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グローバルユニオン

No.19/2005
■労働組合
 
なぜ、労働組合に加入することが重要なのか?

ロシア船員組合(SUR)、技能労働チーフインスペクターのエフゲニー・ヒジャークが、船員にとって労働組合に加入することの重要性を述べる。

私は1991年にSURの組合員になり、組織部門で活動してきました。組織部門は、ロシアや海外の船員を支援しています。組合員が負傷または死亡した場合の補償金請求などについても支援を行います。協約に基づき受け取る権利のある賃金等に関する問題の解決に当るほか、しかるべき賃金を求めて組合は日々闘っています。
最近は、政府の担当者はロシア船籍の船に乗船する船員に対しても、裸用船された船舶が船籍を登録しているカンボジアやベリーズで問題を解決するようにと指示してきます。船舶所有者だけでなく、船員配乗業者やいかがわしい船長が関わってくる状況で、船員に対して正しい助言ができるのは、労働組合とITFだけです。
だからこそ、労働組合に加入することが何よりも重要であり必要なことなのです。船員が労働組合によって団結しなければ、船員にとっての正義と正当な権利のための闘いで勝利することはできません。
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ティモテウズ・リステブニク
ポーランド「連帯」全国海事部(NMS)組合員


私が船員配乗代理店で出会った労働組合活動家の紹介でNMSに最初に連絡を取り、加入してからやっと3年経ちました。それまでは、船員組合についてほとんど知りませんでした。それまでの海上勤務において、とりわけ便宜置籍船での勤務においては、問題や疑問がたくさんありました。しかし、雇用条件に関する疑問や不安を解決してくれる人はいませんでした。
契約の満了、時間外手当の未払い、雇用契約書の不在などについて、私は疑問を持っていました。他の仲間と同じように、始めは現状を受け入れとていましたが、時間の経過とともに、ITFや労働組合について知識を得ました。ITFや労組は長い間、私にとっては遠い存在でしかありませんでした。思い返すと本当に残念です。
何度も組合を訪問し、話し合ったので、今は自分の雇用条件を明確に理解しています。船員配乗業者に何を確認すべきか、次の乗船のために何を準備すべきかなどを今は把握しています。
私はすべての若い船員たちに、自国のITF加盟労組に加入するよう勧めたいと思います。船員として経験を始めるにあたり、後々重要になるだろうたくさんの事柄を見過ごしてしまう船員は多いのです。外観はしばしば誤解を生じるものです。立派な船に優秀な労働条件がともなうとは限りません。
労働組合員となることは、一種の保険であり、労組とは情報センターでもあり、船員の権利のために闘う組織なのです。必要な時にいつでも組合に支援を求めることができる生活は、よりよいものです。
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アンドルゼイ・コチック
グディニア港ITFインスペクター、ポーランド


船員は強い人間です。我々は団結すべきです。団結によって、一段と強力になれます。私は船員です。だから私は船内の生活がどんなものか、家族から遠く離れている孤独や仕事のプレッシャーがどんなものかを良く知っています。船員は援助を必要とするとき、一人では闘えないのです。
これは何も新しいことではありません。我々は若い世代の船員たちに、労働組合のもとに団結すべきであることを気付かせなければなりません。組合によってみんなが強くなれるのです。組合は、援助を必要とする人々に援助を提供してくれます。
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スティーヴン・フェルナンド
ITFインスペクター、ツチコリン港、インド


労働組合に加入していない船員は、一般的に賃金が低く、労働時間も一定していません。万一、船内で事故が発生すれば、船主は船員に直ちに治療を受けさせ、帰国させます。災害補償もなく、医療手当ても有給休暇もありません。福祉手当も年金もありません。すべての船員が自国の労働組合に加入していれば、労働組合の力は増加し、交渉力も強力になります。そして、全ての船員が利益を得ることとなるのです。”
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アンドレイ・チェルノフ
ITFインスペクター、クライペダ港、リトアニア


