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2004年4月 第15号
■妊娠はご法度
 
妊娠はご法度

スリランカ航空の客室乗務員、使用者の家族計画干渉に反対
サンガム・トリパティー


スリランカ航空の客室乗務員は、英国のスカイトラックス社(航空関係の調査会社)から2002年の「最優秀客室乗務員賞」を授与されたほど優秀だが、乗務員の営業スマイルの奥に隠された企業の差別的慣行に気付く者は少ない。
スリランカ航空には現在650人の客室乗務員がおり、多くが18歳から45歳までの女性だ。うち約100人が結婚しているが、子供のいる乗務員は一人もいない。子供ができれば、仕事を失うことになるからだ。
スリランカ航空と組合が締結した団体協約の第21条8項には次のように記されている。「妊娠した客室乗務員の乗務は直ちに禁止され、他の部署の募集に応募するよう求められます。別の部署の代替業務に採用された場合、移動先の部署の規定に従い、産休を取ることができます。適切な代替業務を探すよう会社は最大限の努力を払いますが、万一代替業務が見つからない場合、乗務員は辞表を提出するよう求められます」
実際、企業の「最大限の努力」によって適切な代替業務が見つかることは滅多にないと従業員は嘆く。「1999年以降、妊娠後、再雇用された客室乗務員はたった一人だ。あとは全員辞表を提出して退職しなければならなかった」とある客室乗務員が話してくれた。
「妊娠して、地上職に応募した同僚を知っているわ。3回も面接をキャンセルされて、何度も問い合わせたけど、結局面接は実施されなかったそうよ。精神的に不安定になって結局流産してしまったの。それで客室乗務員に復帰したというわけ」別の乗務員が言った。
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専門職の地位も揺らいで

民間航空局長により承認された安全のプロとして飛行中の緊急事態に責任を持つ存在であるはずの客室乗務員だが、妊娠したというだけの理由でプロとしての地位が揺らぐことになる。
スリランカの労働関係法は、「妊娠や出産、およびそれに起因する疾病のみを理由に女性従業員の雇用を終了してはならない」と明記している。
ITF加盟の客室乗務員組合、FAUは、前述の団体協約中の産休に関する条項は法律に違反しているとスリランカ政府に正式に申し出ている。また、この条項を修正するよう経営陣とも交渉を開始した。
組合側は、妊娠した女性従業員に他の部署の代替業務を探す負担をかけている点で、協約中の条項は違法だと主張している。法律では、妊娠した従業員に身体に負担のかからない代替業務を提示するのは企業の責任であると明記されている。それにも関わらず、スリランカ航空の団体協約では、企業側が代替業務を提供する気がない場合、辞表を提出しなくてはならいないとしている。
「問題は、客室乗務員が店舗・事務所従業員法と賃金委員会条例のどちらの適用を受けるのかがまだ決着していないとういことだ」とFAUの代表者が言う。「つまり、我々は国の労働法による保護を拒否されたのだ」
スリランカ航空を代表してセイロン使用者連合が労働委員会に送った文書には次のように記されていた。「実際、この状況は何らかの理由で運転手の運転免許が指し止められたか、あるいは停止された場合に、運転手としての機能を満たすことができないと使用者が判断せざるを得ない場合とよく似ている」
使用者側のこうした拒否反応は実に厄介なものだが、組合は問題解決へ向け決意を固めている。妊娠した場合、全ての客室乗務員が同レベルの地上職を提供されることなどを記した要求事項リストを作成している。産休復帰後1年3ヵ月は引き続き地上職に就くが、その後、必修の健康診断と再研修を経て客室乗務員として休職前の地位に復帰できることなどもリストに含めた。
交渉は現在も続いている。企業側は勤続3年以上の客室従業員に関しては譲歩し、協約を書き換える姿勢を見せているが、勤続3年以下の従業員に関しては、新たに獲得された権利はない。協約が書き換えられれば、勤続3年以上の従業員は、妊娠後の地上職への異動と、復帰後1年で客室乗務員に空きがあれば応募できる権利を保証されることになる。しかし、依然として「会社内の別の部署に適切な代替業務」が見つかるという保証はなく、いつ客室乗務員に復帰できるかのはっきりとした記述もない。
経営陣との交渉と平行して、FAUは、この問題を労働委員会にも申し立て、ITFの航空関係の会議でも紹介するようにしている。「法制面での取り組みとしては、問題が解決しない場合、仲裁機関への提訴や、さらにはそれ以上の行動も考えている。労使関係では、国レベル、地域レベルおよび国際レベルの連帯の動員を目指している」とFAUのスポークスマンは語っている。
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サンガム・トリパティーはITFデリー事務所に勤務する教育コーディネーター
航空産業の機会均等を求める新たなキャンペーン

昨年12月にロンドンで開催された航空部会会議では、航空産業で働く女性の機会均等を推進する新たなキャンペーンを立ち上げることが決定した。
このキャンペーンでは、基本権と、性差別的な航空広告やPR製品などに焦点をあてることになる。
公然と差別的な慣行を続けている企業に関する情報を収集し、そのような企業に対する社会的批難を高めていくキャンペーン展開が必要になる。
あるいは、行動規範(CoC)を航空会社に作成させるのも一つの手だろう。
懲りない企業
従業員の基本的権利を侵害しているのはスリランカ航空だけではない。マレーシア航空従業員組合は、現在、下記のような公然とした差別的慣行と闘うキャンペーンの真っ只中にいる: −通常の従業員の退職年齢が50歳であるのに対し、女性客室乗務員の退職年齢が40歳に設定されている。 −就職後、5年間は妊娠することが許されず、子供は2人までしか持てない。これに違反すると解雇される。
パキスタンやネパールでも同様の差別的慣行が認められる。
マレーシア航空の問題では、ITFが介入したため、企業側が「適切な時期に必要な修正を施す」と約束した。
ストに参加した社員を一部だけ指名解雇するのは止めよ
SNブリュッセル航空が、「お客様のために」のキャッチフレーズとともに客室乗務員が乗客の赤ん坊に授乳している写真を広告に使用した。
ブラジルのバリグ航空が公然と女性従業員を対象とした減量プログラムを開始した。
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民営化の弊害に立ち向かう南アフリカの労働者
ガス欠寸前
戦略的アプローチでバス運転手の賃上げキャンペーン成功
妊娠はご法度
スリランカの客室乗務員組合の闘い
安全を取り戻せ
国際安全基準決定に港湾労働者が参加
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