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グローバルユニオン

No.20/2006
■安全衛生
 
酷使される船員たち

船上の勤務では、無理なことを要求される場合もある。船員は疲れた体に鞭打って働き続けなければならない。

海上を航行する船舶の中では常に状況が変化し、労働環境は決して良いとはいえないことは、船員も分かっている。しかし、近年、船員の数は着実に減少しており、その一方、労働負荷が高まっている。少ない船員の間で仕事を分担し合っているからだけではない。技術の進歩、規則や安全手順の増加、長時間労働などの要因から、船員が感じるプレッシャーが高まっている。
労働強化が進む一方、休息や余暇の時間は削られている。商業的圧力と新しい規制によって寄港時間が短縮され、船員の上陸時間がほとんど取れない状況に陥っている。十分に時間がある場合でも、多くの船員が上陸を拒否されている。
ITFインスペクターからの報告から、船員たちは増える労働負荷によく対処していることが分かっているが、疲労を感じている船員は多く、船員の安全や船舶の安全すら危険にさらされている。そこで、組合とITFは連携し、以下の事項の遵守を徹底するよう呼びかけている。

最低限の休憩時間および最長労働時間を定めたILO条約179号および180号第7項を含めた、海運関連規則の国際的強化
安全確保のための適切な乗組員数
すべての船員が上陸する権利を有することに対する国際的認知を得る。
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疲労問題に関する調査に寄せられた回答例

疲労回避のため、残業をしすぎないこと。また、土曜日の勤務は半日とすること。

バンバン・セッチョ(インドネシア)、
一般貨物船(南アジア)、二等航海士

1日の労働時間は8時間とし、残業は最長2時間までとすること。

ハーレイ・メンドーザ(フィリピン)、
フェリー、甲板長

船上では、あらゆる業務がプレッシャーのもとに実施されている。出来るだけ詳細な作業計画を立て、ILO規則を遵守することが必要だ。

サルバドール・アング(フィリピン)、
セメント運搬船(イタリア・トルコ)、一等航海士

最も疲労を感じるのは、荷降ろしの時。20時間連続で勤務することもある。

サンデュ(ルーマニア)、
セメント運搬船(イタリア・トルコ)、AB船員

船員にとって疲労が問題となるのは、港に停泊中である。私が乗船している船は、世界各地を長期間にわたり航行するので、適度に休息する時間がある。船上では全ての部門に同じようにストレスがかかっている。決められた船員の数を遵守することが、疲労に対する最も有効な対策だ。船員の数を減らしてはならない。

ラニシュ(インド)、
ばら積み船(世界各地)、一等航海士

毎日のように疲労を感じている。もっと船員の数を増やすべきだ。私が乗船している船には、エンジンルームに7名しか配置されていない。

匿名希望のイタリア人船員4名(シチリア島、イタリア)

前回の乗船時には、港に停泊中に18時間休憩なしで連続勤務した。しかし、通常は入港後16〜18時間の休憩が与えられている。

フィリピン人船員、
コンテナ船(東地中海)、甲板員

疲労を感じたのは、海峡を航海中に連続操縦していた時だ。疲労を回避するには、適切な労働スケジュールを守り、休憩を適度にとることだ。

ジャンティーノ(フィリピン)、
ばら積み船(世界各地)、船長

以前は疲労を感じていたが、現在はSTCW95ガイドラインに規定されている船員の勤務および休憩規則に従っているので、問題は無い。エンジンが故障したり、何か大きな問題が発生したりした場合に疲労問題が発生する。8時間労働の後、最低10時間の休憩をとるという適切な勤務形態に従っていることが肝心だ。

ガルベルト(フィリピン)、
ばら積み船(世界各地)、チーフエンジニア

私が疲労を感じたのは、船が故障して海水が船内に入ってきた時だ。船を止め、3〜4週間内休みなしで連続で勤務し、寝る時間もほとんどなかった。通常は、緊急作業がない限り、日常の点検作業を行っている。通常の作業手順に従い、週1回のミーティングを行っていれば、特に問題は無い。

アマダオ(フィリピン)、
貨物船(世界各地)、チーフエンジニア
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悪天候時の疲労

天候が悪いときは、疲労しやすい。北極地域を航行したとき、何日間か全くブリッジを離れられず、たった30分の夕食をとることも出来ないことがあった。ブレーカーに何か異常が起こるかもしれないので、離れたくても離れらないのだ。嵐のときは常に危険に注意を払っていなければならない。100%集中して、船に対して責任を持つことが必要である。数日間続いた嵐が去った後は非常に疲れているので、半日くらいの十分な休息をとることが重要である。私は、甲板は、船の中でも船員が最も疲労しやすい場所だと考えている。貨物がきちんと固定されていない場合も多いので、毎日のように貨物の固定作業をしなければならない。貨物を固定するという仕事は非常にプレッシャーの大きなものなので、一航海につき、1度か2度は終日または半日の休暇を与えるべきである。嵐や技術上の問題を避けることはできない。なぜ疲労が生じるのかその原因を追究する必要がある。例えば、嵐の際は、安全な航路に切り替えることが必要だ。その際にも、貨物が横滑りしないように、注意して航路変更しなければならない。港では、2、3人の船員を上陸させ、重労働の後には、休息を取らせる必要がある。

