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グローバルユニオン

2009年7〜9月 第36号
■タイ
 
民主主義の強化

タイの交通運輸労組はITFの教育活動のおかげで力をつけている、とサンガム・トリパシーは言う。

タイの労働組合は困難な状況に置かれてきた。軍事クーデターや独裁など、波乱に満ちた政治史の中で、労働組合運動は細分化、弱体化されてきた。
労働者が組合を結成したり、有効な団体交渉を通じて自らの利益を促進する権利も否定・制限されてきた。
国営企業部門では、交通運輸等の労働者組織が労働組合として認められたのは、2000年になってからのことだ。国営企業の労働者組織が国営企業労働関係法の制定を勝ち取り、組合権が法的に回復した。
1998年の通貨危機は、交通運輸産業、特にタイ航空、道路運送、鉄道、港湾に深刻な影響を及ぼした。政府は大規模な人員整理、福利厚生の削減、民営化推進を行い、組合活動への取り締まりも強化した。
タイの交通運輸労組は、今世紀の初めから困難な状況に置かれていたのだ。
「組合の組織体制は脆弱で、財政力もなく、能力も完全に欠如し、組合哲学やイデオロギーへの理解・コミットメントに至っては、全く存在しなかった」とタイ国鉄従業員組合(SRUT)元委員長でITFタイ加盟組合協議会(ITFタイ)初代議長のソムサック・コサイソックは語る。
こういった状況の中、ITFは加盟10組織を対象に、数々の教育活動を開始した。資金はフィンランドの交通運輸労組(AKT)とフィンランド労組連帯センター(SASK)が提供してくれた。活動のターゲットは、組合の幹部、教育者、活動家、一般組合員、交通運輸労働者だった。
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指導者の養成

ITFとSASKは、既存のITF加盟組織をターゲットに教育活動を展開することを決定した。
8年間で228回の意識啓発基礎研修を実施。タイの全ITF加盟組織の14%(6,874人)が参加した。この中には女性1,517人(22%)が含まれている。また、リーダーシップ基礎研修には、活動家145人とトレーナー60人が参加した。
これらの活動により、参加者は組合活動家としての能力を習得することができた。例えば、高速道路通行料収集員組合(LUETA)のサラウット・スリプラヤク委員長は、研修参加時は、委員会の委員に過ぎなかったが、研修で知識や能力を習得した後、書記長に選出され、現在は委員長に就任している。
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組合間の協力強化

活動の焦点は、ITF加盟組織の協力強化にあてられた。ITFデリー事務所は、ITFタイに加盟組織間の連絡調整を依頼した。活動を監督するコーディネーターも配置した。
年月を重ね、活動の成果が現れると、ITFタイは教育活動のみならず、組織化や各加盟組織が抱えている問題に取り組んだり、合同活動を計画したりするようになった。一致団結して合同で運動を展開したり、ITFファミリーの一員として、交通運輸労働者の問題について積極的に立ち上がったり、連帯の手を差し伸べたりもした。
ITFタイ“女性ウィング”のチュティマ・ブーンジャイは、「タイ航空労組(TG)は、性差別反対運動の先頭に立ち、客室乗務員の組合員を支援してきた。“女性ウィング”は反セクハラ運動でも多くの成功を収めているが、ITFの教育事業が果たした役割は大きい」と述べている。
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タイの組織化:将来に向けて

タイでは、ほぼ全てのITF加盟組織が、公共セクターの労働者を代表している。従って、民間セクターの交通運輸労働者の組織化が、今後の大きな課題だ。道路貨物輸送、ロジスティクス、港湾ターミナル、特に、ラエム・チャンバン港、コンテナフレートステーション、倉庫、荷役関連の労働者のほか、タイ・エアアジア、ノックエア、バンコクエアウェーズ等のローコスト・キャリヤー(格安航空会社)の労働者や、DHLやFedExの航空貨物労働者の組織化には、大きな可能性が秘められている。水産も潜在的に重要な分野だ。
2007年、タイ交通運輸労組(TWUT)が、ITFに新たに加盟した。TWUTは複数のロジスティクス会社の交通運輸労働者を組織しているが、まだ結成初期段階にあり、多くの問題に直面している。使用者の激しい抵抗にあい、組合員が犠牲となるケースも発生しているが、他のITF加盟組織は皆、民間セクターの交通運輸労働者の組織化に挑むTWUTを強く支持している。また、国営企業においても、未組織の労働者が増えている。2009年後半は、加盟組織とニーズの分析や計画立案を行い、教育活動を民間セクターや未組織部門の組織化に、どのように役立てていくかを話し合う予定だ。
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サンガム・トリパシーはITF教育部職員。
ITFの教育活動の成果

ある独立した評価によると、ITF-SASKの教育活動は、タイ労組の能力強化という意味で大きな成果を出している。
8年間の教育活動を通じて、加盟組織が抵抗する力を身につけたことは間違いない。その他にも、財政力、組織力、事務所機能、苦情処理能力が強化され、学術機関や個人との交流も増えた。
「タイの市民社会や政界において、労働組合運動がゆっくりと、しかし着実に認識されつつある。交通運輸に関しては、労組の教育活動が労働者の全体的な参加を増やしたり、労組の民主制の強化につながったことは間違いない」と評価報告書は分析する。
ITFの教育活動によって、組合内部に教育インフラが築かれ、現代的な教育技術とプロセスを有する教育者やトレーナーが養成された。今や大半の加盟組織が、副委員長レベルの教育担当役員を1人以上、抱えている。
また、組織化にも直接的・間接的に貢献している。加盟組織は、民主的な労働組合運動の原則と実践について一般組合員に教育することができたし、組合役員はITFの研修を通じて、選挙で選ばれた役員の役割と責任ついて理解を深めることができた。次世代の指導者に関しても、前向きな動きが見られる。
組合の能力強化を目指す活動は、現在も進んでいる。その成果は、産業再編や民営化等の問題に関する運動に参加する組合が増えたことに、はっきりと現れている。ITFが主催する運動(安全と鉄道への公共投資を訴える国際鉄道行動日、疲労をテーマとした国際路面運輸行動週間、国際女性行動日等)に熱心に参加する組合も増えた。
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INDEX
物故者
英国の組合指導者ジャック・ジョーンズを悼む
オピニオン
ハナフィ・ルスタンディのイランへのメッセージ:イスラム教と民主主義は矛盾しない
海賊
悪化するソマリア沖アデン湾の状況
危機に直面する資本主義
金融危機が交運労働者に及ぼす影響は?
成功への道
不安定な雇用形態の改善を求めて闘う南アフリカの路面運輸労組
ジンバブエ
困難の中で奮闘する組合の様子
イランの労働者抑圧
組合活動家、サイード・トラビアンに聞く
グローバルな組織化へ
米英共闘の勝利-ファースト・グループの組織化
HIV/エイズ
ケニア港湾労働者、エイズ政策を勝ち取る
タイ
民主主義の強化-ITFの教育活動の成果
民間航空
勝利に沸くアルゼンチン航空労組
女性交運労働者
進歩の兆し
一般
ニュース
勤労生活:バーレーンの航空ケータリング・スーパーバイザーのハッサン・ハメイド
論説:この号の特集記事
 
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