国際運輸労連-ITF
メニュー トランスポート インターナショナル バックナンバー
HOME
ITFについて
ITF−所在地
リンク
ITFニュースオンライン
>> 最新号はこちら
その他ITF情報
>> 最新号はこちら
 
国際運輸労連(ITF)機関誌
トランスポート
インターナショナル >>
最新号はこちら
シーフェアラーズ
ブルテン >>
最新号はこちら
 
ITFニュースオンラインバックナンバー
ITFニュースオンラインバックナンバー
東京事務所
〒108-0023
東京都港区芝浦3-2-22
田町交通ビル3階
地図はこちら
TEL:03-3798-2770
FAX:03-3769-4471
mail:mail@itftokyo.org
>> 詳しくはこちら

グローバルユニオン

2005年7〜9月 第20号
採掘から輸送まで
 
採掘から輸送まで

スチュワート・ハワードが石油とガスの生産・流通に関わるグローバルユニオンズの協力関係について報告する。

2000年9月、英国で独立系のトラック輸送業者が寄り集まって燃料の値上げに抗議するデモを行った際、あっという間にスーパーの棚が空っぽになってしまった。2003年に米国西海岸で労働者が「ロックアウト」された際、この事態は国家の安全保障に関わる重大問題として取り上げられた。米国で製造ラインが止まっただけでなく、数日のうちには中国や東南アジアでも製造が停止した。アンダーセン・エコノミック・グループは、12日間で米国経済が被った損失は16万7千億ドルに上ると予測した。
もちろん、輸送が遮断されたことにより、他の産業が波及的な影響を受けることに不思議はない。しかし、驚くべきは、以前とは比べ物にならないほどの影響の大きさである。
グローバル企業は、世界中に生産ラインを持っており、世界のあちらこちらから集めた部品を組み立てている。ナイキからマイクロソフトまで、一つの商品がグローバルブランドの名のもとに世界中で販売されている。巨大な多国籍小売チェーンにより、商品がどこでどのように貯蔵され、販売されるかが左右される。このような驚くべきグローバル化のプロセスの中で、複雑な企業サプライチェーンへの新たな依存構造が生じてきた。
▲ ページトップへ
サプライチェーンへの依存

効率的で低コストのサプライチェーンへの依存度が高まることで、グローバル企業の輸送や物流への関心も高まってきた。運輸政策はもはや交通運輸産業のごく特殊な一分野の話ではなくなった。港の荷役から鉄道貨物の自由化、航空貨物規則、急送宅配サービスまで、自由化そのものがグローバル企業の都合に左右されるようになった。企業はグローバル・サプライチェーンをより拡大し、より効率よく、費用対効果の高いものにしようとしている。
財源豊かな欧州海運協会は、ブリュッセルを本拠とするロビー団体で、企業が欧州委員会の港湾自由化パッケージ法案を後押しする上で一役買った。「ジャストインタイム制や同様の手法の開発により、今後の欧州産業の発展にとって港湾の信頼性が極めて重要になった」と述べる。
西海岸港湾連合(WCWC:大手小売業者の連合組織)は、法律、新技術、時には政治的な圧力を通じて米国の西海岸における物流を高速化するために存在していると主張する。その理由も欧州海運協会と全く同じで、「今日のグローバル経済においては、米国の製造者も労働者も、世界中から集められた部品をジャストインタイム・システムにより迅速に配送することに大きく依存している」と考えるからだ。
WCWCは、厳密に言えば輸送会社のロビー団体ではない。彼らは、サプライチェーンの利益を守ろうとする、共通のサプライチェーンを中心にまとまったサプライチェーン・ロビー・グループである。WCWCのサプライチェーンリストには、海運や鉄道分野の業者だけでなく、トヨタ、GAP、ウォルマートなどのグローバル企業が名を連ねている。
世界中の労働組合は、国の交通運輸システムが地域ハブやグローバル・ハブあるいは回廊(コリドール)ネットワークを中心に再編される中で大きな打撃を受けた。つまり、国の規制障壁が除去され、交通運輸システムが多国籍企業に所有されるようになり、グローバル競争に開かれたり、国際レベルで労働が流動化したのだ。
組合は失業、労働条件や福利厚生の削減、劇的な労働強化、非正規雇用、社会ダンピングなど、公然たる組合潰しを経験してきた。オーストラリア海事組合(MUA)も米国の国際港湾倉庫労働組合(ILWU)も港湾労働者の組織を破壊しようとする行為に直面し、それを乗り越えてきた。
▲ ページトップへ
石油と輸送−戦略的協力体制

