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グローバルユニオン

2008年4〜6月 第31号
■ザンビアの鉄道労働者
 
ザンビアの鉄道労働者
生き残りをかけて


2007年8月、タンザニアとザンビアを結ぶタザラ鉄道の労働者が、賃金下落と雇用不安をめぐり、3週間のストを実施した。ザンビアの労働者数名が解雇されたが、ITFに加盟するタザラ労組(Wutaz)と経営側との解決策の一環として、解雇された労働者は職場復帰を果たすことができた。この争議の背景と、地域および世界情勢がタザラ鉄道に与えている影響について、ハンフレイ・ンコンデが説明する。

ローデシア(現ジンバブエ)の故イアン・ダグラス・スミス首相が、1965年11月11日に行った一方的な独立宣言は、ザンビアの銅採掘産業にマイナスの影響を及ぼした。南アフリカ諸港へのローデシア経由の鉄道輸送が、使えなくなってしまったからだ。そのため、ザンビアはタンザニアと交渉し、タンザニア−ザンビア鉄道(タザラ鉄道)の建設を決めた。
この事業を、非経済的であるとして世銀が融資を断ったため、両国は中国政府から1億6千6百万ポンドの無利子融資を受け、1970〜1975年にタザラ鉄道を建設した。
タザラ鉄道は、「ウルル鉄道」としても知られ、タンザニアのダルエスサラームからザンビアのカピリ・ムポスまでを結ぶ、全長1,860キロの鉄道だ。
ザンビアは、タザラ鉄道の開設で、ダルエスサラーム港から銅を輸出する一方、急成長を遂げていた鉱業用の機械等を輸入した。しかし、世界市場における原油価格の高騰、経営ミス、銅を含む商品価格の低迷等により、ザンビアの景気は80年代まで後退を続けた。
1997年、鉱山民営化前の銅生産量は263,000トンだった。しかし、民営化後の2000年〜2006年の外国直接投資は20億ドル以上に及び、銅の生産量は、2005年に459,000トン、2007年には492,000トンまで増加した。今後、年間生産量は100万トンに達するものと予測されている。中国、インドを始めとする、アジアの新興経済国の需要が伸びているからだ。
輸出用の銅の一部は、トラックでもダルエスサラーム港に輸送されている。また、資本財等の重い輸入物品の一部も、道路輸送でザンビアに入る。タザラ鉄道は、機関車不足により遅延が発生するためだ。これが、現在、タザラ鉄道の使用権売却が検討されている理由の一つになっている。
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コンセッション(使用権売却)

当初、タンザニア政府とザンビア政府は、コンセッション(使用権売却)の相手先として中国を検討していた。しかし、ITFに加盟するタザラ労組(Wutaz)は、両国政府が資金を調達し、不足している10台の機関車と貨車に投資すべきだと考えている。
Wutazのミシェク・シロンバ副委員長は、中国と世銀が実施したタザラ鉄道のコンセッションの実現可能性に関する調査について語った。世銀は、使用権の売却が実施された場合、タンザニアとザンビアの従業員3,400人のうち、1,500人の雇用しか維持できないと主張したのに対し、中国は2,000人の雇用維持を提案した。「両政府が売却先として中国を検討したのは、より多くの労働者の雇用維持を提案したからかもしれない。また、中国はタザラ鉄道を維持するための助成金も支払っている。中国は、使用権を得た場合、労働組合を認めるべきだ」とシロンバ副委員長は述べた。
一方、中国はタザラ鉄道の使用権を引き受ける前に、タンザニアとザンビアが債務処理を行うべきだと主張している。ザンビアの場合、年金当局への掛け金の支払い、退職した職員への年金の支払い、コンセッションの結果として解雇される何百人もの職員への退職金の支払い等を債務として抱えている。
Wutazのプロミス・ティモシー・ニレンダ書記長は、ムピカで行われたインタビューの中で、「債務処理には、巨額の資金が必要となる。これ以上、職員を解雇することなく、タザラ鉄道を再建させる方法を考えた方がよい」と語った。
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税金を鉄道に!

