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2009年1〜3月 第34号 |
■今月のニュース |
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民間航空
疲労という名の病
最近ITFが実施した調査の結果、「航空労働者は、労働時間が長時間化する中、精神的に疲弊している」ことが示された。
今回の調査は、航空産業における不安定雇用の増加が労働者にどのような影響を及ぼしたかを調べる目的で実施された。航空産業の動向が労働者にどう影響したかを知りたかったためだ。2000年の業界の規制緩和、2001年の9・11テロの影響は明らかに大きい。
この調査は、著名な学者を含む11人の専門家が行っている。研究者はまず、200カ国、157労組に9ヶ国語でアンケートを送付した。そのうち、54カ国から回答があり、回答率は67%だった。アンケートの対象者は客室乗務員、航空管制労働者、グランドスタッフであった。
ITFのインゴ・マロスキー民間航空部長は、「ITFは、世界中で民間航空労働者が抱えているストレスと疲労の主な原因は何かを加盟組合に考えて欲しいと思った」と述べた。
回答した組合のうち39%が、「組合員が精神的に疲弊している」と回答した。49% が、「組合員の中には精神的に疲弊している者もいる」と回答している。グランドスタッフと航空管制官の組織労組も、それぞれ47%、52%が精神的に疲労を感じていると答えた。客室乗務員と航空管制官の疲労の主な原因は、長時間労働であった。
グランドスタッフの場合は、肉体労働、知的労働、長時間化している労働時間などが疲労の原因になっている。
航空管制官は中でも最も労力を強いられる仕事であるが、一方で、労働管理が最も緩い職種である。このため、糖尿病、卒中、うつなどの業務関係の慢性病を発症する傾向がある。客室乗務員は最もストレスレベルが低いことが分かったが、これは同僚との人間関係を通じ、他者からのサポートが得られるからだろう。
不安定雇用の導入も増えているようで、精神面での疲労を助長する主な要因になっている。ほとんどの職種で定期的なシフトパターンがなくなり、労働者の生活の質の低下を招いている。2000年から2007年の間に乗務時間が延びた、と答えた客室乗務員が多かった。
また、お互いに対する興味を失い、お互いに敬意を払うこともなくなるなど、同僚との関係が希薄になっているとの報告もあった。北米では同僚間の関係が最も希薄なようだ。
マロスキー部長の後任としてITF航空部長に間もなく就任するガブリエル・モチョは、次のように述べた。「調査の最終結果が出たら、調査から提起された問題について世界的キャンペーンを立ち上げ、全ての労働者が保護される環境を確保することが肝要だ」 |
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