様々な攻撃は労働運動の弱体化を招いた。しかし、交通運輸の世界的な再編と、企業が脆弱なグローバル・サプライチェーンへの依存度を高めることで、最終的には、交通運輸労働者のグローバル経済における位置づけがより戦略的なものになるとITFは確信している。もちろん、戦略的な立場にあることが、即、組合の力の強大化を意味するわけではない。また、こうした戦略的位置づけが新たな条件から生じてきたのであれば、組織化のあり方も変えていく必要があるかもしれない。
使用者に対して産業的な力を行使するという新たな能力構築に興味を持ち始めた組合もある。また、サプライチェーンに沿って、WCWCのような新しい使用者のグループが誕生している動向も組合は認識している。
ITFと国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)は石油とガスの生産と輸送の面でグローバルユニオンズの協力関係を構築しつつある。これは、石油のような日用品の生産現場から、最終輸送地点まで、あるいは、石油の場合は、「採掘現場から輸送場所まで」の製品の流れを把握することを目指す取り組みだ。2つの国際産別組織(GUF)が協力するという概念は、必ずしも革命的なものではないが、これほど公式に長い時間をかけ、よく調整されてきた協力関係は珍しい。第1回戦略会議はロンドンのITF本部で2005年2月に開催された。今年後半には、この協力関係が正式に立ち上がる予定だ。
一面から見ると、この協力関係の論理は非常に明快である。石油産業は世界中で空前の利益を享受しているが、ほとんどの労働者の労働条件は切り下げられている。例えば、石油タンクを輸送するトラックドライバーは、石油会社に直接雇用されているのではなく、安全面に不安のある下請け業者から派遣される低賃金労働者だ。多額の収益を上げている産業の労働者がなぜ公正な報酬を受け取っていないのだろうか?両組織の協力プロジェクトは、石油の生産と輸送に携わる労働者の組織化拡大という実に明確な目標を定めている。
▲ ページトップへ
連帯の可能性

「労使紛争や組織化キャンペーンで石油を輸送する労働者を支えるのは、何も交通運輸労働者である必要はないのではないか?石油の生産に携わる労働者でもよいのではないか?」という発想から協力関係が生まれた。同様に、生産労働者が紛争を起こした場合、輸送労働者がそれを支援することもできる。ITFとICEMは、石油ガス産業に従事するあらゆる労働者の間にユニークなほど強力な相乗効果が形成される様子を見てきた。そのため、実に効果的な形の連帯が実現した。共同戦略を練ることにより、組合組織化において何を活動の対象としていけばよいのかも明確になってきた。しかし、協力には連帯ネットワーク以上の意味がある。ITFとICEMの両組織は、協力関係を利用して、重要なグローバル産業の中で労働者が主な利害関係者として適切な地位を確保することを目指している。
同じようなグローバルユニオンズ内の協力関係を他の産業で構築することもできるだろう。最近発行された産業のリスク報告書によると、ジャストインタイム配送システムの発達により、現在、ほとんどの自動車製造工場がほんの数時間分の部品在庫しか置かなくなったという。そのため、交通運輸労働者と金属労働者の協力関係構築が求められている。
しかし、当面は、石油・ガス労働者との協力に焦点を定めるのがねらいだ。第一の協力関係が石油・ガス産業で結ばれたのは、同産業の戦略的本質によるだけでなく、ITFとICEMが長年行ってきた、オフショア油田施設への供給に関わる組合権保護のためのキャンペーンに由来している。ある意味では、石油・ガス産業でのITFとICEMの協力関係は、同キャンペーンの延長とも言える。合同キャンペーンの経験から、ITFもICEMもともに、今回の新しい協力関係を構築することの利点を十分理解している。
労働組合は必ずしも新しいものを好まない。真の連帯を育成するには何年もの年月が必要であり、闘いが苦しくなれば連帯の真価が試されることにもなる。しかし、新しい戦略的切り札を握る必要性を組合が再び認識し始めている。脆弱なグローバル・サプライチェーンの中に、組合はこれまでで最強の切り札を見つけたのかもしれない。
▲ ページトップへ
連帯の可能性

