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2009年7〜9月 第36号 |
■ジンバブエ |
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困難の中で
ジンバブエの組合の奮闘の様子を、マリアン・パウエルがギデオン・ショコに聞いた。
ジンバブエの労働者は、最も苦しい時を生きている。経済は急落し、給料が支払われない人も多い。超インフレによって、基本的な生活物資すら購入できない人もいる。
このような状況の中、組合は活動を継続するために最善を尽くしている。ギデオン・ショコはジンバブエ合同鉄道労組(ZARWU)の書記長で、ジンバブエ労働組合会議(ZCTU)の書記次長も務めている。労働組合運動のキャリアは30年以上に及ぶ。
「活動継続は非常に困難だ。組合には資金がない。組合員は全国に散らばっているので、組合員に会いに行くことすら難しい」
ムガベ政権の下で、組合活動家はことごとく嫌がらせを受けた。「組合の会議に警察が来る。出席を拒めば、会議自体を違法とされてしまう」とショコは言う。
暫定連立政権が2月に誕生してから、状況は改善し、組合活動家に対する嫌がらせもほとんどなくなった。
しかし、経済は依然として混乱している。インフラは放置され、交通運輸労働者の状況は一層厳しさを増している。例えば、鉄道は10%しか運行されていない。工場、農場、鉱山は生産を停止し、輸送するものもない。今年は、植えるさとうきびもなかったので、収穫もない。
鉄道労働者の多くが、給与を3ヶ月間(2月〜4月)も受け取っていない。会社は給与明細を発行しているので、記録上は支払われたことになっているが、従業員が現金を手にする方法はない。それでも従業員は出社し、働いている。多くの人が徒歩通勤で、1日3度の食事が取れることはまれだ。
組合費はチェックオフされているが、それが組合に支払われることはなく、組合財政は毎月12,000ドルの赤字となっている。組合職員は無給で働いている、とショコは言う。
このような状況の中で、どのように組合活動を継続しているのか?「誰もが同じ質問を訊ねてくるが、砂漠のトカゲにどうやって生き延びているかを聞いてくれと答えている。ただ生き延びているのさ」
ショコが昨年、クリティバで開催されたITF鉄道総会に参加した時、多くのITF加盟組織が支援を約束し、金銭や文房具までをも寄付してくれた。これらの支援が非常に役に立ったという。ショコは、これまでに数回、逮捕されているが、当時、ITF加盟組織の連帯のメッセージが大きな役割を果たした。
逆境にかかわらず、ショコは楽観的な姿勢を崩していない。「暫定政権がうまく機能するもしれないし、悪法が撤廃されるかもしれない。何らかの希望はある」。 |
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新政権が抱える深刻な問題
2009年2月11日、民主変革運動党首のモーガン・ツァンギライが、与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)との権限分割協定に基づき、首相に就任した。
ZANU-PFは長年にわたり、労働組合権や市民権を侵害してきた。人権団体のヒューマンライツ・ウォッチによると、ジンバブエでは組合活動は厳しく制限され、結社の自由や表現の自由も完全には認められていない。
インフレ率は世界最悪で、平均寿命も女性が43歳と世界最短レベルだ。失業も深刻だ。国民の多くが基本的な生活物質を購入できず、何百万人もが隣国に脱出している。 |
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