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2005年1〜3月 第18号
■ピケ現場から
 
ピケ現場から

イギリスバス業界で30年来となる長期スト終盤に、アンドルー・ドッジションが現場のバス運転手に話しを聞いた。

蒸し暑い夏の日、気温がじりじりと上昇する中、サウス・ヨークシャーのバス会社、ファースト・サウス・ヨークシャー社の運転手らは各地の車庫で、イギリスバス業界で30年来となる長期ストを闘っていた。通常は頻繁にバスが行き交うシェフィールド・インターチェンジもひっそりしていた。
いつもなら騒々しいカフェも人気はなく、店のケーキやサンドイッチも暑さを逃れてやってきた孤独な客に運ばれる以外は行き場を失っていた。シェフィールドの中核車庫、オリーブ・グローブには200人が結集、ドンカスター、ロザラム、ハーフウェーの車庫でも多くの運転手がピケを張り、総勢1,500人のファースト・サウス・ヨークシャー社の運転手が賃金・勤務時間・労働条件改善を求めるストを展開していた。
オリーブ・グローブのピケ隊の士気は高かった。彼らの誰もが利益を従業員に還元しようとしない民間会社のバス経営にはうんざりしていた。ファースト・サウス・ヨークシャーの昨年の利益は1千万ポンド、社員が会社に満足していればもっと稼げたはず、とある運転手は語る。最近、会社側は自給30ペンスの賃上げ(2年目からはプラス27ペンスの賃上げ)を、1日目の病気休暇を無給にするとの条件付で提案してきたが、運輸一般労組(TGWU)はこれを723対502で否決している。
組合側のこのような強行姿勢はストが長期化するにつれて高まっている。3年間も新人レートの賃金が続いている女性組合員は次のように語った。「結局のところ、社員を尊重しているかどうかの問題だ。会社は“尊重”の意味すら分かっていない。われわれが会社に利益をもたらしているのに、会社はわれわれに全く関心を示さない」
このような意見は、日増しに膨れ上がっていく他のピケ現場でも聞かれた。「もともと仕事はきつかったが、最近は特にひどい」とある運転手。欠員が発生しても長い間埋まらないことが多く、社員に対する非難・攻撃も日常茶飯事。新経営陣は公共サービスという概念よりも経営理論の方に関心を寄せている。賃上げ要求をすんなり受け入れたことなどなく、わずか35ポンドの年間無事故手当を廃止したほか、制服手当もほぼ全廃した。何よりも従業員から仕事に対する誇りを奪っていった。
バランスシートのことしか考えられない経営陣たちは、20年、30年のベテラン社員が退職する時でさえ、感謝の言葉すらかけようとしない。長年、公共サービスに従事した労をねぎらう記念品などあるわけない。一方、現場の運転手はきつい運行スケジュールの中で何度もバスを往復させながらプレッシャーと闘っている。
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妥結点の変化

彼らはきつい仕事を嫌がっているわけではない。仕事にかける彼らの熱意に敬意を示してほしいだけなのだ。恐らく、病気休暇の問題がこれほどまでに彼らの神経を逆撫でした理由もここにある。現在でも、ファースト・サウス・ヨークシャーの病気休暇は基本給の7割だ。病気休暇の1日目を無給にしようとしながら、通常の商慣行に従っているだけだとする経営陣の主張は決して納得できるものではない。
TGWUのある支部役員が憂慮すべきデータを示してくれた。新人運転手100人中、70人が1年以内に退職する。2003年には運転手400人(全社員数の4分の1強)が退職した。給料が最も低い社員相当数が低所得者向け減税措置を申請しなければならなかった。この最後のデータは、残業すれば手取り収入が減ることを意味する。そしてこのことが、他の運転手−疲労、腰痛、慢性的風邪など、ストレスに起因するさまざまな症状に悩まされながら働いている運転手―にとって大きな負担となっているのだ。
イギリスバス業界30年来の長期ストは勲章に値するものかもしれないが、彼らはこれを自ら望んだわけでは決してない。彼らは皆、仕事に戻りたいと思っているのだ。しかし、会社側との合意が近付き、妥結点に変化が現れるにつれ、裏で何か大きな力が動いているのではと感じる者も出始めた。親会社のファースト・グループが全国レベルで糸を引いているのではという疑惑だ。数週間前、ブラッドフォードでは時給8.45ポンド、グラスゴーでは8ポンドで労使合意に達したといううわさも流れている。
闘いは続いている。スト現場のバリケードは強固になり、連帯のディスコも企画されている。消防士が連帯の証としてピケ隊にカンパし、コミュニティーの輸送車両や自家用車も通りすがりに警笛を鳴らし、ピケ隊を励ましている。
数日後、ファースト・サウス・ヨークシャーの経営陣は現実に目覚め、組合に受け入れ可能な提案を示すことになるだろう。組合の勝利は宣言された。後は堂々と職場に戻るだけだ。
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アンドルー・ドッジションはイギリスTGWUの広報担当。
 
 
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