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2005年7〜9月 第20号
■われらが港湾を守ろう
 
われらが港湾を守ろう

カナダの労働者は港湾の保安強化に意欲的ではあるが、自分の医療データや義理の両親の政治活動暦まで公表しなければならないことには賛成できないとトム・デュフレンは言う。

カナダの海事産業を構成するオペレーター、輸送業者、港湾労働者は、力強く活力あるカナダ経済を支える主な担い手だ。海事産業は、25万人を直接的または間接的に雇用している。同産業一年間の貨物取扱高はカナダの総貿易額の4分の1にあたる1,000億米ドルに上る。
港湾保安の面では防衛の最前線に位置し、カナダ経済の主要な担い手として、海事産業はカナダの港を過去数十年にわたり保護してきた。今後もそうする心構えでいる。
カナダ海事産業のオペレーター、輸送会社、港湾労働者は、連邦政府が率先して行うカナダ港湾の保安強化のための新規則の導入を全面的に支持するし、努力も惜しまない。しかし、提案されている港湾保安規則案は国家安全保障の問題をあまりに重要視するために、憲法の下に保護されている港湾労働者の権利や経済上の競争力への配慮とのバランスを欠いている点が懸念される。
カナダ運輸省は、ISPSコード(国際船舶および港湾施設保安コード)導入の一環として、新規則(海事施設進入不可地域アクセス禁止法、MFRAACP)の草案を検討している。
2003年後半以降、国家安全保障と個人の権利のバランスを考慮した規則をつくるため、カナダ海事産業は運輸省と協議を進めている。しかし、包括的MFRAACP規則は、プライバシーを侵害する任意の経歴チェックを規定しており、安全保障上のリスク査定を超え、カナダ国民の基本的権利やプライバシーを侵害する不公正な行為にあたる可能性がある。
海事産業は、もっと理にかなった、現実的な解決策を見出すため、産業界と今後も協議するよう連邦政府に要請している。そうすることで、カナダ港湾の競争力を損なわずに、あるいは海事産業に従事する労働者のプライバシーを著しく侵害することなく、カナダの港湾保安を強化できる。
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主な懸念

海事産業は主に以下のような懸念を抱いている。

1.過度にプライバシーを侵害する、行き過ぎた経歴チェック
新規則案では、あらゆる分野の港湾労働者に犯罪歴チェック、信用調査、最高機密セキュリティ審査を受けることが求められる。審査対象となるのは、資格をもった水先案内人、保安員または保安関連の仕事に従事する従業員、クルーズ船ターミナルに出入りする従業員、コンテナターミナルの指定制限区域に出入りできる従業員などだ。さらには、貨物や乗組員、乗客リストにアクセスのある全ての人間に加え、コンテナターミナルで貨物の流れを管理したり、取り扱ったりする従業員も対象となる。審査の過程では、家族(義理の両親や離婚した配偶者を含む)に関する情報、過去5年間の旅行歴(日時、旅行の目的を含む)、職歴などの提示も求められる。これは全カナダ国民の基本的権利とプライバシーを侵害する不公正な行為である。

2. 基準の主観性
現在起草されている新規則では、どういった場合に保安審査にパスし、どういった場合に却下されるのかの基準が明確に定義されていない。下記の例からも分かるように、カナダ運輸省の職員は、きわめて主観的かつ、気まぐれな基準で海事リスクを審査している。新規則の第509-b条4項および5項では、申請書に不審な点がある場合や疑われるべき相当な理由がある場合はこれを許可しないとしている。つまり、不審な点とは、第4項で「人または物に対して、暴力的行為または暴力的行為の威嚇を行う、あるいはそれを支援する行為を行った、または行った疑いのある組織に所属していた、もしくは所属したことのある者。あるいは、そのような組織の活動に関わった、貢献した、あるいは貢献したことがある者」とされており、第5項では「サブパラグラフ(i)に示されている活動に関わった、あるいは貢献したことが分かっている、もしくは疑いのある個人と交わりがあった者、または、サブパラグラフ(ii)から(iv)に示された組織やグループに所属する者」と規定されている。

3.情報の保護に関する保障がない
連邦政府は、収集した情報を誰が見るのか、情報をどのように利用するのかを公表していない。また、個人情報が絶対に悪用されないという保障もない。

4.透明性と独立性に欠けた再審査手続
申請書が却下される基準が明確でないのに加え、審査の過程ではねられた者は、連邦運輸省や新たに設立されたカナダ運輸省再審査局に再審査申請を提出する以外に、他の手段がない。再審査局は申請を検討し、運輸大臣に直接勧告を行う。

5.カナダの港湾の競争力をそぐ大きなリスク
提案されている審査を行うことから生じる遅れや不確実性により、カナダや全世界の顧客の要求を満たすという点で、カナダ港湾産業の能力が制限されることにつながる。港湾システムは既にぎりぎりの状態で稼動しているが、新規則により、滞留貨物や港湾の混雑が倍増する可能性がある。
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公正な解決策を見出す

労働者個人の安全や生活が安全で活気に満ちた海事産業に依存していることは、カナダの港湾労働者もよく理解している。コンセンサスを目指し、連邦政府や使用者の代表者と協議する機会を労組がこれまで持てたことを嬉しく思っている。そのような協議を1年半続けてきたが、結局政府と合意に達することはできなかった。しかし、カナダ運輸省は現在でも、利害関係者からのフィードバックを受けていると公言している。一方、組合と使用者はいくつかのアプローチについて合意した。このアプローチを取れば、カナダ港湾の保安強化を確保しつつ、経済的競争力を保ち、労働者の憲法上の権利を保護することもできると確信している。
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法執行機関の強化

海事産業は、現在の労使の協力体制を強化し、産業界とも協力をして最前線で港湾の保安強化に貢献できるように、あらたな法的手段を整備することは支持する。
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検査のための基準の設定

港湾労働者が確実かつ公正な条件のもとで仕事ができるように、より明確な基準を設定し、検査を行うだけの正当な理由があるのかを説明するよう、カナダ運輸省に要請している。
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再審査申請を利用しやすく合理的なものに

海事産業はカナダ運輸上訴裁判所などの既存のメカニズムを利用した、より利用しやすく、合理的な再審査プロセスを支持する。これは、海事運輸保安法を改正することにより可能となり、より独立した透明性の高い再審査プロセスが港湾労働者に開かれることになる。
現在、カナダ運輸省は海事施設進入不可地域アクセス禁止法(MFRAACP)の導入を保留している。カナダ海事労働者協会と使用者グループは、今後も政府に情報提供を求め、最終決定が納得のいくものになるよう、今後もあらゆる政党と協力していくつもりだ。
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トム・デュフレンはカナダILWUの委員長。
 
 
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