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グローバルユニオン

2005年1〜3月 第18号
■コメント
 
犠牲をいとわぬ格安

いわゆる格安航空会社の進出はアルゼンチン労働者を圧迫しているとリカルド・フレシアは言う。

1990年代より導入されたネオリベラル政策により、アルゼンチンにも格安航空会社が設立され、同政策の保護下に成長してきた。特に、現在民営化されたアルゼンチン航空およびオーストラル航空が手放した沿岸市場と地域市場で大きなシェアを占めている。
サザンウィンド(SW)とラパ(LAPA)、ダイナー、エアロ・ビップ、アメリカン・ファルコンなどの典型的格安航空会社はこの間に大きく成長した。2000年初めに破綻寸前まで行ったアルゼンチン航空やオーストラル航空とは対象的だ。
航空産業の安全、労働条件、賃金は、社会ダンピングと新興企業がこぞって反組合的な態度をとったことから過去最低レベルにまで低下した。客室乗務員の最長勤務時間や休憩時間を規定する航空法への違反、団体協約の締結拒否、弾圧と組合代表者や男女を問わない労働者の承認拒否が一般化し、(サザンウィンドによる)便宜置籍航空の使用さえ見られる。
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バーチャル航空

アルゼンチン航空労組(AAA:当時の委員長はアリシア・カストロ)の強力なキャンペーンにより、アルゼンチン航空とオーストラル航空は破綻を免れた。これにより、力の均衡が崩れ、アルゼンチンの商業航空市場の覇権争いにも混乱が生じた。
AAAがキャンペーンを行って訴えたように、航空会社は改めて路線、スケジュール、市場を獲得するために競争しなくてはならなくなった。これまでバスや列車とも競争できる料金を提供してきた格安航空会社がこの変化により圧迫され始めた。
2003年初め、ダイナー航空が営業を停止した。4月のイースター休暇の時期には、それまで数週間をかけてアルゼンチン沿岸市場および地域市場を独占しようと企てていたラパ航空も同様に営業停止し、男女あわせて1,000人の労働者が解雇された。5,000億米ドル以上の負債を抱えたサザンウィンド航空も営業を停止し、何百人もの従業員が失業に追い込まれるのではないかとの懸念が広がった。
労働者の必死の叫びから、政府が巨額の助成金を拠出し、数ある企業のうち、一社を選んでその燃料費と賃金支払いを援助するという新たな戦略が編み出された。こうして、実態のないバーチャル国営航空会社、リネアス・アエラス・フェデラルSA(LAFSA)を設立するための行政命令が署名された。LAFSAは、ラパおよびダイナーの全従業員を雇わなくてはならず、半年後には民営化されることが決まっていた。
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現在の状況

2003年9月、最終的にLAFSAがSWと業務提携書を交わし、SWは、LAFSAの全従業員を雇用する代わりに、燃料費として320万ドルを受け取った。
この結果、商業航空市場が混乱しただけでなく、SW雇用の乗員とLAFSA雇用の乗員が同じSWの航空機で同じ業務に就きながら、待遇面ではSW雇用の乗員がLAFSA雇用の乗員に比べて差別されることになった。
サザンウィンドの乗員の賃金や乗務手当は低く、会社側が団体協約の締結も拒否しているため、団体協約で保障されていたはずの最低条件も受けられなくなった。そこで、組合は、関係当局に差別的処遇を提訴し、現在その結果を待っている。
法に従わない企業に政府が助成金を与えるといった、理不尽な奨励制度によって、反組合政策、航空法違反に加え、差別まで生じてしまった。助成金自体が差別の象徴だとアメリカン・ファルコンやエアロ・ヴィップなどの中小企業は言う。アルゼンチン航空の市場占有を避けるため、政府は他の企業にも等しく助成金を出すのではなく、SW一社を支援するという施策を選んだ。
奇妙なことに、政府助成を受けているSWの株式の少なくとも3割をエデュアルド・アーネキアン(エアロピュエルタス・アルゼンチン2000航空の所有者で破綻したラパの元所有者)が所有している。
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買い手の魅了策

日刊紙「インフォーバ」に最近掲載された記事によると、SWの統括マネージャー、クリスチャン・マッジオが「SW(サザンウィンド航空)はSWの新株主と共同でLAFSAの買収を計画している」と言っている。SWはまた、自社の持ち株の一部を売却する交渉を進めていることも認めた。同様に反組合的態度で知られるチリのLANの名が売却予定企業として上がっている。こうした状況の中、SWは、政府が来る9月に入札にかけると公言しているLAFSAの買収計画を提出する計画だ。
そのため、前代未聞のことだが、商業航空運輸担当副長官(もと組合役員)は、買い手がより魅力的に感じるよう、国内外の路線を航空機も所有しないバーチャル企業であるLAFSAに任せることにした。インフォーバ紙によると、入札者に提供する情報の原案づくりを一般市民に手伝ってもらい、LAFSAをより魅力的に見せるための画策がなされた。これにより、例えば、買い手はアルゼンチン政府に金を支払って航空会社を獲得するのではなく、新企業に資本金を提供するのだという考えさえ抱くようになった。
これはアルゼンチン航空の売却劇とよく似ている。アルゼンチン航空は、「入札者に利益をもたらす」ため、切り下げられた外債と交換に売却された。その金は決して支払われることなく、また投資の約束も果たされることはなかった。
したがって、アルゼンチンでは、「格安航空会社」とは、権力と結びついた冒険好きの企業家にとってのみ、存在できるものである。格安航空会社はこれまでも、そして今後も間違いなく国や交通運輸、一般の乗客、一般労働者および交運労働者にとってコストの高いものとなる。
こうした課題に直面するため、わが組合の活動は、活動の達成、フレームワークアグリーメントの締結、何年にもわたる闘争の結果、組合が勝ち取ってきた客室乗務員のライセンスの保護に重点を置いている。南米地域の労組間の協力も我々の闘いを勝利に導くためには不可欠だ。
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リカルド・フレシアはアルゼンチンの客室乗務員を組織するAAAの書記長。
 
 
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