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グローバルユニオン

2004年4月 第15号
■オピニオン
 
世界の諸問題を協力で乗り越えよう

国際自由労連(ICFTU)書記長ガイ・ライダー

世界では何十億もの人々が貧困に喘いでいる。社会基準がどんどん切り下げられる一方、相次ぐ企業スキャンダルで国際・国内規制の不備・欠陥が明るみになっている。こういった状況の中で、常に矢面に立たされるのは一般市民と、人間らしく働く機会を奪われた労働者たちだ。
2004年1月にインドのムンバイで開かれた世界社会フォーラム(WSF)には世界中のITF加盟組合、他産業の労働組合や、各種団体の代表者が結集し、国際社会の意思決定機関において、社会、環境、開発問題を脇に追いやるのではなく、前面に押し出すことでグローバル化の方向性を変えようと訴えた。
労働組合の代表団は皆、国際社会が直面する多くの問題は国際協力の強化によってのみ解決できるという信念の下に団結していた。そして、これを実現するためには、ほんの一握りの人間ではなく、大多数の人間のためになる、民主的で責任ある国際機関をベースとする真のグローバル・ガバナンス(統治)が必要なのだ。
国際労働界は公正かつ持続可能な発展の実現を目指して活動しているが、ムンバイでは、同じ価値観・目的を共有する他団体との連携の構築・強化にも力を入れた。
われわれが直面する主な課題は、効果的、民主的、かつ責任あるグローバル・ガバナンスを構築するための新しい気運を盛り上げること、孤立主義に反対し多国主義を唱えること、相互尊重、寛容、国際連帯を促進することである。
世界各地の武力紛争や、平和と安定に対する新たな脅威の発生により、国連の役割および重要性がかつてないほどに高まる中で、国際労働界はグローバル・ガバナンスの構築だけでなく、労働組合権、平等、公正かつ持続可能な発展、児童労働などの問題に焦点をあてたキャンペーン活動にも他団体と連携しながら取り組んでいる。
今年、ICFTUを含むグローバル・ユニオンズは「行動シーズン」を立ち上げた。この「行動シーズン」は3月8日の国際女性デーに始まり、「尊重」をスローガンに掲げる5月1日の年次行動日で山場を迎える。このメーデーの行動日は、世界中の労働者がこれまでの労働運動の成果を称え、自らの主義主張を再確認する場となるが、今年は、労働者の権利の尊重、女性労働者の尊重、貧しい生活を強いられている労働者の尊重をテーマにさまざまな活動が繰り広げられることになっている。
われわれ労働界は世界社会フォーラムに明確なメッセージを伝えた。人々の権利・利益が優先されるもう一つの世界は可能だというメッセージだ。しかし、このような変革は、国際連帯の精神の下に国際機関を改革し、民主主義、人権、社会・経済発展を全ての人々にもたらすという強い意志と絶え間ない努力によってのみ可能となる。
労働組合だけではこれを達成することはできない。地域社会や環境団体との連携や、社会正義の実現を目指すより幅の広いキャンペーン活動が求められている。
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責任感のある経営者求む

職業病の専門家やその他の医療専門家は、かなり前から交通運輸労働者を、健康に有害な長時間労働と劣悪な労働条件に苦しんでいる職業グループとして位置付けてきた。その中でもバス運転手が最も(健康を損なう)危険率が高いとされている。
彼らの職務はストレスが多いうえに、長時間労働とわずかな休憩時間が重なり、(規則が存在していても実施されることはほとんどない)その結果バス運転手は、心臓発作、脳卒中、狭心症、慢性的な脊椎や腰椎の不調などの筋肉骨格障害、神経衰弱、不安およびその他のストレス関連症状などにかかる危険性が高い。
それゆえに、各国政府、国際機関などがこの問題に取り組み、最大運転時間及び労働時間を安全な限度内に制限することによって、運転手やその他の交通運輸労働者が十分な休憩時間を取れるようにすることが極めて重要である。(社会に)不可欠な都市公共交通サービスを運行するためのスタッフを募集し、維持していくために、最も高度な安全基準を達成しようとするならば、これは重要な要素である。
もう一つの課題は、所有権問題と地域公共交通運輸サービスの規制である。近年、交通運輸の民営化・規制緩和が進行しているが、その結果、世界の交通運輸労組の報告するところによれば、組合員の労働条件がほとんど例外なしに引き下げられている。これは何が理由なのだろうか?その理由は、民間経営者が経費を削減して、利益を増大させることを認められているためである。そして、彼らの最大の目標は人件費削減なのだ。
バスは鉄道ほど大きな資本を必要とせず、人件費が全営業経費の50%以上を占める。民営化でまず行われるのは運転手の賃下げだ。
地方の政治家たちは自治体の公共交通の民営化を推進する理由として、「効率化」、「革新」、「近代化」といったあいまいな言葉を使ったり、「減税のため」と言ったりする。しかし、民営化によるコスト削減も、住民に不可欠な公共サービスを提供している労働者の犠牲の上に成り立つものだ。
英国では、規制緩和と民営化によって、地方のバスサービスにおいては、賃金水準の実質的な低下が見られた。競合するバス企業は、新入社員には低い賃金水準を導入し、現職の運転手の賃金は、凍結または水準の引き下げを実施したためである。一部の欧州諸国においては、現行の労働法がこのような賃金引下げを防止しているが、常に完全な保護を保証することは不可能である。しかしながら、民営化によって交通運輸労働者の賃金及び労働条件が低下したことは一般的な事実である。
民営会社に共通している特長は、作業密度を高めることによって「効率」を上げようとする傾向である。このことは、休憩時間の短縮、継続労働時間の延長、終着駅における折り返し時間の短縮を意味している。これらは、長期病欠者の早期解雇を含む、一層厳格な規律制度を伴うことが多い。
これらのすべてによって、労働者の受ける圧力は高まり、ストレス、疲労、傷病の増加と士気の低下を生み出すのである。この結果、多くの場合に、スタッフの新規採用や勤続維持が極めて困難となり、運行回数の削減やサービス水準の低下を招いている。(特にこの問題は英国のバス交通産業の現実問題となっている)。
民営化で地方議員も地域における公共サービスの提供という責任感から解放された。しかし、このような責任感は、安全や労働条件の向上に資源を投入させるためには不可欠だ。これによって恩恵を受けるのは、都市交通産業に従事するわが組合員のみならず、十分な資源を保有し、安全で近代的な、信頼性の高い公共交通システムに依存する数百万人の一般利用者でもある。
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マーチン・メイヤーはITF都市交通委員会の副議長、およびシェフィールド(英国)に本部を置く運輸一般労組(TGWU)の執行委員
 
 
INDEX
民営化の弊害に立ち向かう南アフリカの労働者
ガス欠寸前
戦略的アプローチでバス運転手の賃上げキャンペーン成功
妊娠はご法度
スリランカの客室乗務員組合の闘い
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国際安全基準決定に港湾労働者が参加
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ロシア鉄道改革論の分析
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