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2004年4月 第15号
■勤労生活
 
勤労生活
タラップを上る女性


増える女性インスペクター

ヤスミン・プラビュダス

船員の利益を守るため、世界中の港で130人のITFインスペクターが訪船活動を行っているが、そのうち女性は9人いる。1999年までは女性インスペクターは僅か4人だった。ITFのFOC船(便宜置籍船)反対キャンペーン強化の一環として1971年に設立されて以来、インスペクター制度はFOC船に乗船する船員を船主の搾取から保護し、ともすると基準以下になりがちな労働条件を改善するために今日まで継続している。
FOC船の船員に助言を与えるのがインスペクターの仕事だ。船主と交渉したり、ストライキを指揮したり、弁護士と協力して活動することもある。殆どのインスペクターが元船員か元港湾労働者で、ITFの加盟海運労組の推薦者の中から選抜される。
あらゆる交通運輸産業の中でも、おそらく海運産業は労働人口に占める男性の割合が最も高い産業の一つで、女性は労働力全体の2パーセントにも満たない。しかし、近年、女性船員や女性港湾労働者が増加してきており、女性の組合参加も高まっている。 この傾向が続いていけば、女性インスペクターの地位の向上にも繋がっていくだろう。
セクハラや性差別などの問題を女性インスペクターと話し合うことを歓迎する女性の船員もいるが、女性のインスペクターは特に女性の船員を代表するために雇われているわけではない。世界中にいる労働活動家の一員として、男性のインスペクターと同様の問題に立ち向かい、同様のやりがいを感じている。もちろん、女性インスペクターに特有の問題がないわけではない。
2003年にキプロスで行われたITFインスペクター会議では、女性インスペクターが合同声明を発表し、女性インスペクターを採用する際の差別をなくすように男性インスペクターらに訴えかけた。また、電子メールを通じて情報を共有する女性インスペクターの非公式なネットワークも設立した。


女性インスペクターの話

毎日が違う一日


インスペクターになったのは私にはとても自然なことでした。1971年に15歳でニュージーランド船員組合に加入して以来、職場人生のほとんど全てを組合活動に捧げてきました。
今はニュージーランドのFOCキャンペーンを調整したり、通常の査察業務も行っています。30年以上も海運産業と組合活動に携わってきたので、同僚のインスペクターや日々接するあらゆる人々が敬意をもって私に接してくれていますし、よく協力してくれます。
インスペクターには典型的な一日など存在しません。一見、とても単純そうに思える仕事の処理に悪夢のように何日も追われることも珍しくありません。私は常にニュージーランドの主要港の状況を観察し、要注意船に目を光らせています。そしてボランティアで形成したチームを率いて査察を行います。
国内外のニュース報道にも目を光らせます。プレス声明の発表やロビー活動、あるいは組合の力が必要になることもあるからです。ITF加盟組合、ミッション、エージェントを含む支援団体ともEメールや情報や資材の郵送を通じて日々連絡を密に取っています。また、ITFの活動促進のために様々な会議にも参加します。
海運産業に従事する女性の連帯を高めることが重要です。特に、外航海運には孤独が伴い、女性船員の数も圧倒的に少ないので、連帯することが重要なのです。女性船員に特有の問題や女性だから必要になるものを特定し、女性の要求に答えていくことで、女性が船員という職業を選択する上での偏見や障壁を取り除いていかなくてはなりません。
キャシー・ウェラン
(ニュージーランド)


強まる力

昨年キプロスで行ったインスペクターセミナーに7名の女性が参加したことを嬉しく思います。お互いについてもう少しよく知る必要があったので、会議ではお互いがどこの誰で、どうしてインスペクターになったのかのいきさつを話し合い、普段感じていることについても情報を交換しました。
短い声明文を作成して会議に参加しているインスペクターに配布しましたが、好評でした。会議で女性インスペクターが立ち上がって自己紹介をした時も、男性の同僚たちから拍手喝采を受け、心から歓迎されていると感じました。
出席していた女性は出席者の恋人や奥さん、あるいは組合の事務職員だと思っていた参加者もいたかもしれません。そういう考えを払拭して、現場で仕事をこなしていける女性もいるのだと知らしめたことは大きな意味があります。
女性インスペクターが抱えている問題や成功した体験談などを分かち合う場ができたことで、状況がよく見えるようになり、自信をもって働くことができるのです。女性インスペクターの数が増えていることは実に素晴らしいことです。
ライラ・スミス
(アメリカ)


女性ならではの利点

私は2003年1月にITFアシスタント・コーディネーターに指名されました。17歳の時、補助事務員としてオランダ船員組合(FWZ)で働き始めました。1995年にFWZの執行委員会の書記次長になると同時に、ITFインスペクターのアシスタントになりました。
時には女性であることが有利に働くこともあります。例えば、昨年のある夏の晩、同僚と査察を行った時、そう感じました。同僚は朝からこの船に乗船していましたが、非協力的な船長に手を焼いていました。そこで、晩になって私も頼まれて乗船しました。すると船長の態度がガラリと変わってしまったのです。女性を相手にすると態度が180度変わってしまう船長もいるのです。船員たちは家族を抱え困っていましたが、交渉の末、送還されることになったため、私にとても感謝していました。人権問題に関しては、時には女性のほうが交渉上手だと感じた船員もいたはずです。
デビー・クライン
(オランダ)


ユーモアと相互支援

2001年1月以来、ITFインスペクターを務めています。以前は、会議で会うたびにスェーデンのインスペクターからわくわくするような話を聞かされていました。私は彼らを質問攻めにしたものです。現役のインスペクターたちと一緒に訪船する機会も得ました。前任者の退職を期に後任につくように進められ、迷うことなくインスペクターの仕事を引き受けました。
この仕事はとても大変です。いろいろなことがありますが、だからこそ楽しいのです。インスペクターに就任してまだ日も浅いですが、これまで普通のスウェーデン人なら信じられないようなひどい状況で働かされている船員を何人も見てきました。
男性の同僚だって経験したことの無いような悲惨な目にあったこともあります。協約に署名する前にキスしてくれと言ってきたり、結婚してくれ(実際は両方同時に言われたわけですが)などといってくる船長もいました。そんな時はユーモアのセンスを忘れずに、お誉めに預かり光栄だと礼を述べた後、本題に戻るようにしています。雰囲気が好意的である限りは気にしません。幸い、これまではそうでした。
あらゆる場面で連帯が不可欠です。女性インスペクターの間では、特にそうだと思います。最近では、仲間の女性インスペクターに助言を求めたり、フィードバックしてもらったり、支援を求めたり、単におしゃべりをしたりするようになりました。男性インスペクターと同様に、女性インスペクターの存在が当たり前のことになってくれる日が一日も早く来るように期待しています。
アニカ・バーリング
(スウェーデン)
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ヤスミン・プラビューダスは、ロンドン勤務のITFオンラインの編集者
 
 
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