アナトリー(ロシア)、
一般貨物船(世界各地)、船長
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船上での健康管理

海の上では医者の診察を受けることが出来ないばかりか、船員の健康がリスクにさらされる。閉ざされた船の上では、感染症は簡単に広がる。偏った食生活、運動不足、性感染症の感染のリスクなど、船員の生活は様々なリスクにさらされている。国際船員福祉委員会(ICSW)は、こうした問題の対策として、情報誌等で船員たちにアドバイスを提供してきた。この活動は、ITF船員トラストが支援する船員健康情報プロジェクト(SHIP)の一環であり、下記はSHIP情報誌に掲載されている内容の一部である。

体重の管理

肥満は、特に心臓および動脈の疾患をはじめとする、恐ろしい病気に繋がる原因である。このような病気が原因で早期離職に追い込まれる船員も多く、また、肥満は船上での死亡原因の第1位でもある。自分の理想体重を目標に設定し、維持することが必要である。すでに理想体重を超えている場合は、焦らず着実に減量するよう努力すること。

体調の管理

腹筋体操、腕立て伏せ、ストレッチ体操などを船室で定期的に行うこと。
食事および水分の取りすぎに注意すること。
同僚と一緒にエクササイズを行い、また目標を定めること。
最低週3回30分、有酸素運動を行うこと。(ウォーキング、可能であればサイクリング、水泳など)
港に停泊中は、可能な限り船員用のスポーツ施設を利用すること。
可能な限り階段を使用すること。
卓球などの競技会を船上で企画すること。

適切な食事

可能な限り炭水化物を主食とすること。全粒粉、胚芽、褐色食品、または食物繊維製品は、ビタミンおよびミネラルを多く含むので、この種の食品を心掛けて摂取すること。
バター、揚げ物(フレンチフライ、パパダムなど)、または、脂肪分の多いバターソース、チーズソース、マヨネーズなどを摂りすぎないこと。
肉類、家禽類、豆類、ナッツ類などのたんぱく質、および牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品を適度に摂取すること。
脂肪分、塩分および糖分が高い、スナック類または菓子類(ポテトチップス、チョコレート、キャンデーなど)は、カロリーが高く太りやすいので、摂りすぎに注意すること。

貯蔵食料の管理

食品の貯蔵には、FIFOの原則(先入れ先出し)を徹底すること。
食品貯蔵庫の温度は2〜8度に保つこと。
腐敗した果物および野菜は、即時に処分すること。
生肉を調理済み食品の側に置かないこと。
冷凍庫はマイナス18度以下に保つこと。
タオルは頻繁に交換するか、もしくは使い捨てを使用すること。
食料取り扱い責任者は、髪、手、爪などを常に清潔に保つよう心掛けること。

性感染症

性感染症の予防をせずに性交渉を行うと、すでに感染しているパートナーから、病気が感染する危険がある。特に、船員は長期にわたって家族と離れて生活するので、HIVに感染するリスクが高いといえる。
港に停泊中に性交渉をもつ場合は、必ずコンドームを使用すること。
性感染症の症状が見られたら、速やかに医者の診察を受け、治療が済むまで性交渉は慎むこと。
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詳しくは、www.seafarershealth.orgを参照のこと。
疲労の定義

下記のような症状が現れたら、注意のこと。

眠気に襲われる。
手と目を使った作業が困難になった。(例:スイッチの選択)
ろれつが回らなくなった、または、話し方が遅くなった。
不器用になった。
腕や脚が重く感じるようになった、または、動作が鈍くなった。
頭痛がする。
めまいがする。
食欲が減退した。
不眠症になった。
忍耐力が低下し、非社交的になった。
気分の起伏が激しくなった。
危険を冒したい気持ちになる。
不要な心配をするようになった。
距離、速度、時間、危険に対する判断力が低下した。
応答が鈍くなった。
集中力が低下した。

疲労克服のためのガイドライン

まずは、睡眠、休養、余暇の時間を最大限にとること。
疲労によって仕事に支障が出ると感じたら、上司に報告すること。
可能な場合、重作業と軽作業を交互に混合して行うこと。
暖房、換気、照明など、船上の設備管理を十分行うこと。
毎日の労働に適度な運動を盛り込むこと。
可能な限り体によい食物を摂るよう心がけ、喫煙・飲酒を制限すること。
短時間の眠気防止として、カフェイン(紅茶、コーヒー、コーラ、チョコレートに含まれる)を摂取すること。
ガムを噛む、ストレッチをするなど、体を動かして注意力を維持すること。
疲労を感じたときは、同僚と会話して眠気を覚ますこと。
最低20分の仮眠を取ること。
出所:国際海事機関(IMO)海事安全委員会
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