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2008年4〜6月 第31号
■勤労生活
 
遭難船の救助

フェアチェム・スティード号の一等機関士、センティル・クマル・ジャヤラマンが、イエメン沖での救助劇について語った。

2007年6月20日、4時24分、船長から航路変更の連絡が入った。遭難船を救助するためだという。私は、すぐにエンジンルームに向かった。いったい何が起こっているのだろうか、と誰もが興味津々だった。
われわれは、遭難船「アレクサンダーC号」から、54マイル離れたところにいた。15分毎に遭難信号を受信した。VHF(船舶無線)でアレクサンダーC号に呼びかけたが、応答はなかった。われわれの背後を航行していた「インフィニティー号」も遭難信号を受信していたが、インフィニティー号自身も航行に苦戦しており、2ノットしか出ていなかったことが、後で分かった。
私は、アレクサンダーC号の乗組員が全員無事であることを、ただただ祈っていた。われわれの「フェアチェム・スティード号」は、激しく揺れながら荒波を乗り越え、アレクサンダーC号の救助に向かった。当初、乗組員がまだ本船にいるのか、それとも既に退船しているのか分からなかった。何度も彼らに呼びかけたが、応答はなかった。
米国の沿岸警備隊も、われわれの船にアレクサンダーC号の救助を要請してきた。われわれ乗組員は皆、これからどうなるのか、心配していた。アレクサンダーC号の姿をレーダーで捉えながら、われわれは15ノットで進んで行った。
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声が聞こえた

7時15分、VHFから突然、助けを求める女性の声が聞こえた。アレクサンダーC号の乗組員だった。本船にいるのか、救命艇あるいは救命いかだに避難しているのかは、依然として不明だった。
再度、彼らに応答を求め、彼らの居場所を確認することができた。彼らの声をはっきり聞くことはできなかったが、乗組員19人全員が荒波の中、屋根なしの救命艇に避難していることが分かった。
フェアチェム・スティード号の乗組員全員が、救助体制に入った。先ず、安全に関するブリーフィングを受け、その後、右舷のパイロット・ラダーを使って救助することを決め、飲み水とジュースをデッキに運んだ。
われわれはレーダー画面上に、SART(捜索救助用レーダートランスポンダー)のシグナルを探していた。そして8時、ついにシグナルを捉えることができた。12〜14マイルのところだった。すぐに、救出に向かっていることを告げ、慌てずに待つよう指示した。
エンジン全開。8時50分に、あと4マイルのところまで来た。救助作業に向けてエンジン速度を落とす。救命艇が北東方向に漂流しているのを、レーダーがとらえた。
彼らの位置を発見するため、オレンジ色の煙を発する発煙浮信号を使用し、パラシュートを発射するよう指示した。そして、9時15分、われわれの船が見える、という彼らの声を聞くことができた。右舷側から望遠鏡を覗いてみると、彼らの姿が見えた。
海が荒れていたため、救助作業は容易ではなかった。エンジン速度をできるだけ抑える。彼らは、救命艇を本船に近付けようとした。最初は失敗したが、うまくやってのけた。われわれは、右舷のパイロット・ラダーからの引き上げ作業を容易にするため、左舷から吹く風をとらえようとしていた。
そして、ロープを投げた。救命艇を本船に引き寄せるためだ。エンジンをうまく操作しながら、本船の位置をキープした。救命艇を捉えることに成功し、最初の乗組員がパイロット・ラダーに手をかけ、本船に乗り移ってきた。デッキに足を踏み入れたとき、彼らの目には涙が浮かんでいた。
海は荒れ、救助作業は困難を極めたが、フェアチェム・スティード号の乗組員は皆、何としてでも生存者を無事に救助しなければならない、という覚悟を決めていた。自らの安全を顧みることはなかった。そしてついに、アレクサンダーC号の乗組員全員の救助に成功した。声が聞こえた女性職員1人を含む、19人全員がトルコ人だった。
ずぶ濡れになった彼らに新しいボイラー・スーツを差し出し、シャワーを浴びてから服を着替えるように指示した。
後から彼らに聞いた話では、救命艇のそばをサメがうろついていたらしい。
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本稿は、インド海事組合(MUI)機関誌「Oceanite」の掲載記事。
 
 
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