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グローバルユニオン

2007年1〜3月 第26号
■全ての女性に勝利を
 
全ての女性に勝利を

女性に影響を及ぼす難しい労使問題に労働組合が取り組めば、誰もが恩恵を得ることができるとセーラ・フィンケは語る。

「担当する4ルートのうち、1つは田園地帯を走る。無線システムが古いため、一部地域では長い間、無線が機能しないこともある。辺鄙な場所で無線も通じないまま一人で勤務するのは、女性運転手にとっては不安なものだ。レイプ事件や大きな事故が発生してないため、会社は最新の無線システムに投資する必要性を感じていないが、女性運転手の安全確保のためには、男性上司が考えている以上に無線システムの整備が絶対的に必要だ」
上記はITFが現在実施している路面運輸産業の女性労働者の安全衛生に関する調査に協力してくれた、あるカナダの女性バス運転手の言葉だ。昨年、路面運輸産業で働く女性を結集したITF会議が開催されたが、会議の場で安全衛生こそ最重要課題であるとの結論が出されたことを受け、このITF調査が開始された。
他にも似たような回答が目立った。調査の第一段階から、女性路面運輸労働者の最大の懸念はストレス、暴力、衛生の問題であることが分かった。
「うちの事務所では冷たい水が出ないし、女性専用の手洗いもない」とインドの労働者が指摘した。同じ意見が多数あった。
「以前はCGガス社のガスタンクを運んでいた。欧州で40トンのトラックを10年運転していた。女性運転手の安全を確保するためには、あらゆる工場が設備のきちんと整った安全な駐車スペースを備えるべきだ。燃料の補給施設は住宅地から離れた場所にありがちなので、20分もの間、辺鄙な場所で燃料補給をしていると、今にも襲われるのではないかと不安に駆られる」とイギリスの女性トラック運転手。
「使用者は労働環境を改善する必要がある。バスの洗車用にお湯を提供すべきだ。トイレ施設を改善し、シャワー室の照明を改善し、夜間には施設全体の照明を明るくすべきだ」とリトアニアのバス洗車労働者は述べる。
回答者の多くがこれらの問題に関する支援は組合が提供すべきだということをしっかりと認識していた。しかし、これらの問題への対処能力の向上を求める回答も多かった。「ただ文句を言っているのではなく」、組合の安全衛生委員会に参加したと答えた女性もいた。
路面運輸産業で働き、ITF加盟の労組に加入する男女は、もちろんこれらの問題を解決する能力を持ち合わせている。問題の多くが男女双方に影響を及ぼすものであるが、優先順位が性別により異なる。
ITF女性委員会議長のダイアナ・ホランドは、バスの修理工場で働く労働者のニーズが性別により異なることについて、次のように述べている。「女性は組合が彼女らの意見を聞いてくれていない、あるいは、真剣に対応してくれないと感じており、一方、男性側は、男性にとっての優先事項を中心に協約交渉を進めたいと考えている時に、女性が制服を適切なものに変えて欲しいとか、トイレの数を増やして欲しいなどといった要求をしてくることに不満を持っている。お互いに協力すれば、多方面で利益を得ることができるということに男女の双方が気づいたことが、大前進のきっかけとなった。コミュニケーションを密にとることが男女の分断を克服する鍵であり、コミュニケーションにあらゆる人々を参加させる必要がある」
ITF内部のコミュニケーションも改善している。10年前、ITFが女性船員が抱えている問題について男性の会議参加者に初めて訴えた時、大きな笑い声が起きたものだったが、現在、女性の問題を話し合うことは、ITF会議では当たり前のことになっている。会議にも女性が参加しているが、まだまだ乗り越えなければならない障壁は多い。
残された課題も大きい。男女間の力の関係を変える必要がある。女性の機構自体が頑強なものではないため、まだまだ強さを発揮できない分野がたくさんある。未だに女性の問題やジェンダー平等について真剣に取り組んでいない組合もある」と南アフリカ運輸合同労組(SATAWU)のケイト・マトローはITFのダーバン大会で述べた。
女性の組織化を進めることは、ITF女性委員会にとって、単なる目標の一つではない。2002年以来、ITF女性委員会は、女性の組織化に活動の重点を置いてきた。既存のデータを見る限り、全世界の交通運輸労働者の約2割が女性であるが、そのうち、ITFに加入する女性交運労働者は14パーセントだから、その差を埋めていく必要がある。
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組織化のインセンティブ

