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2009年7〜9月 第36号 |
■女性交運労働者 |
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進歩の兆し
ITFの最新調査によると、ここ10年間で女性交通運輸労働者の状況は改善しているものの、依然として差別が存在する。
ITFが2007〜2008年に加盟組織を対象に実施した調査によると、1998年の前回調査に比べ、状況は改善しているものの、依然として交通運輸産業の女性は男女差別と闘っており、男性と同じ権利を享受していない分野が、いまだに数多く存在する。
この調査には、45カ国から、200の企業・職場の女性労働者約30万人を代表する388件の回答が寄せられた。
「交通運輸産業における職業差別を撤廃し、男女平等を勝ち取るためには、強い組合が必要であることが証明された」とITFのアリソン・マクガレー女性コーディネーターは言う。
「企業に機会均等や反セクハラ方針を採用させたという点で進歩はあったが、団体交渉を通じて、これらの方針を実施させることが必要だ。組織拡大、組合活動への女性の参加促進を通じてのみ、女性の雇用保障や賃金平等を勝ち取り、日々直面する差別を克服することができる」 |
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進歩
■仕事に応募する時、配偶者や子供の有無を聞かれることが少なくなった
■いまだに10人に1人が、賃金の不平等が存在すると回答している
■昇進機会や年金が男性と変わらない女性が増えたように思われる
■職務分担についても、男女差別をなくす方向に向かっているようだ
■企業、特に旅客輸送会社は、いまだに「魅力的な」女性のイメージを売り出しているが、比較的、女性従業員の専門性や「サービス」を強調するようになっている。
■回答者の半数以上が、自分の会社で機会均等政策が採用されていると回答しており、前回の3分の1を上回っている。機会均等政策が存在すると回答した人の半数は、その政策が有効だと答えており、前回の5人に1人を大幅に上回っている。
■回答者の半数が自分の会社にセクハラに関する政策や労使合意が存在すると回答しており、前回の26%を上回っている。 |
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課題
■回答者の10%が、結婚で仕事を辞めざるを得ない、と回答している。特に、鉄道やクルーズ産業で、この傾向が強い。
■27カ国の女性が、有給の産休制度がない、と回答している。
■妊娠中の女性の大半に、転職の権利がない。
■女性が求められる職種やその給料に関して、依然として大きな差別が存在する。
■伝統的に「男性の仕事」とされていた業務に就いている女性の多くは、男性用にデザインされた業務服を着用しなければならない。
■一方、女性社員の特定のイメージを売り出そうとする会社は、ハイヒールや、タイトスカート、サリーといった非実用的で、乗客の安全すら守れないような制服を着用させることが多い。
■回答者の半数が、自分の会社に機会均等政策はない、と回答している。
■回答者の半数が、自分の会社にセクハラ政策がない、あるいは、あるかどうか分からない、と回答している。また、半数以上がセクハラに関して、迅速な対応がとられているかどうか確認できない、としている。管理職や従業員対象のセクハラ研修が実施されていると回答したのは、5分の1に満たない。 |
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10年前は…
1998年にITFが実施した男女平等調査の結果は、懸念すべきものだった。
■多くの企業で、同一労働同一賃金の原則が実施されていない
■契約労働者、パートタイム労働者に女性が占める割合が、著しく高い
■女性の大多数が男性と同等の昇進機会を与えられていない
■“魅力的な”女性スタッフを交通運輸のセールスポイントにすることは、女性労働者の地位向上にとって有害だ
■女性労働者の大多数が、自分の職場に機会均等政策や反ハラスメント政策が導入されているかどうかを知らない
■女性は男性に比べて賃金が低く、雇用機会も少ない
■既婚女性あるいは子供を持つ女性の多くが差別されている
■母性の権利を完全に行使できる女性は少ない |
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