チェルノフは、リトアニア船員組合の組合員が乗組んでいるNIS(ノルウェー国際船籍)のアイスウインド号を訪船してこう尋ねた。「労働組合に加入することは何故重要だと思いますか?」
一番多い回答は、「組織化されるため」というものでした。組織に加入することによって、賃金や労働条件を改善するために、組合員を代表して活動する組合役員を選任し、雇用することが可能となります。
二番目に多い回答は、雇い主の違法な行動からの「保護を受けるため」でした。組合役員は、法的支援、保護ならびに助言を自ら、または必要に応じて法律専門家の助言にもとづいて提供することができます。
三番目は、労組による「情報の提供」でした。労組は、多くのセミナーや会議に参加することによって、経営者がどのように労働者を処遇しているかについての情報を常に収集しているとする回答が多くありました。
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ルシアン・ラザフィンデライベ
マダガスカル海事組合(SYGMMA)書記長


労働者にとって、自分の権利を理解し、権利を促進・保護するために労働組合に加入することは利益となります。労働組合はまた、団体協約の交渉においても大きな力を発揮します。労働組合の力の源泉は、抗議行動などの実施に際して組合員を動員する能力です。
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チンモイ・ロイ
ITFインスペクター、カルカッタ港、インド


ITFインスペクターとしての私の経験からいえば、労働供給国出身の船員が労働組合に所属していなければ、船舶所有者から搾取されたり、船員配乗業者にだまされたりする確率ははるかに高くなります。労働組合の名刺によって、配乗業者を恐れさせることもできます。というわけで、船員は全ての労働組合に加入すべきです。
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スバシュ・デイ、二等機関士(インド出身)。彼はチンモイ・ロイの交渉によって未払い賃金を獲得した。
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最初に告白しますが、私は労働組合のメンバーではありません。でも、インド船籍のヴィスパタウリニ号に乗船した4ヶ月間の未払い賃金4,562ドル(US)を受け取ったばかりです。これはITFの介入がなければ不可能なことでした。今は組合に加入することを決めています。
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ロシア人船員の未来に明るい兆し?

ロシアでは船員も漁船員も組合を実利的なものとしてとらえている。本当に困ったときにだけ組合のことを思い出すのだ。しかし、ロシア船員・漁船員の組合に対する意識が高まりつつあるとピーター・オスチャンスキーは語る。