女性交運労組の組織率を高める必要がある確固たる理由がある。統計的に見ても、組合に加入している女性交運労働者の方が賃金も高く、医療給付、年金、有給の産休、育休、柔軟な労働時間などの恩恵を未組織労働者より多く受けている。「グローバルな組織化へ」プログラムにより、現在、ITFはこれまで以上にグローバルな輸送チェーンの主な担い手を組織化の対象と見なすようになった。
今後、ITFが組織化の対象としなければならない労働者の大半が女性である。ロジスティックス会社の事務所やコールセンターで働く女性を組織化する必要がある。女性の組合加入や女性組合員の活動を促すため、ITF加盟組合は、自らの組合を女性にとって加入する魅力のある組合にするよう努力しなければならない。
路面運輸部会に倣って調査活動を実施するというのも、加盟組合が動向を捉え、弱点を把握するための一手段であろう。組合の手続き規則、機構などが時には女性が組合内で活発に活動したり、出世したりすることを阻害する可能性があり、また実際、妨げている。ITFは、女性組合員とより緊密に接触することにより、こうした問題が解決できることを学んだ。
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より強力な関係へ

ITFに加盟するブルキナファソの航空労組(SUMAC)は、組合が組織する各会社で女性のネットワークを構築した。これにより、女性が職場で直面する問題に対する組合の理解は深まった。また、このことから目に見えて生じた変化は、組合と女性組合員の関係が近くなったことだ。
「女性が職場で問題に直面し、その問題を解決できないと感じた時、直接組合に相談し、ともに解決策を探ろうとするようになった」とSUMACのジョスリン・ズグラーナは言う。「問題解決を支援してくれるよう、書記長に直談判する組合員すら出てきた」
もう一つの例は、フランスのFGTE-CFDTだ。FGTE-CFDTは、女性組合員を注意深くモニターすることを決めた。その結果、航空産業の女性従業員のうち、3分の1が職場代表に立候補することに興味があることが分かった。「モニタリングは有効だった。おかげで組合員について現実的に考えることができるようになり、それに基づいて新しい機構を立ち上げることも可能になった」とFGTE-CFDTのリリアン・デベッシェは言う。
ITF加盟組合の多くが組織を改編している。ITFデリー事務所のニシ・カパイはこう述べる。「インドの港湾労組と鉄道労組に全国規模の効果的な女性委員会ができ、きちんと機能している。女性組合員と組合の指導者の支持があったからこそ実現した動きだ」
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業界再編とジェンダー

未組織の女性労働者の要求に応えるには、業界再編のジェンダー的側面に目を向ける必要がある。業界の再編により、女性が男性と異なる影響を受けることがあり、このことは組合にとっても対処が難しい場合がある。鉄道の再編についてITFが最近実施した調査から、鉄道の再編によって女性労働者がどのような影響を受けたかについてほとんどの組合が把握できていないことが明らかになった。しかし、真っ先に辞めさせられるのは女性であることも、女性は分かっている。バスの車掌、清掃、ケーターリングなど、女性が多く働く職域は、しばしば再編の過程の中で、廃止されたり、外注化されたりする傾向が高い。
また、労働時間の変化によっても、女性は損をする傾向にある。「女性交運労働者は、これまで以上に機会を失っている。以前は、貨物輸送にも女性が携わっていたが、今では、貨物輸送に従事する女性は2〜3人しかいない。いわゆる標準的な勤務日数という概念がなくなってしまったからだ。より安く、より長く働いてくれる働き手を求める一種の競争が繰り広げられている。これはつまり、一般的にいって、女性の方が働ける時間が短いため、女性が機会を失っていくということだ」とメキシコATM労組のマリア・ヘルナンデスは言う。
女性の雇用は労働者の権利が守られていない分野で増えている。新しいビジネス分野は女性を大量に雇っている。これにより、同一賃金、適正な権利や手当を女性のために確保するという概念自体が複雑なものになっていく。グローバル化により、女性は労働市場に大量に進出することができた。しかし、女性の雇用が拡大した職域では、労働条件が完全に無規制になっている」とスペインCC.OOに加入する鉄道労働者のロシオ・ブランコは述べる。
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基本的権利

