国際運輸労連-ITF
メニュー トランスポート インターナショナル バックナンバー
HOME
ITFについて
ITF−所在地
リンク
ITFニュースオンライン
>> 最新号はこちら
その他ITF情報
>> 最新号はこちら
 
国際運輸労連(ITF)機関誌
トランスポート
インターナショナル >>
最新号はこちら
シーフェアラーズ
ブルテン >>
最新号はこちら
 
ITFニュースオンラインバックナンバー
ITFニュースオンラインバックナンバー
東京事務所
〒108-0023
東京都港区芝浦3-2-22
田町交通ビル3階
地図はこちら
TEL:03-3798-2770
FAX:03-3769-4471
mail:mail@itftokyo.org
>> 詳しくはこちら

グローバルユニオン

2009年1〜3月 第34号
■読者の声
 
困難に直面する路面運輸労働者

最近行われたアジア太平洋地域の路面運輸労働者部会で同地域の労働者が情報交換し、戦略を話し合った。彼らの出した結論を以下に紹介する。

組織労働者に対する攻撃が続く中、ITFからの支援が必要だと感じている組合が増えている。組合が民間部門を組織しようと奮闘する中、地域全体の会議を開くことで困難な状況が容易に解決されるわけではないが、会議を開くことで、組織化を継続する必要があることが再認識された。
パプアニューギニアでは、他の交通運輸労組の支援を必要としていた労組が、港湾労組の支援を受け、路面運輸労働者の組織化にあたる路面運輸支部を設立した。ネパールでは、民主主義と労働条件を改善する闘いが中心的な労働運動となっている。一方、ベトナムは、現在、政府による交通運輸産業の再編の波に直面している。
▲ ページトップへ
フィリピン・ミンダナオ交通運輸労組(RTEU-ALU-TUCP)
エドガー・バコンガ委員長

路面運輸労働者の抱えている問題は?

路面運輸産業の発展は必ずしも恩恵だけをもたらしたわけではない。国民は交通手段を得て、雇用も創出されたが、労働者の8割が未組織であり、ほとんどの労働者が搾取されている。
車両を賃借して営業する運転手や車掌の6割および歩合給で働く運転手や車掌の一部がおり、一日8時間以上働いても法定最低賃金を支払われていない。社会保障も提供されていない。
ほとんどの労働者が雇用を保障されておらず、労働契約も存在しないため、事業者は労働者をいつでも解雇できる。
労働者は、十分な休憩時間を与えられていない。特に、運転手と車掌は、極度の疲労と闘っている。また、保守作業員は、安全ギアを支給されることもなく、作業に臨んでいる。
燃料費の高騰により、運転手や車掌の収入は激減した。また、旅客数も激減している。
ミンダナオの他の州では、待ち伏せしていた強盗にバスが襲われる事件が多発している。警察の記録によると、そのほとんどの場合、運転手と車掌が殺害されている。

組合は、どのような活動をしているか?

組合同士の協力関係を構築している。協力体制は始まったばかりだが、組織労働者が地方のタクシー、トラック、バスなどを組織しようと活動を拡大している。複数の交通運輸労組がまとまって連合体を形成できれば、交通運輸産業労働者の声を、もっと吸い上げられるようになるだろう。
組合は様々な問題に対処しようと奮闘している。多くの交通運輸労働者が、生き残るためには組合に入るしかない、と感じ始めている。ナショナルセンターのフィリピン労働組合会議(ALU-TUCP)は現在、契約途中における違法な雇用の打ち切りと闘う労働者を支援している。組織労働者が活動したことで、雇用を打ち切った事業者の労働者搾取の実態がマスコミに暴かれることになった。
ミンダナオ交通運輸労組(RTEU-ALU)は、セミナーやラジオ番組などを通じ、継続的に組合の重要性や疲労の問題について訴えている。
▲ ページトップへ
ネパール独立交通運輸労組
ビドゥール・カルキ書記長

路面運輸労働者の抱えている問題は?

主な問題は以下の通り:
労働のインフォーマル化、日雇い化
雇用保障の欠如と請負労働
会社は連携しているが、組合は分断されている
世銀や国際通貨基金(IMF)による企業に有利な介入が増加
金融危機と失業率の上昇
   
また、交通運輸労働者に特有の問題としては以下が挙げられる:
交運労働者は事故に遭遇しやすいという悪いイメージが広まっている。
終身雇用の仕事がない。
社会保障をはじめ、国や使用者から与えられる恩恵が一切ない。
身分証明書も雇用契約書も存在しない。
交通警察や地方自治体とのトラブルが絶えない。
労働時間が長い

組合はどのような活動をしているか?
政治情勢が不安定なため、活動計画を完全に実施することも困難だが、以下を中心に運動を展開している:
組合組織の発展とキャンペーンの強化
教育活動
社会保障の確保と財務管理
組合事務所の運営
国際活動の強化
▲ ページトップへ
パプアニューギニア運転手合同労組
ジェームズ・ピジャーペ支部長