数年前、大型工作船「ライバク・チュコキ号」が釜山で修理されていた間、船員は賃金を1年間近くも受け取れずにいた。そこで、乗組員はウラジオストクのITF事務所に駆け込み、ITFの支援を受けるために組合に加入した。
もちろん、組合は支援に乗り出し、組合に入らなかった船長を除いて、乗組員全員に総額50万ドルの未払賃金約が支払われた。
数ヵ月後、たまたま同じ船長が組合に支援を求めてきた。その時、組合員は思った。列車はもう出発してしまった(後の祭りだ)と。
新たに組合員となった船員は、航海中に姿をくらましてしまった。再び賃金未払いの問題に直面すれば、組合に姿を現すのかもしれないが…。
レキン号やハイドゥク号の乗組員も同じだ。2年間も賃金未払いが続いていた両船の乗組員は組合に助けを求め、未払い賃金の獲得に成功したが、目的を達成した途端に組合のことは忘れてしまった。
この2年間で、フェニックス号、ベレグ・メキティ号、ベレグ・ナディヤッチ号、ウルバンスキ・ザリブ号などでも、問題が発生し、乗組員は組合に救いを求め、未払い賃金(総額200億米ドルにも上った)を受け取った後、組合を去っていった。その後も組合にとどまった船員は非常に少ない。
便宜置籍船を巻き込んだ死亡事故が発生した場合は最悪だ。死亡した船員の親戚は、船主、検察官、マスコミなど、あらゆる手段に訴え、事故の責任を追及しようとする。そうして、最後にITFに救いを求めてくる。
少なくとも、彼らにとってITFは最後の手段なのだが、死亡した夫や息子が生前に組合に加入する勇気があったかどうかは彼らにとって問題ではない。家族が雇用契約を持っている、あるいは持っていたとしても、それが意味のあるものである可能性は極めて低い。
それにも関わらず、不思議だが、ITFには遺族らが賠償金(しかもITFが妥当とみなす金額)を受け取れるように支援する責任があると思い込んでいる。
昨年アロント103号が13名の乗組員もろとも日本海に沈んだ時も同じことが起きた。同船には、ビルマ人、インドネシア人、ロシア人の船員が乗り組んでおり、船長、機関長を含め、生命保険をかけていなかった。また、会社側との契約書も所持していなかった。
韓国のインスペクターの援助もあり、ロシア人船員の各家族が小額の賠償金(総額65,000米ドル)を回収することができた。賠償金は、韓国の船主から遺族の銀行口座に直接振り込まれた。しかし、数ヵ月後、遺族は政府当局にITF水準の賠償金(船員一人につき60,000ドルおよび、扶養する子供一人につき15,000ドル)を貰えるようにしてくれと要求した。もちろん、彼らの言うことを聞く者はいなかった。
2004年11月2日、2隻のFOC船がロシアの極東沖で激しい暴風のため沈没した。カンボジア船籍のアローサ号と、モンゴル船籍のヴェスト号だ。2船には合わせて32名の乗組員が乗船していた。そのうち、ロシア船員組合の組合員だったのはわずか1名だった。大部分(26名)がヴェスト号に乗船していた。ヴェスト号の乗組員は雇用契約を所持していなかった。この乗組員を雇用した配乗会社の部長が殺害された数日後、船員の乗船を証明する記録を探す試みも途絶えてしまった。
当局は、乗組員は外国籍船に乗船していたため、問題は旗国(この場合はモンゴル)で解決すべきとの判断を下したため、遺族はITFに救いを求めてきた。しかし、その船員が組合員ではなく、組合は、その船員が結んだ雇用契約を一切管理できる状態になかったというのに、どうして組合に救いの手を差し伸べることができるというのだろうか。
そもそも、船員や漁船員はなぜ組合を避けたがるのか?極東ロシアには海事関係組合がいくつかあるが、最も活動しているのはロシア船員組合(SUR)だ。
2つの理由がある。第一に、中小の船社(FOCの利用が圧倒的に多い)は組合員を雇用したがらない。組合加入を禁じる不文律が存在するのだ。ロシアでは失業率が高く、船員は組合をとるか、少なくともいくらかは金を貰って働くかの選択を迫られることになる。
組合員であることを隠し続けることは難しい。ロシア人船員の給料は高くないが(月額300〜400米ドル)、ラッシング(貨物の固縛)やホールド(船倉)の清掃、車両の揚げ積みを行ったり、日本から自動車部品を買い付けたりすることで月に800ドルも追加で稼ぐことができる。
第二の理由は心理的なものだ。ソ連時代、問題が発生した時は組合に苦情を申し立てれば、組合が船員にとって望ましい形で全てを解決してくれた。もちろんこれは組合というよりは、当時、誰もが恐れていた党委員会によるところが大きいのだが。当時は党が全てだった。このような状況の下、船員・漁船員の間に社会に依存する風潮が広まっていったのだ。
しかし今日、組合に苦情を申し立てるだけでは済まない。ストに出たり、使用者を相手に訴訟を起こしたり、自分自身で行動することが求められる。しかも、行動の結果が常に自分たちのためになるとは限らない。たとえ自分たちに有利な判決が出たとしても、判決が必ず履行される保証はない。つまり、未払賃金回収のために何年間も費やしても、何も得られないまま終わることもあり得る。ロシア人船員はこういうことに慣れていない。
彼らはまだ独立した強い組合を創設する段階にないため、一時的な組合加入が最も適した形であると感じているのだ。
しかし最近では、多くの船員(うれしいことに職員や船長も多い)が船に乗る前にウラジオストックのITF事務所を訪ね、どうしたらITFに加入できるのかと聞いてくる。彼らの多くがアドリアチックタンカーやミレニアムが倒産した時にITFに助けてもらったことを覚えているのだ。今や彼らは雇用契約、そして何よりも団体協約が重要であることを知っている。ゆっくりと、しかし着実にロシア船員・漁船員の組合に対する意識は高まりつつある。
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