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IMFは66,000人のインド人船舶解体業者のうち15%がアスベストの暴露の影響を受けていると推定している。アーランで行われた調査によればそこで働く6万人のほとんどが毎日1米ドル以下の稼ぎしか得られない。 |
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グローバルな船舶解体産業における死亡、怪我、職業病の発生について、正確な数字は無い。しかし国際労働機関(ILO)により同産業は最も危険の多い職業の一つに指定されている。 |
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インド、グジュラートの産業安全健康局によれば、アーランの船舶解体業における過去10年間(1995〜2005)の死亡事故データでは死亡事故の割合は年間1,000人に対し2人である一方、インド全体の数字と比較した場合、最も危険の多い分野と見なされている鉱業部門でも年間1,000人に対し0.34人に過ぎない。 |
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船舶の中に使われている有害物質や廃棄物にはアスベスト、有害重金属、内容物では鉛、水銀、カドミウム、乾電池、照明用液体、PCBおよび圧縮ガスなどがある。そのほか、作業員は火事、爆発、高所からの落下、密閉された場所での酸素不足、個人用防護機器の不足といった別の危険にも直面する。 |
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IMOの海洋環境保護委員会では安全でかつ環境にとって健全な「船舶リサイクル」に関して拘束力のあるグローバルな協定の枠組み作りを交渉中である。 |
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海運産業ではもう何年かにわたり、リサイクルする船舶の最低基準を作る必要性が認識されてきているし、船舶解体現場の劣悪な労働環境についても十分記録が残されてきた。船舶を解体現場に持ってくるまでのブローカーの複雑な仕組みも現場労働者にかかわるさまざまな関係者たちの責任体制も対立の多いものとなっている。しかしこの10年で進展が見られるようになってきた。 |
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ILOへの働きかけに関してITFはIMFを支援してきた。ILOは船舶解体における健康と安全のガイドラインをアジア諸国とトルコに関して作成している。 |
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ITFはさらにまた海運産業フォーラムで船舶のリサイクルに関して緊密な連携をとってきており、有害物質を特定するグリーン・パスポートの概念を導入して解体場に運ばれる前に適用される船舶に関する船主と乗組員向けガイドラインを策定している。 |
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IMOの2005年総会はリサイクルのガイドラインと船舶リサイクルに関し法的拘束力を有する新たな国際的取り決めを求める決議A.981(24)を採択した。その上でILOとベーゼル条約事務局に三者作業グループを設置した。この新たな取り決めでは船舶解体現場における健康と安全部会が設置されることが計画されており、2009年の採択を見込んでいる。なお批准は2015年までかかるだろうとされている。 |
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ITFとIMFはIMOの作業を支援しており、ILOとの全面的協力関係により作業が行われている場合は特に強い支援を行っている。また法的拘束力のある国際的取り決めの策定を歓迎している。しかし次の10年間はこの取り組みは現場で働く労働者にとって何ら助けにならないこと、また業界からも健康安全問題に対する緊急な取り組みが現状以上にはないことに懸念を抱いている。 |
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不幸なことに、ある環境グループの行動が解体作業場の閉鎖に繋がり、その結果必要度の高いとされている多くの仕事が失われることとなった。労働者とその組合が要求として掲げているのはまともな仕事というもっと基本的なことであり、安全な作業行為とか防護服、有毒物質から守る安全措置といったものである。 |