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グローバルユニオン

No.17/2003
■水産業
 
違法操業

便宜置籍船(FOC)制度は、海洋の汚染を防止し、世界の水産業界による法律の尊重を確保し、海洋の水産資源を持続可能とするための、全ての努力を阻害していることが明らかとなっている。
多くの国々が、自国の国旗を掲げた船舶にたいし、規則を尊重させるための措置を取ることに無関心であるため、優れた目的のもとに策定された法律、規則、協定などが所期の効果を発揮できなくなっている。
さらに、状況を悪化させているのは、多数の国の貧弱な実施体制である。この二重の失策のうえに、水質の汚染と資源の略奪が行なわれている。FOC制度のために所有者があいまいな漁業船団は世界で活動を続けているが、海上における規制の放漫、非効率または規制の欠落のおかげで、彼等の操業が中断されることはない。
これらの問題に注目を喚起するため、1999年の持続可能な発展のための国連委員会の第7回会合にITFが提出した「荒れる海洋」と題された報告書は、水産業、海洋汚染およびFOC制度を強く批判している。この国連会議は、問題がいかに重要であるかを認識したが、その後三年の月日が経過したにもかかわらず、状況は深刻化の道をたどっている。
法規の執行が欠落しているために、海洋を汚染し、違法漁業を行う船舶は、海上を自由に航行し、テロリスト船団、薬物密輸船、密航者輸送船、武器密輸船およびその他の無法船舶との交流を続けている。
2002年、南アフリカのヨハネスブルグで開かれた地球サミットに提出された文書「さらに荒れる海洋」は、これらの深刻化する状況に関する報告書である。この文書は、ITF,グリーンピース、国際自由労連(ICFTU)およびOECD−TUAC(OECD労組諮問委員会)が共同で出版したものである。
「さらに荒れる海洋」は、悪者はFOC船だけではないと指摘している。しかしながら、彼等がもたらした海洋環境の荒廃は、その損害の規模においても、汚染事故の件数においても、その他の汚染源との比較を絶したものとなっている。
EUのフランツ・フィシュラー漁業コミッショナーは、FOC制度が、全人類の共有遺産の無法漁船による破壊を許しているとして、次のように述べている。「規則や管理による拘束を避けるために、船舶所有者が自分の国籍ではなく、外国に船舶を登録する便宜置籍船制度は、今日の世界の海事産業にとって重大な脅威となっている。」
多様な形態の密輸事件に関連していることが明らかとなっているカンボジア船籍について、カンボジア公共事業・運輸省は、船舶の所有者が誰であるかについて「知らないし、関心もない」と発言したと伝えられている。
アイマッド・ヤーヤ氏は、次のように発言したと報道されている。「船舶所有者が誰であるか、また、彼等が(ホワイトビジネス)をしているのか(ブラックビジネス)をしているのかについては、我々は知らないし、関心もない。我々に関係のないことである。」カンボジア船籍は、2001年度に40%の成長を記録した。
「さらに荒れる海洋」は、1999年の国連会議の後に、一定の措置が講じられたことを認めている。例えば、一部の国々では、違法容疑のある漁船からの魚類の輸入を禁止し、または自国民が違法漁業に関与した場合には検挙、起訴することに同意するなどの措置が取られた。しかし、国際協定を執行するために必要な「政治的協調行動」は、いまだに欠落したままである。
「海事および水産業界における自主規制方式が、完全に破産してしまったことは明白である」と提出文書は述べ、「現行制度は、解体されるべき船舶や違法漁業に関与している船舶に避難港を提供している」と主張している。
FOCに関する国連の指標は、すでに存在している。即ち、国連海洋法条約(UNCLOS)の第91条は、船舶と船籍国の間には「真正な関係」がなければならないと規定している。常識的な見地からすれば、少なくとも「経済的関係」として、船舶の行動について責任を持つ経済的な実体が船籍国に存在するべきである。
しかし、ITF、グリーンピースおよびその他の組織は、本質的問題は、その場しのぎの方法では根絶できないと語っている。「国際法によって特別に規定された要件を、効果的に無効力なものとするための、慣例化された制度以上の存在となっている便宜置籍船制度を廃絶するためには、しかるべき機構が必要である。」
FOC船は、海上の死傷事故、海洋汚染事故の主要な発生源となっている。高船齢の基準以下船舶は、FOC船籍に登録されることが多く、海難事故や汚染事故につながる率が高い。英国海難事故調査支局は、昨年の年次報告書において船籍国の大多数を非難して次のように述べている。大多数の船籍国は、独自の徹底的調査を実施し、その結果を公表する意思、または能力を持っていない。さらに報告書は、船員が安全に関する欠陥を報告すれば、解雇されるのではないかと考えるような「恐怖の風潮が海事産業内にみなぎっている」ことを強調している。
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増大する便宜置籍船(FOC)フリート