コミュニケーション機構を改善し、多様な労働者に対応する力を蓄え、交通運輸産業の雇用の変化に対応するための若年労働者政策やジェンダー政策をもった、組織化を進める力強い組合を目指す活動によってこそ、ITFの加盟組合は将来に備えていくことができよう。
同時に、基本は押えておく必要がある。ダーバン大会中に行われた女性会議では、鉄道産業で働く女性が収入を獲得する手段を失うことを恐れる余り、妊娠を隠すことや、子供を生むことを計画をした時、航空労働者がどれほど残酷な選択をしなければならないかについての発言があった。こうした深刻な問題が続々と起きている。女性交運労働者の権利は常に侵害されているのだ。
2007年を迎える今、ITF加盟組合は、再び同じ課題を抱えている。今年も国際女性日には、女性交運労働者が直面する職場の問題について勝利を収めることの重要性が焦点となろう。「女性の権利獲得は全ての労働者の権利獲得につながる」というスローガンは、組合が交通運輸の職場を安全なものにし、家族にやさしい手当について交渉し、差別問題に対処するなら、男女に関わらず、あらゆる労働者に恩恵がもたらされることを組合に再確認させるものである。
女性が行動を起こしたことを記念し、重要な労働闘争を記念する3月8日は重要な日だ。1857年の3月8日、繊維・被服産業で働くニューヨークの女性たちが、低賃金と劣悪な労働条件に抗議して立ち上がった。それから150年経った現在、交通運輸労組として、この3月8日を再び、女性そして、男性の多くにとっての労働問題を取り上げる日にしなければならない。アルゼンチンのAAA労組のアリシア・カストロが最近述べたように、「働く女性に影響を及ぼす問題は全て労働組合全体の問題なのである」
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ジョスリン・ズグラーナ、ローサ・マリア・ヘルナンデス、オシオ・ブランコは、段階的に使用することができるITFの映画・教材パック「力のある組合に−ジェンダー活動を通じ組合を構築」の作成に参加した。同パックは、グローバル化から生じたジェンダーの問題などの対処について加盟組合を支援することを目的とする。教材を取り寄せたい場合は、women@itf.org.ukにメールにて連絡を。
船員

ほとんどがクルーズ船やフェリーに乗船しているが、ITFには2万3千人の女性船員が加入している。ITF船員部会は、最近、女性船員を対象とした特別なサイトをITFホームページ内に開設した。このサイトでは、出産に関する権利、職場での差別やいじめ、ハラスメントに関する情報や助言が提供されている。興味がある場合は、www.itfglobal.org/seafarers/WomSea.cfmへ。
ジェンダー平等の問題に取り組んでいる組合役員が女性船員の権利を擁護する優れた慣行について情報を共有できるよう、新しいネットワークが立ち上げられつつある。

路面運輸

現在、実施中の路面運輸産業で働く女性の安全衛生についての調査への協力は、www.itfglobal.org/road-transport/survey.cfm/formbuilder/27/p/1へ。
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INDEX
承認されざるものを代表して
インフォーマル運輸産業における状況
解体の極限
船舶解体業において進められる人命を守る取り組みについて
全ての女性に勝利を
組合が女性の問題に真剣に取り組むべき理由とは
ドイツ鉄道の将来は保障された
ストレスを抱えながら
民間航空産業労働者の疲労問題
権利を求める闘い、大前進
インテグレーター企業の組織化について
国際運転手の抱える問題
国際運転手救済の新たな動き
待ち望まれること
レバノンの港の新たな出発のために
オルグのこつを伝授
オーストラリアのある組織化担当の活動
一般
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