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グローバルユニオン

No.22/2008
■漁船員
 
船員なのか、奴隷なのか?

一部の海上労働者たちは、奴隷的環境で耐え忍んでいる。スコットランドのITFコーディネーター、ノリー・マックビカーの報告。

このほどスコットランドのウラプールに入港した漁船、エンクセンバー号のケースは、国際労働機関(ILO)が定めた奴隷―強制労働―の諸条件を、全て備えていた。
2006年10月、6人のインドネシア人漁船員は、ジャカルタの雇用斡旋業者に一人当たり500ドルを支払った後、チリ人船長とともに、スペイン人所有の英国籍漁船、アタラヤ号に乗船した。このような慣行はインドネシアでは一般的とされているが、1996年の船員の雇用と配乗に関するILO条約第176号の明確な違反である。嘆かわしいことに、英国政府は、この条約を、未だに批准していない。
乗組員は、インドネシアで雇用契約書に署名したが、斡旋業者がコピーを渡すことを拒否したため、二度と契約書の内容を見ることはなかった。しかも、それが18ヶ月間の契約で、1ヶ月の賃金が800ポンドであることを確認するための十分な時間も与えられなかった。彼らがスペインで乗船する気になったのは、そのためだった。ところが、その後の10ヶ月間、彼らが支給されたのは、1ヶ月につき241ポンドに過ぎなかった。
2007年7月、乗組員は、アタラヤ号が英国の新たな船主、エルコン・レジャー社に譲渡された、と告げられた。船名はエンクセンバー号に改められ、船籍もセントキッツ&ネビスになった。最悪の事態を恐れた乗組員は詳しい情報を要求したが、この時点での帰国は契約違反であり、船に留まるのがいやなら自費で帰国し、交替する乗組員の呼び寄せ費用も負担しなければならない、と船主に通告された。
2007年8月、エンクセンバー号がウラプールに入港した際、ITFは乗組員の苦情を調査し、現地の代理店と船主に賃金明細書と雇用契約書のコピーを要求したが、何の反応もなかった。
乗組員がITFに語ったところによると、操業中は毎日平均20時間労働で、可能な場合の睡眠時間は2時間に過ぎず、休息時間は最大でも僅か4時間であった。洋上での操業は3ヶ月間続き、操業と操業の間の数日間は、港での休養に当てられていた。労働時間の記録は存在しなかった。
機関長は、23ヶ月間で合計1,450ドルを毎月の賃金から「企業保険」として差し引かれていた、と述べているが、彼の契約書では合意されていなかった。
8月16日、現地の代理店は、賃金の清算もしないまま、乗組員を無理やりタクシーに乗せて空港に行かせようとした。船主は、現在の乗組員が下船しても本船をスペインまで回航できるよう、3人のポルトガル人船員を送り込んでいた。

船主と代理店の脅迫行為があったため、8月17日、我々は乗組員を支援して、本船を差し押さえた。船主は、それでもなお、乗組員の賃金と本国送還費用の責任を拒否した。しかし、8月29日になって、船主は75,000ドルをITF/船主弁護人の共同口座に預託したため、本船の差し押さえの解除ならびに船員の要求についての交渉が可能になった。
エンクセンバー号は、ウラプール港を出て、スペインのビゴ港に向かった。船主は、乗組員のホテルと帰国費用を船主負担で手配した。
私がエンクセンバー号の乗組員の苦情処理のためにウラプールに滞在中、さらに3人のインドネシア船員から、英国籍船アトランティックE号の同様な状況について、苦情が申し立てられた。相違点は、乗組員が実際に、「総合賃金月額」315ドルの雇用契約書に署名していることであった。アトランティックE号の乗組員の一人は、毎日20時間の労働に耐えられなかったため、2ヶ月の乗船後、インドネシアに送還されていた。彼は18ヶ月の契約を満了することができなかったため、彼自身と彼の交替船員の航空運賃を負担させられていた。彼は他にも、この職場を得るために雇用斡旋業者に600ドルを支払っていた。
この事件で、最もうんざりさせられるのは、EU漁業委員会の鼻先で、現代の奴隷労働が繰り広げられていたことである。
漁業委員会は、漁船の操業許可の責任を負っている。操業許可では、漁船の大きさ、機関の最大出力、魚網のサイズ、漁獲量の規模、その他の機器を規定しているが、船員または漁船員の人権と労働組合権についての支援の表示や、ILOの原則に基づいて強制労働を追放しようとするEUの意図は、どこをさがしても見当たらない。
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