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2008年4〜6月 第31号 |
■今月のニュース |
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ケニア
暴動で運輸部門に打撃
ジョゼフ・カテンデ
ケニアでは、独立以前のマウマウ時代から最悪の政治暴動が何度か発生し、多数が死亡し、財産が破壊されている。
全ての運輸形態が影響を受けるが、最も大きな打撃を受けるのは鉄道と道路であり、インフラが破壊され、労働者が殺害されている。
ナイロビ郊外のキベラを経由するケニアからウガンダ、コンゴ民主共和国、スーダン、ルワンダ、ブルンジ、タンザニアへの鉄道は、3箇所で完全に破壊された。リフト・バレー鉄道会社は、キベラ地区の修繕費用が1千5百万ケニアシリング(22万米ドル)、運賃収入の損失が3億8千7百万ケニアシリング(550万米ドル)に及ぶものとみている。
ケニアとグレート・レイク地域の中央アフリカ諸国を結ぶ北部輸送回廊(NTC)の道路ネットワークも封鎖され、損害を受けている。ウガンダ方面への道路は、重武装した警察の長い車列に守られ、日中のみ開通している。エルダマ・ラヴィン・ジャンクション付近では、トラック運転手2人が投石され、殺害された。これは、2007年12月27日の大統領選挙の結果に異議を唱えている野党オレンジ民主党(ODM)の選挙ポスターを表示していなかったことが原因とみられている。
新たに登録されたケニア長距離トラック運転手組合(KLDTDU)の書記長は、何の罪もない仕事中のトラック運転手を襲撃し、殺害するNTC周辺の人々を、どうしたら止められるのか、ITFに助言を求めている。ITFアフリカ地域事務所は、現在、この問題で、ケニアの加盟組織や業者団体と対策を協議している。
陸上輸送の混乱は、モンバサ港の船舶やコンテナ輸送の渋滞を引き起こし、2007年1月にはコンテナ4,000個以上が滞留するという、最悪事態に陥っている。ケニア政府は、同港の渋滞を緩和するため、輸入業者に8日間のデマレージ(滞船料)猶予期間を与えている。
また、航空部門も大混乱の影響を受けている。ウガンダ民間航空局(UCAA)は、エンテベ空港の燃料の状態が不安定であるため、他の燃料補給地を見つけるよう、航空会社に助言している。フライトのスケジュールを変更したり、完全に運行を停止する国際線・国内線の航空会社も、いくつか出ている。
コフィ・アナン前国連事務総長の外交努力によって、平和のための調停が行われた。アナン前事務総長は、ODMに攻撃を止めるよう説得し、1月末にナイロビで計画されていたデモを中止させることに成功した。2008年1月25日、紛争発生以来、初めて、ムワイ・キバキ大統領とODMのライラ・オディンガ党首がアナン前事務総長の仲介で会談し、両者はケニア国民の自制と平和的共存を訴えた。この種のハイレベル会合によって、ケニアおよびグレート・レイク地域全体に、再び安定がもたらされることが期待されている。 |
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ジョゼフ・カテンデは、ITFアフリカ地域部長。 |
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