ニレンダ書記長は、タザラ鉄道の運営費用を減らすために、燃料税やその他の税の支払いを免除することを提案している。燃料税は、主に道路事業に使われているからだ。例えば、2007年度予算では、鉄道の投資には一切、予算が割り当てられていない。
政府は債務処理、特に解雇手当の支払いを回避しようとすることで知られている、とカピリ・ムポスの労働者達は言う。「ユナイテッド・バス・カンパニー(UBC)の従業員に解雇手当は支払われていないし、ザンビア鉄道の元職員も全額は受け取っていない。一方、ザンビア鉄道の使用権を得たレールウェイ・システム・オブ・ザンビア(RSZ)は人員削減を続けている。ザンビア鉄道の使用権が売却される前は、ザンビア鉄道労組(RWUZ)には12,000人の組合員がいたが、今は500人にまで減ってしまった」とタザラ鉄道の従業員は匿名を条件に語った。
RSZが、さらに200人を削減するという報道もある。それが事実なら、RWUZの組合員数は300人になってしまう。
Wutazは、かつてUBCの車掌を務めていたフレドリック・チルバが1991年に第二代大統領に就任した後、結成された。RWUZがザンビア鉄道とタザラ鉄道の両方を組織していた時は、ザンビア鉄道の組合員の方がタザラ鉄道の組員より多かった。したがって、RWUZの幹部も、大多数がザンビア鉄道の出身だった。
Wutazが誕生し、タンザニアのタザラ鉄道従業員を組織するタンザニア鉄道労組(TRAWU)と協力関係を持つようになり、両者はタンザニアとザンビアの組合員の労働条件は、ほぼ同じであるべきだ、という原則の下に共闘している。
団体協約も、単一のものを経営側に提出している。
RWUZの組合員数が激減した今、種々の交通モードの相関性を考慮し、Wutazのミシェク・シロンバ副委員長は、交通運輸労組の緩やかな統合を提案し、労働者の権利と利益を守ろうとしている。
南部アフリカ開発共同体(SADC)も地域統合を訴え、国境を越えた道路や鉄道の建設を含むインフラの開発を提唱している。建設中のチパタ−ムチンジ鉄道は、マラウィ経由でザンビアとモザンビークを結ぶものである。さらに、ザンビア鉄道を拡張して、新たな鉱業投資を誘致しているノースウェスタン州を経由し、銅鉱山地帯とアンゴラを結ぶ計画もある。
このような状況の中で、SADCの全ての加盟国が全国規模の強力な交通運輸労組をもち、地域レベルで(世界レベルではITFを通じて)労働者の権利を守る必要がある、と多くの人が確信している。
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ハンフレイ・ンコンデは、フリー・ジャーナリストで、ザンビア報道協会(PAZ)のメンバー。
中国人の不思議

ザンビア人は専門職や管理職から除外されるので、優秀なザンビア人が自国での雇用機会を奪われている。単純労働の分野でも、中国人がザンビア人の雇用を奪っている。中国人の雇用レベルは70%以上で、非常に高いのに、なぜ単純労働の分野でもザンビア人の仕事を奪わなければならないのか、多くのザンビア人は理解できないでいる。中国が銅鉱石の輸入先としてザンビアを好んでいることが、事態をさらに悪化させている。雇用は、さらに中国人に流れ、ザンビア人の鉱業からの所得は減少する一方だ・・・。

■元組合活動家のマイケル・サタが、2007年10月24日に開催されたハーバード大学の人権に関するイベント・シリーズ委員会に提出した論文「中国の対アフリカ投資」から抜粋。
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メキシコ航空客室乗務員組合の闘い
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オーストラリアの交運労組が、明るい展望を語る
信頼できる交通運輸をめざして
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フランス鉄道労働者の闘争
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海運と温暖化ガス
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