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グローバルユニオン

2005年7〜9月 第20号
■繁栄する組合潰しビジネス
 
繁栄する組合潰しビジネス

新しい形態の組合潰しについてケイ・パリスが報告する。

2003年6月、イギリスのキュリナ・ロジスティクス社の倉庫部門の従業員は職場に貼られたポスターを目にして仰天した。ポスターには「あなたの組合費は一党独裁の共産主義国のために使われている」と書かれていた。運輸サービス組合(TSSA)の組織化を防ぐために会社が雇ったコンサルタント会社の仕業だ。
このように巧妙で敵意にあふれた組合潰しは、目的達成のためには手段を選ばない。キュリナ・ロジスティクス社のポスターもその一例で、英国運輸事務職労働組合(TSSA)が「キューバ連帯運動」に年間80ポンドの寄付をしていることを創造的に解釈したものだ。会社側のこの戦略はこれまでのところ功を奏し、同社の倉庫職場は未組織のままだ。
典型的な組合潰しは次のような形で行われる。
まず、経営者が全従業員宛に手紙を出す。会社への日頃の貢献に感謝すると同時に、組合が貪欲で腐っていると非難するものだ。
次に部下に人気のある現場監督者が反労組の資料を配るとともに、管理職と従業員との小規模な非公式ミーティングに加わるように命ぜられる。このようにして、定例的な安全会議や職場会議が強制的な反労組会議へと変貌していき、組合を非難するポスターや帽子、ペン、Tシャツなどが職場にあふれ出す。
反労組会議はだんだんと激しさを増していき、「組合は会社をダメにする」「ストになれば給料も減る」などの警告が従業員に出されるようになる。組合のシンパとして知られている者は会議から締め出され、脅迫されたり、不正行為をでっちあげられたりして、最終的には解雇される。
以上が「米国流組合潰し戦術」としてよく知られるもので、外部の「組合潰し屋」が絡んでいる。この「組合潰し屋」は、米国のナショナルセンター、米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)によると、「組織化の阻止を経営者に指導する労使関係コンサルタントや法律事務所」と定義される。
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10億ドル規模の産業

米国の組合潰し産業は10億ドルの規模で、推定約1万人の雇用を生み出している。米企業の少なくとも75%が組合のオルグを阻止するためにこれらのコンサルタントを雇っている。運輸関係では、ナショナル・エクスプレス、ファースト・グループ、デルタエアラインなどがその例だ。しかし、団結権は全国労使関係法(NLRA)や鉄道労働法(RLA)で保障された権利で、使用者が組合活動に干渉したり、組合に賛同する被雇用者を差別したりすることは違法である。
しかし皮肉なことに、このような組織労働者の保護規定こそ組合潰しビジネスの繁栄をもたらしたとも言える。労働規制は資本家の価値観と矛盾するため、利益に飢えた企業が法律の抜け穴を見つけ出すのを手助けするビジネスが求められるようになったのだ。そして現在、このビジネスが成長を遂げ、アメリカ以外の国にも波及し出した。
グローバル化は大手企業(反労組の企業を含む)が自社の社風を投資先の外国に広めることを可能にした。また、グローバル経済における競争の激化や、競争促進を目的とする規制緩和の波が、コスト削減のインセンティブと反労組の文化を創り出した。
企業は法規制を逃れる方法、組合を阻止する方法を知りたがっている。第三者の存在がはっきりしない場合でさえ、組織的な組合潰しの裏には、これら業界のプロの影響が直接的あるいは間接的な形で及んでいることは明らかだ。
97年に英国で労働党政権が誕生した後、従業員の過半数を組織する組合の認知を保障する法律が導入された。この法律の目的はもちろん、労働者の権利を保護することにあった。しかしこの時既に、大西洋の向こうの米国では、反労組コンサルタントが英国での契約獲得を狙って舌なめずりをしていたのだ。
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法の抜け穴