便宜置籍漁船のフリートは、世界の便宜置籍船隊の10%から12.5%へと、1999年以降も増加を続けている。一部のFOC船籍国(パナマ、マルタおよびモーリシャス)の漁船隻数は減少したが、その他のFOC船籍国(ベリーズ、ボリビア、カンボジアおよび赤道ギニア)に登録された漁船隻数は増加した。
ベリーズおよびホンジュラスは、漁業規則に違反した漁船の登録を抹消していると主張している。けれども、ある国で取締りを強化しても、他のFOC船籍国が緩めてしまう。制裁措置が実施されたり、解除されたりしているが、船舶は船籍を他の国へ移してしまう。約80カ国に漁船は船籍登録されているが、受益(実際の)船主は、台湾、日本およびEUに所在している。商業的漁業の対象となる魚種の90%は、沿岸国の排他的経済水域(EEZ)内に棲息しているが、FOC漁船の利用によって得られる利点は、適用される漁業管理制度の回避あるいは違法操業しかない。
2001年7月の公式監視代表団は、世界の漁業フリートによる行動綱領の悪用および違法操業の増大に照明を当てた。ルクセンブルグが資金を提供したグリーンピースおよび監視活動提携ユニットは、上空からの監視を行い、ギニア―コナクリのEEZ内で操業中の漁船32隻と冷凍船2隻を発見した。その半数は、船名、船籍、認識番号のない大型トロール漁船で、最も貴重な魚種を対象に操業していた。
多くの懸念や公式の決議にもかかわらず、規制執行の欠落のために、違法・無規制漁業に反対するための、あらゆる措置がまたもや侵食されていたのであった。2001年において、1,349隻の漁船が「未知の国旗」を掲げていた。前年に比較して300隻の増加である。1994年に発見されたこの種の漁船は、14隻に過ぎなかったのに比べれば、大幅な増加である。
フランスは、南極圏のフランス領周辺の海域で、マゼランアイナメを漁獲するため操業中の20隻の漁船を拿捕した。これらの漁船の大半は、便宜置籍船であった。フランスの裁判所は、絶滅に瀕している魚種を捕獲したとして、グランド・プリンス号の船体を没収した。漁船の所有者はスペインのノイカン社で、ベリーズに船籍が登録されていた。
ベリーズ船籍には、約500隻の漁船が登録されている。「ベリーズ船籍は、ポートステート・コントロール(PSC)による抑留、海難事故および乗組員に関する問題などについて、最悪の記録を残している」と「さらに荒れる海洋」は述べている。
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ITFの勧告...

「さらに荒れる海洋」のなかでITFが勧告している主な事項は以下の通り。
● ILOが定めている基本的労働基準は、漁船にも適用されなければならない。
● すべての国連加盟国は、国連海洋法条約、とりわけ海洋環境の保護と保全に関する船籍国の責任を規定した条項を、適用しなければならない。
● すべての船籍の船舶による国際規則および基準の遵守を確保するための措置(適切な場合には強制措置)の策定を求める、国連の持続可能な発展に関する委員会の1999年会議の決定を、國際海事機関(IMO)は全面的に履行すべきである。
● 漁船と船籍国の「真正な関係」の概念について定義づけるようIMOに求めている、国連総会決議を、IMOは完全に履行するべきである。
● 違法、無報告、無規制の漁業を防止し、抑止し、廃絶するための、国連食料農業機構(FAO)の国際行動計画を、すべての国連メンバー諸国は実行すべきである。
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