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グローバルユニオン

2009年1〜3月 第34号
■ペドロ・ザモーラ
 
ペドロ・ザモーラを忘れることはない

ITFのペドロ・ザモーラの死に関するキャンペーンが終結を迎えた中で、マリアン・パウエルとアルフォンソ・バヘナが何を成し遂げたのかを振り返る。

今では、ペドロ・ザモーラ事件を知っている組合活動家も多いことと思う。2007年1月、ペドロ・ザモーラは組合幹部であったために虐殺された。ザモーラはグアテマラの太平洋岸のプエルト・ケッツァル港の港湾労組(STEPQ)書記長だった。
ザモーラの殺害は衝撃的だったが、驚くべきことではなかった。グアテマラは組合活動家にとって最も危険な国の一つだ。国際労働組合総連合(ITUC)の最近の報告書は、労働組合運動が「常に抑圧されていて、活動家は脅威の中で生きている。労働法は名ばかりの存在で、組合活動家に対する脅迫、暴力、誘拐、襲撃が多発している」と指摘する。殺人事件が発生しても、犯人が捕まることは稀で、犯人の98%は無罪放免となっている、と言われている。
ITFは、ザモーラが殺害された後、すぐにSTEPQへの支援活動を開始した。生命が脅かされている組合員や、ザモーラ殺害の原因となったと考えられている不当解雇闘争を展開している組合を支援するために、世界規模の運動を主導した。
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無罪放免を許さない!

また、メディアに訴えたり、国内および国際レベルでロビー活動を展開したりしながら、「無罪放免を許さない!」運動に一役買った。マスコミに取り上げられることで、組合員は恐怖がはびこる中でも、モチベーションを保つことができた。これまでのところ、STEPQ幹部への襲撃再発は防げている。
2007年にザモーラが殺害されてから、STEPQ幹部は、主に電話による死刑宣告を度々受けるようになった。ITFはグアテマラに三度、調査団を派遣した。2008年2月に最後の調査団が派遣されて以来、STEPQ幹部に対する脅迫は一度も発生していない。また、ITFの調査団や世界的な運動を後ろ盾に、STEPQは新政権に影響力を行使したり、事件を捜査するよう、警察当局に圧力をかけたりすることができた。
ペドロ・ザモーラのキャンペーンは終わりを迎えた。STEPQは国際的な支援を受けながら、逆境と闘い、リーダーは失ったものの、すばらしい成果と勝利を収めた。
この集中的なキャンペーンによって、STEPQは次のことを成し遂げた。

港湾当局と真摯な対話が行われるようになり、重要な決定にSTEPQの意見が考慮されるようになった。
勤務年数最長12年の日雇い労働者105人に、常用の地位が与えられた。
技術と経験が認められ、労働者100人が昇進した。
民営化が港湾近代化のモデルとは考えられなくなり、近代化のプロセスに透明性が確保され、決定の過程にSTEPQが関与するようになった。
STEPQの組合員数は、2008年1月から21%増えた。
グアテマラの交通運輸労組間の協力関係が強化された。

ザモーラ殺害犯の無罪放免を許さないITFの運動や、STEPQからの圧力により、新政権は、ザモーラ事件の捜査、ILO第87号条約および第98号条約の遵守、労働組合の役割の尊重を約束した。ITF中南米地域事務所は、グアテマラの労働組合は以前に比べ、政府からより多くの支援を受けており、団結権も保護されている、と指摘している。
また、ITFのザモーラ運動が展開される中で、国連が「グアテマラにおける無処罰問題対策委員会(CICIG)」を設置した。
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CICIG

「グアテマラにおける無処罰問題対策委員会(CICIG)」は、先ず2年間の活動で、地下武装集団の犯罪調査に重要な役割を果たす。また、正義と平等を推進するため、労働組合や市民団体を支援する。
中南米地域におけるITFの役割も軽視できない。ITF中南米地域事務所は、STEPQの組合員と常に連絡を取り合い、連帯や支援の要請に応えてきた。また、ザモーラ殺害事件の捜査の進展状況も、常にチェックしてきた。
アントニオ・フリッツITF中南米地域事務所長は、「ITFのキャンペーンは、国際連帯の下に労働組合が一致団結すれば、何が達成できるのかを示してくれた。この地域の組合は地域独特の困難に直面している。団結によってのみ、我々は負けないということを示すことができる」と語る。
STEPQのオスカー・ギオヴァニ・ゴンザレス執行委員は、「ITFの運動や、世界の組合の連帯行動のおかげで、プエルト・ケッツアル港の組合活動家が殺されることはなくなった。政府も捜査への協力を約束している。STEPQは引き続き、事件の真相解明に向けて、圧力をかけていく。現在のSTEPQの目標は、中南米の主要港としての地位を固め、グアテマラが大きく前進するために、プエルト・ケッツアル港の発展をサポートすることだ。STEPQもITFも、ペドロ・ザモーラのことを忘れることは決してない。これからも、労働者の権利と尊重のために闘い続けていく」と語った。
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マリアン・パウエルはITFの編集者。アルフォンソ・バヘナはITF中南米地域事務所職員
ザモーラはなぜ殺されたのか?

ペドロ・ザモーラ殺害事件は、港湾改革案をめぐる労使紛争が何ヶ月も続いていた時に発生した。
ザモーラは、STEPQの書記長を辞めないと殺す、等の脅迫をたびたび受けていた。武装した暴漢が乗った車がザモーラの自宅前に止まっているのが何度も目撃されていた。
2006年10月10日には、組合員9人が大規模集会に参加したことを理由に解雇され、同月末には、軍隊がプエルト・ケッツアル港に投入された。
2007年1月15日の月曜日、ザモーラは子供と一緒にいるところを複数の暴漢に襲われ、20発もの銃弾を浴びた。犯人の1人は100発も発砲した後、負傷したザモーラのところまで歩いて行き、真正面からザモーラの顔をめがけて発砲した。3歳の息子、アンジェルもこの襲撃で負傷した。 ザモーラの最後の行動は、子供たちを守るために、彼らの頭を床に伏せさせることだった。
犯人は未だ捕まっていない。
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