テキサス州、ヒューストンに本社を置くPTIレーバー・リサーチ・グループ(以下PTI)は、99年の雇用関係法導入以降に英国に進出した米コンサルタント会社の先駆けで、今や英国以外の欧州諸国やカナダ、プエルトリコにも顧客を抱えている。
ほぼ未組織のデルタ航空は、PTIなどの反労組コンサルタントに何百万ドルものコンサル料を支払ってきたと言われている。一方、デルタ航空の客室乗務員は4年前の組合認知選挙で敗北したが、今再び、客室乗務員組合(AFA)に加入する権利を求めて闘っている。
「デルタ航空は組合を排除するためなら金に糸目をつけない。しかし、われわれの側の対応もよりち密になっている。デルタの客室乗務員オルガナイザーも会社の攻撃に備えるようになった」とAFAのエリー・ラーソンは言う。
AFAはデルタの客室乗務員用ホームページ(www.deltaafa.org)を開設し、オルグに関して予想される会社側の対応についてアドバイスをしている。会社側に狙われたある社員は次のように語った。
「ある日、管理職から暗い部屋の片隅に呼び出され、複数の管理職に周りを取り囲まれた。ターミナル周辺で、無許可でビラ配りを行ったため、州警察を呼んであるというのだ。私がやっていないことは彼らも分かっているのに」
組合に加入すれば罰せられるという雰囲気を作り出すことは違法である旨、米国の法律ではっきりと決められているにもかかわらず、企業は法の抜け穴や法の裁きを逃れる方法について幅広いアドバイスを受けるためにコンサルタントを雇っている。米国企業の4分の1以上が、組合のオルグ活動中に一人以上の従業員を違法に解雇していると推定される。しかし、裁判に持ち込まれるケースは稀で、たとえ持ち込まれたとしても、わずかな金額の罰金判決が出るだけだ。職場復帰を果たすまでには10年かかることもある。
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あからさまな組合潰し