「労使紛争や組織化キャンペーンで石油を輸送する労働者を支えるのは、何も交通運輸労働者である必要はないのではないか?石油の生産に携わる労働者でもよいのではないか?」という発想から協力関係が生まれた。同様に、生産労働者が紛争を起こした場合、輸送労働者がそれを支援することもできる。ITFとICEMは、石油ガス産業に従事するあらゆる労働者の間にユニークなほど強力な相乗効果が形成される様子を見てきた。そのため、実に効果的な形の連帯が実現した。共同戦略を練ることにより、組合組織化において何を活動の対象としていけばよいのかも明確になってきた。しかし、協力には連帯ネットワーク以上の意味がある。ITFとICEMの両組織は、協力関係を利用して、重要なグローバル産業の中で労働者が主な利害関係者として適切な地位を確保することを目指している。
同じようなグローバルユニオンズ内の協力関係を他の産業で構築することもできるだろう。最近発行された産業のリスク報告書によると、ジャストインタイム配送システムの発達により、現在、ほとんどの自動車製造工場がほんの数時間分の部品在庫しか置かなくなったという。そのため、交通運輸労働者と金属労働者の協力関係構築が求められている。
しかし、当面は、石油・ガス労働者との協力に焦点を定めるのがねらいだ。第一の協力関係が石油・ガス産業で結ばれたのは、同産業の戦略的本質によるだけでなく、ITFとICEMが長年行ってきた、オフショア油田施設への供給に関わる組合権保護のためのキャンペーンに由来している。ある意味では、石油・ガス産業でのITFとICEMの協力関係は、同キャンペーンの延長とも言える。合同キャンペーンの経験から、ITFもICEMもともに、今回の新しい協力関係を構築することの利点を十分理解している。
労働組合は必ずしも新しいものを好まない。真の連帯を育成するには何年もの年月が必要であり、闘いが苦しくなれば連帯の真価が試されることにもなる。しかし、新しい戦略的切り札を握る必要性を組合が再び認識し始めている。脆弱なグローバル・サプライチェーンの中に、組合はこれまでで最強の切り札を見つけたのかもしれない。
▲ ページトップへ
スチュワード・ハワードはITFの書記次長。
ICEMとITFの協力

フレッド・ヒッグスICEM書記長は語る。

近年、ICEMとITFは国際オフショア油田・ガス産業関連の問題で良好な協力関係を築いてきた。両組織が協力することで、両組織の加盟組合は、各組織が個別に活動するよりもずっと大きな力と影響力をもち得る。この協力関係がうまくいっている事実から、より広範な石油・ガス部門には、ユニークなほど強力な相乗効果が存在することが実証された。ITFとICEMという素晴らしい2組織が力を合わせ、同産業で最も大きな力をもつ多国籍企業に対抗することで、各組織の加盟組合の利益をより効果的に保護することができる。
▲ ページトップへ
 
 
一般
 
 
コメント
 
 
 
 
 
mail@itftokyo.org Copyright (C) 2004 International Transport Workers' Federation TOKYO All Rights Reserved.