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グローバルユニオン

No.22/2008
■船内での健康
 
再発を繰り返す慢性病に注意しよう

英国海上沿岸警備庁のティム・カーター医学顧問が、厳密な健康診断、適切な治療および効果的な予防措置によって、再発症状に起因するリスクを最小限に止める方法を検討する。

何度も再発を繰り返すのが、多くの病気のパターンである。私たちは、生活習慣を変えるとか、他の病気のための治療方法を試すなど、なんとかしてこのような病気と付き合っていかなければならない。このような健康状態の場合には、船内の仕事に必要な適切な体調の維持に影響が及ぶかも知れない。症状が再発すれば、仕事の要求に対応できなくなることもあり得る。
このような症状を持った男性あるいは女性の船員は、国内の海事当局の承認を得た医師によって、いくつかのやり方の一つにより、活動を制限されるかも知れない。例えば、突然に倒れる危険性がある場合には、海上の勤務は恐らく禁止されるであろう。多くの場合、当初の症状が軽減すれば、時間の経過とともに、危険性も減少する。(例:一部の心臓疾患)
このようなケースでは、船員の体調によっては勤務中に倒れ、船舶の損傷や沈没が想定され、勤務に就くことが永久に禁止されるか、あるいはその他の症状よりも長い期間、制限を受ける可能性もある。
歯の痛み、胆石、腎臓結石、ヘルニアまたは消化器系の潰瘍などの合併症を含む多くの症状は、一定の期間内あるいは数時間内に発症する。この場合には、治療によって症状が治まるまで、遠洋航海の勤務は禁止されるべきである。しかし、沿岸区域での限定的勤務は、恐らく可能であろう。このような症状の一般的な症例を、以下に述べる。
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発作と失神

海上でのてんかん性の発作や痙攣は、この病気を持つ人にとって大きなリスクであり、痙攣を起こした人、または再び痙攣を起こすかも知れない人を看護する他の乗組員にとっても、重大な負担となる可能性がある。
その人が、船舶の安全にとって重要な業務に就いていれば、船舶は危険にさらされることになる。過去の痙攣は、再発の予報となる。過度のアルコール摂取、頭部の負傷、脳外科手術、一部の薬物などは、リスクを増大させる。
一般的な問題のひとつは、ある人が失神し、その場にだれも居合わせなかった場合、明白な原因が不明なことである。原因は、単純な失神、心臓疾患あるいは発作かもしれない。
徹底的な臨床調査が不可欠である。明白かつ治療可能な原因が発見されなければ、一定期間の海上勤務の休止が、再発のケースにおいては通常、必須である。
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糖尿病

糖尿病の患者にとって、安全のために不可欠な業務への適性判断は、単純ではない。ホルモンの1種であるインシュリンは、体細胞へのブドウ糖の取り込みを調整している。糖尿病の場合、インシュリンが不足するため、細胞が必要とする必須の栄養素が欠乏する。このため、短期的および長期的問題が発生する。インシュリンの深刻な不足は、若い時から始まることがある。けれども、多くの症例では、相対的な不足が中年になってから現れる。前者の場合、ほとんどが注射によるインシュリンの補充を必要とする。後者の場合、少なくとも初期には、食事療法と体重管理による治療が可能なケースが多い。ただし、このケースにおいても、内服薬やインシュリン注射による補助が必要な場合もある。糖尿病自体にも、インシュリン注射にも、副作用の可能性がある。
急性で未治療の重い糖尿病は、数時間または数日で昏睡状態を起こすことがある。特に急性でなくとも、細胞に吸収されなかったブドウ糖は、尿中に排出される。結果として、尿量が増加し、のどが渇くことになる。長期的には、血管の損傷が発生し、心臓や動脈の疾患、足指の壊疽、失明の危険が増大する。
効果的な治療によって、短期的な問題を予防し、長期的な病状の深刻化を遅延あるいは軽減することが可能である。けれども、インシュリンの場合には、支払わねばならない対価も覚悟しなければならない。血中のブドウ糖の適正な管理は、循環するブドウ糖の不足を招き、内分泌の平衡失調を起こす可能性が増大する。これが、大量のブドウ糖を消費し、僅かな備蓄しかできない脳に急激な影響を与える恐れがある。ブドウ糖の欠乏が深刻になれば、虚脱状態や失神の恐れがある。また、軽度の不足の場合でも脳の機能に障害が発生し、行動パターンや理解力が変化することもある。このような欠乏は、ブドウ糖またはグルカゴン(ホルモンの一種)を注射することによって治療できる。グルカゴンには、インシュリンの効果を中和する作用がある。
船員の仕事への適性に、この複雑な条件が、どのような影響を与えるのだろうか?
一般的に、インシュリン治療を必要とする人は、海上勤務には不適であると考えられている。その理由は、緊急の応援態勢が得られない場合における低血糖症の影響が、重大な結果を生み出しかねない潜在的可能性をもっているためである。
インシュリンの過剰投与による理解力あるいは行動能力の減損は、安全に関係する業務の遂行上、判断力に影響する恐れがある。さらに、食物とインシュリンのバランスを注意深く維持しなければならないが、変化する作業スケジュール、緊急事態の発生あるいは船酔いの場合などには、これが困難となる。食事療法(薬剤の併用の有無に関係なく)で治療を受けている人は、通常、勤務可能と考えられるが、病状の進行状況を監視するために、同一の医師による一層頻繁な健康診断を受ける必要がある。これに加えて、足、目、心臓に影響のある合併症がないことを確認するために、これらの器官の検査を受けることが重要である。
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結石