米国の“組合回避”コンサルタント大手、バーク・グループはその業務内容を「組合回避コンサルティング、反組合戦略、管理職研修、対組合脆弱性査定、組合加入緩和策、反企業キャンペーンなど」と公言してはばからない。
バーク・グループの顧客リストには、コカコーラ、ハニーウェル、マテル、Kマートなどの有名企業が名を連ねているが、顧客側の企業はバーク・グループとの契約について口を閉ざす傾向がある。英国ではTモーバイルが労組対策にバーク・グループを使っていると言われている。バージンアトランティック航空も「コミュニケーション問題」でアドバイスをもらうために同社を雇ったことを認めている。
米国以外の国では、運輸産業は比較的、組織率が高いため、企業はあからさまな組合潰しはリスクが高すぎると感じていると思われる。しかし今日、多くの交通運輸労組がコンサルタント会社の影響を感じさせる組織的な組合潰しを目にする機会が増えた。バーク・グループには会員専用の顧客リストが別に存在し、「ほぼ全業種」をカバーしていると言われている。米国以外では、英国、フランス、カナダ、メキシコ、プエルトリコ、バージン諸島、ドイツ、ベルギーで顧客を獲得している。
もちろん、全てのコンサルタント会社がアメリカ生まれというわけではない。例えば、98年にオーストラリアで発生した歴史的な港湾争議、パトリック争議でオーストラリア海事組合(MUA)潰しの顧問的役割を果たした悪名高き男、ポール・ホウリハンは、MUAによると、「ハワード政権があの港湾戦争を秘密裏に計画するために雇った」ACILグループの主任コンサルタントだった。
ホウリハンは「ハワード政権の反労組政策を立案し、オーストラリア進出企業の過剰なまでの反動的政策に影響力を与えた」とMUAが確信している、右派系シンクタンク、HRニコルスのメンバーでもある。
これらのコンサルタント会社の業務は法律相談から政界へのロビー活動まで、はっきりと線引きできない性格のものが多いが、彼らのような外部組織の影響や会社側の組織的な反労組戦略のせいで、世界中の組合がますます苦しい闘いを強いられていることは明らかだ。セントビンセントのカリブ海労働会議(CCL)がカリビアンスター・エアラインのパイロット10名の解雇をめぐり、米国テキサス州のオーナー会社を非難したときにも外部組織の存在を感じたという。
ロシアのムルマンスク港では、ムルマンスク・シートレードポート・ジョイントストックカンパニー(MSTPJSC)の経営者が2004年5月に変わって以来、ロシア港湾労組(DUR)への弾圧が続いている。組合の会社宛社内メールは禁止され、会社経由の組合宛郵便物は届かなくなった。DUR組合員の個人情報が集められ、組合員の弾圧に使われた。
「組合員は呼び出され、給料を下げるぞとか、昇進させないぞ、などと脅されている。使用者のこのような行為によって、組合の全ての活動が台無しにされている」とITFモスクワ地域コーディネーターのミハイル・リャコフは言う。
イズミル(トルコ)にあるスタンダート・カルゴの社員も反労組的な環境に置かれている。
2004年、トルコ路面運輸労組(TUMTIS)にオルグされた社員数名がTUMTISへの加入を申請すると、会社側は加入をあきらめない限り解雇すると脅迫し、これを拒否した社員8人が解雇された。そのすぐ後に、社員や組合役員が職場の外で合法的な抗議行動を平和的に実施していると、拳銃や、ナイフ、棍棒で武装した暴漢らがやって来て、彼らを襲撃した。
今日、多くの国で消費者保護運動や企業の社会的責任追及の動きが広まる一方、競争促進型のグローバル経済の中で組合潰しビジネスが繁栄し、特に9.11以降に顕著になった反労組の風潮を後押ししている。
2005年4月、ザンビア鉄道総裁は合法的なストライキをテロ行為と称した。その1年前には、合法ストを行ったベネズエラ地下鉄労組の組合員がテロリストとして非難されている。
組合が会社の反労組戦略に抵抗していくためには、会社と同様に法律の知識をしっかり身につける必要がある。コンサルタント会社らが法の抜け穴や軽微な罰則規定を探している間に、組合は労働法を強化し、法の悪用を防ぐための闘いを展開しなければならない。同時に、組合員に自らの法的権利を認識させ、簡単に脅迫に屈しないように教育する必要がある。そしてこれは全ての問題について言えることだが、組合の真の強さは団結と組織力から生まれることを忘れてはならない。
AFAは組合潰しと闘う際に、いくつかの黄金律に従っている。組合潰しを狙った会社側の主張には迅速に対応する、チラシ、ポスター、ホームページなどあらゆるコミュニケーション手段を活用する、そして最も重要なものとして、労働者一人一人と話しをするなどである。
「オルグ対象の航空会社の社員は組合のオルグ活動をしっかり把握していなければならない。課題や問題に対する情報も必要だ。一方、組合は彼らに助言を与えたり、活動をコーディネートしたり、アドバイザーとして重要な役割を果たす」とエリー・ラーソンは言う。
皮肉なのは、組合が要求する労働基準の達成に必要な金額以上がコンサルタント会社に支払われているケースが数多く存在することだ。仮に、イギリスのキュリナ社が説明責任を求められ、コンサルタント料の情報公開を余儀なくされ、TSSAに対する攻撃を止めることになれば、キュリナ社の倉庫部門の従業員も、本当は誰から誰に金が流れているのかを知ることができるはずだ。
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2004年10月19日

ファースト・スチューデント−クレストヒル社員各位

いったん署名してしまった組合員証をどうやったら返してもらえるのかという質問を社員からたびたび受けています。彼らが組合員証を返してもらいたがる理由の1つは、組合に騙されて署名してしまったと感じているからです。
私がかつて言ったことを思い出してください。組合が皆さんに近づくのはお金のためです。今は友人のように振舞っていると思います、誤解してはいけません。組合は皆さんの友人になるためにここに来るわけではないのです。皆さんが組合費という形でお金を納めないことが分かっていたら、わざわざここまで足を運ぶと思いますか?もちろん、そんなわけはありません。
組合は皆さんを欺いて署名させているのです。署名しても、組合の機関誌などが送られてくるだけだからと言われた人もいるかもしれません。しかし、それは違います!組合員証に署名するということは、組合に加入することであり、組合の規約や規則に拘束され、組合費納入の義務を負うことを意味します。
前も言いましたが、組合は皆さんに署名させるためなら何でもします。
考えてみてください。友人のようにあなたに近付き、誤った情報であなたを騙す、そんな人を本当に信用できますか?汚い手段で売り込みするような人を信用できますか?そんな人があなたを大切にするわけがありません。

