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2008年4〜6月 第31号 |
■ネパール |
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17周年を迎えるネパール交通運輸労組
ITFに加盟するネパール交通運輸労組(Netwon)は、設立から17年間、成長を続け、大きな成功を収めてきた。Netwonの全国大会を前にしたアジャイ・クマル・ライ委員長が、Netwonの民主的な組織体制について説明する。
1990年に設立されたネパール交通運輸労組(Netwon)の信条は、「教育を通じた組織化」だ。設立以来17年間、労組教育を通じてネパールのバスやトラックの運転手に組織化の必要性を説きながら、民主的な原則と慣行に基づいた組合運営を続けてきた。既に30の地域に支部を抱え、3万人以上を組織している。
各職場には職場委員会があり、労働者と直接向き合いながら、勧誘、代表、サービスの提供などを行っている。この職場委員会は支部の管轄下にあり、職場委員長は支部委員会の委員も務める。全国に広がる30の支部は5つの地域委員会に統括され、この地域委員会が組合の諸活動の調整に当たっている。最高意思決定機関の中央執行委員会は、選挙で選ばれた地域レベルの役員で構成されている。
ネパール・タクシー運転手組合(NTDU)とカトマンズ自治体運転手組合(KMDU)は共に、Netwonに加盟する独立的な組合だ。NTDUは、Netwonの活動家が、意識啓発研修や組合の基礎的技術に関する研修等を通じて組織した組合だ。 |
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ミニ大会
Netwonの全国大会に先立ち、職場レベルのミニ大会が開催され、一般組合員の中から選挙で選ばれた代議員と、職場レベルの役員・執行委員が出席する。昨年のミニ大会は、2007年8月までに終了し、引き続き支部大会が開催された。支部大会には全ての職場委員が出席し、代表者を選出するとともに、地域大会と全国大会の代議員を選出する。既に、5つの地域大会が開催済みだ。
職場大会と支部大会の開会式には、地元の有力政治家や警官、交通運輸企業の代表者などが来賓として招待され、地方紙の記者が取材に訪れる。大会の雰囲気は、お祭りのようなもので、優秀な運転手、車掌、発券係員、清掃員に対する表彰なども行われる。通常、大会の前に開催都市で集会が行われ、大会の宣伝をするほか、地元の労働者の注意を引き付け、組合員の意識を高揚させる。 |
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全国大会
全国大会は、2日間の日程で行われる。委員長や書記長を含むトップ5の役員のほか、14人の地域代表が選出される。5人の地域委員長は中央執行委員を兼ね、さらに6人の執行委員を委員長が指名する。その中の一人は、女性である。また、ナショナル・センター、ネパール労働組合会議(NTUC)の大会代議員も選出される。
ネパールの労働組合運動の歴史は、1940年初頭にまで遡ることができる。労働者の闘争は、ネパールにおける民主主義の確立にも大きく貢献した。しかし、この民主主義への道のりは、思考錯誤や苦難の連続だった。専制的な君主政治や、約10年にも及ぶマオイスト(毛沢東主義者)の反乱にも直面してきた。これらは皆、ネパールの労働組合の成長と発展に深刻な影響をもたらすものだった。このような状況だからこそ、民主的な組合を築きあげる努力を惜しまないNetwonのような組合が評価され、賞賛されるべきである。 |
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アジャイ・クマル・ライは、ネパール交通運輸労組(Netwon)の委員長。 |
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