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グローバルユニオン

2007年1〜3月 第26号
■ドイツ鉄道の将来は保障された
 
ドイツ鉄道の将来は保障された

ドイツ鉄道を単一体として残そうとした組合の長年にわたる闘いは成功しつつあるとオリバー・カウホールドは報告する。

何年にもわたる困難なうんざりする話し合いを経て、ドイツ鉄道の民営化と今後の機構についての決定がなされた。最も重要な側面は、DB AGは分割されないということである。会社分割に反対し単一体として鉄道システムの温存を図ろうとしてきた労働者にとっては闘いに勝利したことを意味する。
法的には鉄道網と他のインフラ事業(駅、電力供給、運行会社、工場など)はDB AGグループから切り離されるが、いわゆる「所有形態モデル」の表題のもとで協議されてきた国有インフラ企業にこれらが組み込まれる予定は無いと見込まれる。同時に「DB AGは一つの事業主体として、鉄道事業とインフラを運営し責任をとる機会を与えられる」と言われている。言い換えれば、グループを構成している個々の企業がそのまま留まり、DB AGは引き続き一つの屋根の下でインフラと鉄道事業の管理を続ける。
複雑に聞こえるかもしれないし、実際複雑な話なのである。それではこのモデルは実際にはどのように機能するのか? まずこれらインフラ企業は民営化が開始される前に、国の直接所有になる。基本的にはこれは財産法の下で進められる純粋に行政的な手続きである。次の手順として政府は、インフラ事業を運営・管理する権利をDB AGに譲渡する。つまりインフラ事業の受益所有権は鉄道会社にある。換言すれば鉄道会社はインフラを利用し、その結果を会社のバランスシートに計上することも出来る一方、連邦政府は法的に所有権を維持する。
所有の移転がどのように行われ、所有の権利がどのように配分されるかの詳細については今後の決定に委ねられる。関連合意書では三つの側面について明確に定めておく必要がある。一つは国がインフラの法的な所有者であり続けること;二番目はインフラに関するDB AGの権利と責任について;そして三番目はDB AGがいかなる状況の下でインフラに関する権利を失いそれを連邦国家に返却しなければならないかについての明確な定義、である。
さらに業績と財政についても合意が必要である。合意の中で政府はどのような種類の鉄道網が必要であるかについて定めておかなければならない。それから鉄道会社は定められた詳細に則り、鉄道網を維持し発展させていくことに専念する。法令遵守は継続的に監視される。一方政府は既存の鉄道網を維持していくために、年間25億ユーロの予算措置を約束する。
このような基礎に基づきDB AG内における雇用保護の措置が継続されることになろうが、既にこの問題については交渉が再開されている。
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セーフティネットを求めた闘い

2005年、トランスネットとGDBAの二つの組合が雇用を守るため会社側との協約を締結した。協約により鉄道労働者は2010年までは強制的な解雇を免れることになった。この目的を達成するためにいくつかの複雑な仕組みが作られた。それによれば鉄道会社で職を失った者は誰でも他の分野で違う職を得ることが保障されている。いわゆる「グループ労働市場」の総称で知られているものである。しかし仕組みはインフラに責任を有する会社も含めDB AGグループを構成する個々の会社が一つの屋根の下にある場合にのみ機能する。
インフラと鉄道事業の分離は雇用保障の終わりを意味していた。労働者はこのことを認識しており、そのため鉄道網をグループから切り離そうとする動きに反対してきた。
一般的に言えば職を確保するために鉄道改革の実施を支持することで、労働者はすでに犠牲を払ってきている。改革過程が開始して12年の間、大規模な機構改革と生産性向上を経験してきた。賃金削減を受け入れ、年間の有給休暇が1日減ることをも受け入れた。鉄道労働者の中で今日、12年前と同じ職に就いているものを一人でも見つけろといわれたら難しいだろう。多くの労働者は通勤に長時間を要する現状を受け入れることを学び、再訓練を受け入れてきた。全ては会社が継続され将来を保障してくれると信じたからこそである。それゆえにグループの機構改革の可能性を知らされたときの怒りはすさまじかったといえる。
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デモ行進と警告のためのストライキ

機構改革を防ぐための闘争の一環として多くの話し合いに参加したが、そこでトランスネットと従業員代表会代表は分割の悪影響について政治家に説明しようとした。組合は一般の人たちに問題を認識してもらうことにも成功した。ハンブルグ、カーセル、ベルリン、ミュンヘン、ケルン、ライプチッヒ、ドルトムント、ザールブリュッケン、カールスルーエ、ニュールンベルグなどいくつかの町や都市において、トランスネットとその従業員代表会代表はデモ行進を行い、およそ2万人の鉄道労働者が参加した。
これらの会合やデモにおいて労働者は、自らの会社の売却、失職、失業への転落、不十分な資格しかもたない若者の希望の無い未来など、その恐れや懸念をおおっぴらに語っていった。デモ行進は一般の人たちの大きな注目を集めた。労働者たちはこの機会に政治議論の向かう方向に怒りをぶちまけた。なぜなら政治家は労働者と話し合おうとせず、ただ労働者について語ったのみであったからである。
新たなモデルが次から次へと提示された。議会は専門家や利害関係者を招いて公聴会を開催したが、労働者自身が招かれることはなかった。DB AGの分割を主張する多くの専門家たちは自らの考えをただ観念に基づいて作り上げていた。しかしインフラと鉄道運行は相互に繋がっており、鉄道というものがどのように動いているのかについて知っているのは労働者である。
団体交渉では、組合はDB AGの最高幹部に対して要求を突きつけた。要求は明快である。もしも民営化されたDB AGが現在の機構と何らかの形で違っていた場合でも、団体交渉で合意された雇用の保証は守られるべきだということにつきる。もともと経営者側はこの問題に関し何らの措置も講じる必要はないと思ってきた。長年彼らは政治決断がなされるまでは何もせず待っていたほうが得策といってきた。しかし組合はこの考え方を受け入れるつもりはない。もし分割という政治決断がなされたら、そのときになってからでは遅すぎるのである。
8月、3ヵ月にわたった何回かの交渉の後で、トランスネットとGDBAは交渉は妥結しなかったと公表せざるを得なかった。独立した仲裁人に委ねられたが、その中には元連邦府首相のジェラルド・シュレーダー氏もいた。仲裁人はある種の民営化は雇用保証の協約を危うくするものであると認めた。
次の一連の交渉も何ら成果を生み出さなかったので、組合は警告の意味でストライキを行った。およそ組合員のうち2,000人が参加した―ケルン、ドルトムンド、ベルリン、ミュンヘン、ニュールンベルグなどで長距離や地元の旅客運送業務に携わる組合員、信号手、販売センターの労働者たちである。
これまでの組合の闘争はどこまで成功しているのか?鉄道労働者たちは自らの将来が決定されようとするときに、もはや座してただ待っていることなど出来ないとの意思表示を完璧な形で行ったのである。闘いは成功裏に進んでいると思われる。
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オリバー・カウホールドはトランスネットの報道記者である。
 
 
INDEX
承認されざるものを代表して
インフォーマル運輸産業における状況
解体の極限
船舶解体業において進められる人命を守る取り組みについて
全ての女性に勝利を
組合が女性の問題に真剣に取り組むべき理由とは
ドイツ鉄道の将来は保障された
ストレスを抱えながら
民間航空産業労働者の疲労問題
権利を求める闘い、大前進
インテグレーター企業の組織化について
国際運転手の抱える問題
国際運転手救済の新たな動き
待ち望まれること
レバノンの港の新たな出発のために
オルグのこつを伝授
オーストラリアのある組織化担当の活動
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