路面運輸労働者の抱えている問題は?
運転手の賃金や労働条件は他の交通運輸労働者と比べても最低レベルで、わが国で最も搾取されている労働者グループだ。
終身雇用されている運転手はいない。全員が日雇い労働者に分類される。そのため、時給や週給なども定まっていない。会社は運転手の配送回数と走行距離に基づいて賃金を算定している。そのため、配送をしない日は当然、賃金はもらえない。
パプアニューギニアの税制は非常に複雑かつ不公平なものだ。法廷最低賃金は一向に上がらず、物価は急上昇しているにも関わらず、労働者には非常に重い税金が課せられる。
HIV/エイズは、もはや医療だけの問題ではなく、深刻な社会問題になっている。しかし、この問題はこれまでも、そしてこれからも対処が困難であろう。運転手は家族を離れ、文化的に異なる国をいくつも行き来する仕事の性質上、HIV/エイズの影響を受けやすくなる。
ストは違法ではないが、手続きを踏んで実施しなければならない。労働争議の解決方法としては、労働局内に設置されたメカニズムとして仲裁システムがある。しかし、会社側が引き伸ばし戦術で組合員の不満を高め、組合への信頼を揺るがそうとすることも可能だ。仲裁プロセスは何年もかかる。現在、労働局はトラック会社の問題2件を扱っているが、2件ともほぼ3年以上係争中だ。組合の熱烈な支持者である年配の経験豊かな運転手を解雇するというのは会社の常套手段で、代わりに若い運転手を雇う。こうした形で組合は次第に勢力を失っていく。

組合は、どのような活動をしているか?
最近、組合は、スワイアグループ所有の運輸会社2社で雇用されている組合員の賃金と労働条件をめぐる仲裁で勝利を収めた。他の運輸会社との産別協約交渉や他の組合の交渉に、この勝利を活かしていくつもりだ。
組合は、ドライバーの賃金引上げと労働条件改善要求を支援している。最近、「適正な同一労働、適正な同一賃金」という要求を開始した。
HIV/エイズ関連の運動もしており、影響を受けやすいトラック運転手の啓蒙活動をしている。組合活動にとって最も重要なコミュニケーション面での活動についても検討している。
何よりも、組合の力の構築に力点を置いており、時間と資源を組合員のリクルートに集中させている。組合員を増やすためには、組合が一丸となって活動しなければならない。
▲ ページトップへ
ベトナム運輸労連(VNTW)
パム・ディン・ヌグ副委員長

組合は、どのような問題を抱えているか?

ベトナムでは、天候の局地的悪化が深刻で、運転手が作業中に事故に遭うリスクが高まっている。路面運輸労働者の労働災害が発生しやすい。
ベトナムは発展途上にあるが、交通インフラが発展に追いついていない。車の制限速度はあるもの、運送事業者は常にプレッシャーにさらされ、労働時間や休憩時間に関する規則に違反しがちである。制限速度に従わずに警察から罰せられる運転手も多く、運転手の負担は大きい。 国境を越えて運転する国際運転手の場合、労働者は長期にわたり組合の保護の外に置かれることになる。また、交通規則に従わない運転手が多いことと、運転手の労働強化があいまって、事故が多発している。
インフレ率が上昇しているが、路面運輸労働者の収入は低く、労働者の負担は大きい。燃油価格の高騰が労働者の収入低下に拍車をかけている。労働者を保護する法律も政府の政策も、ほとんど存在しない

組合は、どのような活動をしているか?
VNTWは労働者の生活条件改善のための施策を実施してきた。労働者に法律や政府の政策について情報を提供し、労働者が自らの権利と自己防衛を学べるようにしている。
労働組合は民営化のプロセスにも関与し、労働者の権利と利益が守られるように担保している。
VNTWは、加盟組合に対し、民営化にあたっては会社とよく協力し、新たな企業ニーズを満たせるよう、労働者の再教育を実施するための適切な政策の策定を勧告している。そうすることで、失業を最小限に抑えようとしている。現在、加盟組合の組合員の失業率は約1.3%に止まっている。
▲ ページトップへ
 
 
INDEX
エレーヌ・バーナード
労働運動の第一人者の視点
港湾
SATAWU、安岳江号との闘い
路面運輸
グローバルな連帯トルコの組合を救う
ペドロ・ザモーラ
ザモーラ暗殺後のSTEPQの活動
ITFサマースクール
2008年度サマースクール参加者の感想・意見
船員
船員に対する刑事訴追の現状
公共交通
ITFが公共交通の促進を訴える理由
ILWU
協約改訂闘争勝利の理由
グローバル協約
UNIの画期的なグローバル協約締結の意義
一般
ニュース
 
読者の声: アジア太平洋地域の路面運輸労組
勤労生活:ベルギーのDHL航空部門で働くコニー・ヴァンデンボッシュ
評論:世界不況下の明るい兆し
 
mail@itftokyo.org Copyright (C) 2004 International Transport Workers' Federation TOKYO All Rights Reserved.