マーシーより
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コンサルタントをバックにつけた反労組戦略の一環として、米国イリノイ州のファースト・スチューデント社が社員に送った手紙。国際サービス従業員組合(SEIU)は同社の反労組戦略と闘っている。
ムンバイ港での組合潰し

サンガム・トリパシー

2004年12月、運輸港湾労組(TDWU)はムンバイ港の大手荷役会社の運輸関連子会社、トータル・トランスポート・カンパニー(TTC)の運転手90人、清掃員等の組織化に成功した。
TDWUがTTCに書簡を送り、組合認知と賃金労働条件交渉を求めると、これに憤慨したTTCは地元のマフィアを動員、組合との乱闘に発展した。
組合がこの事件を警察に訴えると、会社側は既に、組合が先に手を出したとする報告書を警察に提出していた。その結果、組合の活動家やTTC社員を含む計10人が身柄を拘束された。「組合の働きかけで10人は翌日に解放されたが、会社側は彼らの受け入れを拒否した。この出来事は組合のオルグ活動にとって痛手となった」とTDWUのPKラーマン書記は言う。
TDWUが組合たたきにあったのはこれが初めてではない。「このマフィアは2003年にもムンバイ港に足場を築こうとしたことがあった。マフィアの一味をTDWU運輸部門の副委員長に立候補させ、当選させたのだ」とラーマン書記。組合潰しを行うことや、金銭と引き換えに会社を守ることを密約していたのだという。「さらに、港湾への立ち入り許可を獲得して、マフィアのメンバーに日雇いの仕事を確保しようとしていた」とラーマン書記は続ける。
組合はこれらの陰謀や脅しにも屈せず、組合員も慎重な姿勢を崩さなかったため、この副委員長は翌年の選挙で落選した。
2004年12月の組織化のすぐ後、TTCの社員数名が港内に立ち入ろうとしたところ、会社側に雇われた民間警備会社の警備員が彼らにけんかをしかけた。TTC役員が彼らを港湾保安当局に引き渡すように命じると、港内にいた彼らの同僚75人は彼らを助けるためにストに出ることを決めた。
すると会社側は報復措置として、75人全員の立ち入り許可証を無効にするように港湾当局に申し出た。「われわれ組合も港湾当局に苦情を申し立て、本件に対する公正・公平な対応をお願いした。しかし、当局はTTCに関連会社の名前で営業することを許可し、新規労働者のための許可証の発行を申請させたのだ」とラーマン書記は言う。
TDWUは現在も解雇された計85人のための闘いを続けている。「もう4ヵ月も経つが、まだ和解手続き中だ。85人は解雇されたままだ」
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自分の権利を知ろう!

組合のオルグ活動に会社が干渉するのは違法です。
労組の選挙を監視する政府機関、米国調停委員会(NMB)は以下の行為を違法としています。
組合に加入すれば労働条件を下げるぞと脅すこと
組合のオルグが始まった途端に労働条件を上げること
監視、尋問、聞き取り調査
組合のピンやバッジを外すように命令すること
組合支持者に懲罰を与えること
会議に強制的に出席させ、組合批判をすること
組合を批判する文書を大量に社員に送りつけること
以上のような具体的行為の他にも、組織化阻止を目的とする会社側の行為は全て、NMBが会社側の干渉の有無を判断する際の検討対象となります。もし、団結権が侵害されたと感じたら、「AFA干渉事件報告書」を記入して、AFAオルグ本部に電話してください。
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AFAのデルタ航空客室乗務員用ホームページ(www.deltaafa.org)から抜粋
 
 
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