結石は、胆のう、腎臓、膀胱などに形成されるが、これらの臓器につながる細管に結石が詰まったりした場合、突如として疝痛が現れる傾向がある。これらの結石は、感染症の原因ともなりやすい。
結石形成のメカニズムは、胆汁と泌尿器の場合で異なる。尿結石の形成は、多くの水分を取ることによって減少させることができるが、熱帯性気候のもとでは脱水症状が一般的であるために、この種の結石は一層重大な問題となる。
陸上の結石患者の場合、症状が継続するか、あるいは手術が必要かどうかを確認するために、一定期間、経過を観察する。この方法は、母港の近辺で勤務する船員にのみ適用できるが、医療施設から遠く離れた船員には適切ではない。発病の初期において、信頼のおける徹底的な治療の実施を確保することが重要である。長期にわたって症状が現れることのない、制約のない体調であることを確認したうえで、証明書の発給が可能となる。
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ヘルニアと消化器潰瘍

結石の場合と類似した基準が適用される。ヘルニアおよび消化器潰瘍は、時には予知可能だが、潜在的には深刻な合併症状が現れることもある。陸上においては緊急事態に対する対応も可能であるため、治療の遅れは許容できるが、船員の場合、完全な治療を受けるには大きな制約があるため、遅れを許容する余地はない。
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歯科

歯の健康は小さな問題と思われがちであるが、歯痛や口腔の痛みは海上における緊急医療のありふれた対象であり、場合によっては多大なコストがかかる航路の変更を必要とすることもある。
ヨーロッパの北海ガス油田のオフショア産業では、救急ヘリが運んだ患者の大多数は歯科の患者であった。歯科治療を伴う定期検診は、緊急事態の発生件数を大幅に削減するであろう。歯の問題は、船員個人が責任を持つべき問題ではあるが、改正された健康基準によれば、以前に求められていた認可を受けた医師による歯および歯茎の検査ではなく、現在では、船員は過去12ヵ月以内に歯科医の検診を受け、必要な治療を完了したとの文書提出が要件となっている。これによって、休暇中においても乗船を前提とした計画性が求められることになり、乗船時の通知のみでは、検診の欠如が大きな問題の原因となりかねない。

これらは、症状の再発が予見可能な状況において、体調の適合を決定できる方法の幾つかの例に過ぎない。
健康状態と仕事に対する適性を検討する際には、幾つかの側面を考慮に入れなければならない。その一部は、乗組員と船舶の安全に関係している。すなわち、視力の低下、ブリッジでの突然の就労不能状態、緊急事態への対応能力、感染を拡大する危険などである。その他、コスト、航路変更または救助要請のリスク、陸上での早急な治療の確保などがある。船員が、発病するリスクを適切な予防的助言によって減少させ、船員としての経歴を充実させるとともに、海上での急病の発生の恐れを少なくすることは可能であることを、最後に指摘しておきたい。
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この記事は、英国のITF加盟船舶職員労組、ノーティラスUKの機関紙“テレグラフ”に掲載されたものである。
グルジアにおける健康維持活動

グルジア船員組合が組織した第3回国際船員スポーツ・フェスティバルは、2007年10月24日にグルジア港で開催された。バトゥーミ海事アカデミーでは、実習生、バトゥーミ港の港湾労働者、マルタ籍船ゾグラフィア号乗組員らが参加したが、サッカーと卓球に人気が集まった。港湾チームとゾグラフィア号チームのフットボール試合は、7対2で港湾チームが勝利した。
バトゥーミ港のITF代表、メラブ・チジャヴァゼによれば、乗組員たちは、組合が寄贈したフットボール用Tシャツ、記念品、スポーツ・シューズなどの商品を授与された。その後、参加者は地区の船員クラブで開かれたパーティーに招かれ、グルジア・ビールを楽しんだ。
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