無欲の活動をしてくれている人々である。ITF船員トラストは今後もこうした人々とともに活動を続けていきたい。
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トム・ホーマーはITF船員トラスト部長。船員トラストへは、ITFロンドン本部を通じて連絡可能。
 
 
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