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グローバルユニオン

2009年1〜3月 第34号
■グローバル協約
 
グローバル協約のためのグローバルな交渉

サービス産業の労働者の権利を保障するグローバル協約。UNIのクリスティー・ホフマンが協約締結に至る過程を説明する。

2008年6月、各種サービス産業の1,500万人労働者を代表する国際産別組織であるユニオン・ネットワーク・インターナショナル(UNI)が、世界大手清掃請負業者のISSと画期的なグローバル協約を締結した。この協約は、団結権の分野で新境地を切り開くものだ。
ISSは世界50カ国以上で46万人を雇用している。従業員の多くは清掃員で、そのほとんどが所得最下層の女性たちだ。
清掃請負産業全体の問題は、組織率が低いことと低賃金だ。産業自体は成長しているものの、組織率は追いついていない。ISSにも同じことが言える。欧州の従業員は、大多数が団体協約にカバーされているが、新興諸国や米国では、ほとんどの従業員が組合の保護を受けていない。
2003年、UNIはISSとグローバル協約を締結した。これは、従来型のグローバル協約で、ISSに労働者の権利を尊重させるものだ。ISSは従業員が自由に組合に加入する権利を認める方針を維持していたが、実際のところ、清掃産業の組織化は非常に困難だった。欧州ですら、組合が労働者に接触することは容易ではなく、労働者も組合支持者のレッテルを貼られることを恐れているため、組織率は低迷している。職場が散らばっていることや、労働時間が短いことも、労働者と組合の定期的な交流を妨げている。
UNIは先ず、国内の組織化運動を強化し、ISSに現場レベルで一定の権利を尊重するよう訴えた。
2003年度協約の改訂交渉の時、UNIプロパティー・サービス部門とISSは、協約の内容をより具体的なものとすることで合意した。最終的な目標は、組合加入の自由を現実的なものとすることだった。
新協約には、国内法や中核的労働基準の尊重の他にも、団結権の分野に関する多くの重要な項目が盛り込まれた。
組合によると、組合への加入や組合活動に積極的になることを恐れる労働者に対して最も有効なのは、「組合に加入し、組合の代表と会うことは問題ない。そのことで罰を受けることはない」と会社側に一筆書かせることだが、ISSもそのような要請があれば応じるとしている。
清掃産業のもう一つの問題は、労働者に定期的かつ効果的に接触することが困難なことだ。オリエンテーションや研修の際に新入社員に接触することは、組合の組織力維持に不可欠だ。ISSは組合が新入社員と接触したり、(顧客の了承を条件に)職場へ立ち入ったりすることに協力し、必要に応じ、業務体制を変更することを約束した。
さらに、国内法の定める最低条件を満たしていれば、組合を認知することに合意した。つまり、会社は組合認知のプロセスを妨害しない。これは米国の組合にとって、非常に大きな意味がある。米国の労働組合は長年、認知に至るまでにさまざまな障害や激しい組合つぶしに直面し、その拡大を妨げられてきた。ISSとの協約は、こういったことを許さないことを明確にしている。
一方、UNIは、ISSが競争上、不利になることがないよう、清掃業界の全企業を監視し、基準の引き上げに努力することを約束した。
これは非常に重要なことだ。業界内の競争にISSが打ち負かされてしまえば、条件向上は長続きしない。清掃産業の参入障壁は低い。中小企業が多く、労働条件を履行させるのは難しい。規制の強い欧州でさえ、法律や団体協約が守られないことも多い。組合が業界全体を監視し、条件引き上げの責務を果たすことが重要だ。
このプロセスを支援するため、ISSは労使合同の基金に年間10万ユーロを拠出することを約束した。
協約は紛争解決プロセスを通じて履行される。年に2回、労使が紛争解決のために会合を持つことが定められている。合意に達しない場合は、拘束力のある仲裁に委ねられる。
協約が現場の労働者の条件向上につながるかどうかは、今後数ヶ月あるいは数年にかかっている。UNIは特定の国に焦点をあてた計画を策定するとともに、既に国レベルで実施中の組織活動をサポートするための資源確保を期待している。UNIプロパティー・サービス部門の加盟組合は、既に複数の国における組織化目標を決定している。
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交通運輸産業のグローバル協約と組織化

スチュワート・ハワードがUNIとISSのグローバル協約の意義を語る

マースク、ハッチンソン、DHL等の交通運輸部門のグローバル企業は、ITFとのグローバル協約の締結に関心を抱くようになっている。
グローバル協約は、国際枠組協定(IFA)としても知られている。国際産別組織とグローバル企業の間で締結され、当該企業の世界中の活動において、合意された労働基準を遵守させるのが狙いだ。現在、約50のグローバル協約が存在するが、交通運輸部門では一つも締結されていない。
ITFは現在、組織戦略の一環として、国際枠組協約の長所と短所を分析し、どうしたら効果的なグローバル協約を締結できるのかを検討している。多くのグローバル協約に共通する欠点は、効果的なモニタリング(監視)体制の欠如だ。
ITFは長年にわたる便宜置籍船(FOC)キャンペーンの経験から、協約を実施させることの重要性を理解している。ITFと協約を締結した船主は、拠出金の支払いを義務付けられており、この資金を基に、ITFは世界各国の港に約130人のインスペクターを配置している。
UNIはISSとのグローバル協約の中で、モニタリングの資金を拠出することを企業に約束させている。グローバル協約の中に、このような条項が盛り込まれたのは初めてのことだ。
だが、この協約の本当の意義は、組織戦略との関連性にある。協約締結で終わるのではなく、ISSや同業他社における組織拡大のための手段として、協約を活用する。これこそ、本来のIFAの目的だ。
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スチュワート・ハワードはITF書記次長
 
 
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SATAWU、安岳江号との闘い
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2008年度サマースクール参加者の感想・意見
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協約改訂闘争勝利の理由
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読者の声: アジア太平洋地域の路面運輸労組
勤労生活:ベルギーのDHL航空部門で働くコニー・ヴァンデンボッシュ
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