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グローバルユニオン

2007年1〜3月 第26号
■国境問題に関する対話始まる
 
国境問題に関する対話始まる

国際運転手が直面する問題を話し合う初のILO政労使会議が開催され、世界で最も弱い立場にある国際運転手の抱える問題の解決へ向けた対話と新たな動きが生じたと浦田誠は報告する。

劣悪なインフラ、官僚主義、非効率な手続き、国境警察や職員の汚職などにより、世界中で国境を越えることに大きな困難が伴っている。こうした要素は全てが遅延の原因となり、国際運転手(国境をまたいで働く運転手)はこうした状況に耐えなくてはならない。国際運転手は、休息を取ることも、問題が発生した場合に支援を受けることもできない状況下で、国境警察や国境職員からのいやがらせやいじめの標的になりやすい。
業務開始前にも、運転手は時間のかかる様々な煩雑な手続きと格闘しなければならない。国際労働機関(ILO)の報告によると、東欧諸国の国際運転手が1回の越境のための手続きで30時間も待たされることすらあるという。
ホンジュラス自動車労組(SINAMEQUIPH)のエラスモ・フローレスは、昨年10月にジュネーブで開催された、運転手が国境を越える際に直面する様々な問題に関する初の政労使による三者構成会議で次のように語った。
「この会議の直前にパナマ出身のラファエル・アラウズ、グアテマラのジルベルト・カレーナ、エルサルバドルのサントス・アマド・ルビーオに会った。彼らのように組合に救いを求めてくる国際運転手は多い。この3人は、ホンジュラスへ行く途中の国境地帯で足止めを食らい、組合に助けを求めてきた。しかし、本国に帰ると組合に加入することを恐れている運転手が多い。会社による報復措置を恐れるからだ。今回の会議の開催が、この3人のような国際運転手たちに救いの手を差し伸べることにつながればと願う」
ロシア自動車路面運輸労組のビクター・モナシェブは、ラトビアへ入国する際にロシア人運転手が40キロの渋滞に遭ったことがあると話した。「遅れることで運転手が攻撃的になったり、暴力を働いたり、贈賄に走ったりしてしまう」とモナシェブ。
「待っている間に居眠りをしたり、トイレに行くために車を離れたりしたら最後だ。少しでも列が動けば後ろの運転手に追い抜かされ、たちまち出発地点に戻される」とスウェーデン運輸労組のパーデビッド・ウィンバークは語った。「ストレスの原因となるこうした遅延で運転手は疲れ果てている上に、遅れを取り戻そうと加速する。交通事故の材料が完璧にそろってしまう」
ブラジル運輸労連(CNTTT)のエデュバルド・ダ・シルバは、ITFとSASK共催により、昨年ブラジルで開催された越境ワークショップの国際コーディネーターを務めた。アルゼンチンの国境地点へ出向いたワークショップの参加者は、敷地の一方の端に近代的な巨大免税店があるのを見かけた。しかし、その傍らの木の後ろのぬかるみに、40人程の国際運転手がトイレやシェルター、売店に行くこともできず、うろついているのも目に入った。こんな場所で3日間待たされることすらざらにある。この様子を目の当たりにし、エデュバルドは所属組合からこの問題に取り組むよう命じられた。
休憩所に行くこともできず、何時間もまた何日も待たされる間、性感染症に感染するリスクを認識しながらも、国際運転手の多くがセックスワーカーと一夜を共にすることを選択するかもしれない。ILOの報告によると、2001年の調査では、南アフリカのクワズルナタール州中部の長距離運転手の56パーセントがHIVに感染していることが分かった。
SATAWUのアブナール・ラマクゴロは、組合が10年以上前に路面運輸会社に詰め寄り、「エイズ撲滅のためのトラック輸送」プロジェクトを南アフリカで開始することに成功したと指摘した。同プロジェクトにより、エイズ問題に対する労使の認識が高まるとともに、幹線道路に複数の移動クリニックが設置され、セックスワーカーや地元住民、職業運転手を対象にコンドームの無料配布や任意カウンセリングや検査(VCT)が実施されるに至った。
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会議の成果

三者構成会議の参加者全員が、各国や地域の社会経済的発展に大きく貢献している国際運転手の権利、福祉、尊厳を守る取り組みを大々的に行うべきだと強く感じた。
「路面運輸産業は、清潔なイメージと最高レベルのプロフェッショナリズムを必要としている」と世界レベルの使用者団体、国際路面運輸使用者協会(IRU)も語っている。使用者もまた、労働者の結社の自由と団体交渉権を認識し、支援しているのだ。
三者構成会議は、衛生施設、食料や飲料の供給、休息、コミュニケーション、宿泊、合法的な娯楽、車両修繕、緊急支援サービス、駐車施設などが多くの国境地帯で不足しているとの結論に至った。また、状況に応じては、複数回使用可能な「マルチプル・エントリー・ビザ」の使用が理想的であるが、同時に非合法の雇用や入国については、排除する必要があると警告が発せられた。会議の結論文書では、越境問題に関わる社会的パートナーが従うことができる、国際運転手の人権と労働権を保護するための手続きを確立することが不可欠だと指摘された。
長時間に及ぶ建設的議論の結果、労使双方がILOを通じて越境問題のモニタリングを実施するための試験プロジェクトの立ち上げに向け取り組むことに合意した。また、労使がHIV/エイズに職場の問題として取り組むことに初めて合意した。
労働者グループのスポークスパーソンを務めたドイツ・ヴェルディ労組のピーター・バラノスキは、「今回の三者構成会議で取り上げられた問題は、わが労組の組合員が現実に直面している問題であり、十分な準備のもとに会議に臨んだ。例えば、西アフリカでは、ITFの年次路面運輸行動週間中に、組合が国境地点で合同HIV/エイズ・ワークショップを実施したり、国際運転手に組合加入を勧めたり、政府の役人と対話を行ったりした。行動週間の締めくくりには、警察による非合法査察の撲滅を訴え、幹線道路に沿いトラックの護送を実施した」
「ILO事務局は、三者構成会議に先立ち、労使双方と十分な計画を練ったが、それが労使グループの信頼を得ることにつながり、真剣かつ真摯な議論を導いた。参加者は、確実かつ建設的な成果を上げるため、熱心に議論に参加した」とバラノスキは語る。
この会議から1ヵ月以内に、ILOはフォローアップ会合を開催し、三者構成会議の結論を活動計画としてまとめた。活動計画は2007年に行動に実施されることになる。
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運転手が国境を越える際に直面する様々な問題に関する初の政労使による三者構成会議は2006年10月23〜26日にジュネーブで開催された。
浦田誠はITFの内陸運輸部長
 
 
INDEX
承認されざるものを代表して
インフォーマル運輸産業における状況
解体の極限
船舶解体業において進められる人命を守る取り組みについて
全ての女性に勝利を
組合が女性の問題に真剣に取り組むべき理由とは
ドイツ鉄道の将来は保障された
ストレスを抱えながら
民間航空産業労働者の疲労問題
権利を求める闘い、大前進
インテグレーター企業の組織化について
国際運転手の抱える問題
国際運転手救済の新たな動き
待ち望まれること
レバノンの港の新たな出発のために
オルグのこつを伝授
オーストラリアのある組織化担当の活動
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 共にジェンダーの壁を越えよう
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