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グローバルユニオン

2009年7〜9月 第36号
■グローバルな組織化へ
 
米英共闘の勝利

米英の交通運輸労組の共闘によって、米国のファースト・グループの労働者15,000人の組織化が達成された。マーチン・メイヤーが報告する。

「グローバルな組織化は有効だ」最近開催されたITF路面運輸部会で発せられたメッセージだ。この会議で、米国でここ1年半の間に、ファースト・グループの労働者15,000人以上が組織されたという報告があった。多国籍の交通運輸企業の中では最も激しい労組攻撃を展開していたファースト・グループだが、米英両国の組合が長年にわたる困難な闘争を繰り広げ、このようなうれしい結果が生まれた。
この闘争が始まったのは5年以上前のことだ。米国の国際サービス従業員労組(SEIU)が、ファースト・グループの所有する米国のスクールバス会社、ファースト・スチューデントの組織化について、ITFを通じ、英国の交通運輸一般労組(TGWU)に支援を要請した。TGWUバス部門の幹部は、英国に拠点を置く多国籍企業のファースト・グループが、黄色いスクールバスを運行するファースト・スチューデントの組織化を何としてでも阻止するために、激しい労組攻撃を行っていると聞き、ショックを受けた。
英国のバス産業で2万人以上を雇用するファースト・グループは、TGWUを認知し、組合選挙で選ばれた幹部と定期的に協議・交渉を行っている。英国のバス車庫は、組織率が95%を超えるところが大半だ。
TGWUは早速、ファースト・グループの組合員に、米国の仲間が次のような扱いを受けていることを伝えた。
■オルグを試みた組合員の懲罰・解雇
■あからさまな反労組の宣伝文句の流布や会社の掲示板への掲載
■従業員との個人面接で、組合に加入しないよう説得
■強制的な職場会議で、労組に批判的な講義やビデオの上映
ファースト・グループの黄色いバスが並ぶ車庫に、反労組の横断幕2枚が掲げられている写真を目にした英国の組合員は、自分たちの会社が大西洋を越えた米国で、意識的に反労組のスタンスを取っていることをはっきりと見て取った。
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国際連帯

米英両国のファースト・グループ労働者の絆を深めるために、英国の組合代表者が米国に招かれ、組合結成に奮闘するバス労働者と面会した。同様に、米国のファースト・グループの労働者も英国を訪れ、TGWUの幹部や活動家と面会した。ファースト・スチューデントの女性活動家2人は、イーストボーン(イングランド)で開催されたTGWUバス総会に出席した。
女性活動家2人が組合を結成しようとしたために、会社から脅迫、差別され、懲罰を受ける可能性すらあるという話を聞いたTGWU幹部は、自らの血が熱くなるのを感じた。
そこで、アバディーンのファースト・グループ経営陣に直接、連絡を取り、米国での反労組活動を強く批難するとともに、これらの活動をすぐに止めるよう要請した。しかし、会社側は曖昧な説明や言い訳を繰り返すだけで、米国での組合攻撃を止めるつもりは全くないことが明らかになった。同時に、TGWU幹部は、米国の仲間の組合認知闘争を支援する必要がある、さもなければ米国流の労組攻撃が英国に持ち込まれるかもしれない、と強く感じるようになった。
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株主として

TGWUは、ファースト・グループの反労組方針を英国の投資家、政治家、メディアに暴露する巧妙かつ容赦ない運動を展開していった。英国の企業は、米国と異なり、反労組の言動を慎まなければ、経営に悪影響が及ぶ可能性がある。特にファースト・グループは、鉄道や地方バスの業務委託に責任を持つ政府閣僚、国会議員、地方自治体、地方議会議員の支持を受ける必要がある。また、従業員への対応でマイナスのイメージを被ることになれば、投資家の神経もとがらせることになる。英国の右派メディアでさえ、行き過ぎた反労組行動は許さないだろう。
この運動で非常に重要な要素となったのは、英国のファースト・グループの従業員の多くが、TGWUに加入しているだけでなく、ファースト・グループの株主であった点だ。これは、会社側が従業員に割引価格で株の購入を奨励していたことや、英国のバス産業が民営化された時に、ファースト・グループの株が従業員に無料で配られことによる。
そこで、ファースト・グループの本社があるアバディーン(スコットランド)で開催されるファースト・グループ年次総会に決議を提出し、株主であるTGWU組合員に賛成票を投じさせる大規模な運動が展開された。年次総会にはTGWU、SEIU、チームスター労組の幹部のほか、スクールバスの運転手も出席し、影響力を行使した。企業投資家もファースト・グループに真の改革を要求するようになり、その結果、経営陣は反労組の行動を止めることを約束した。
運動の後半、SEIUが他分野の組織化に集中するため、この闘争から撤退する戦略的決断を下してから、チームスター労組が運動の主力を担うようになった。当初は、ファースト・グループの反労組の姿勢が劇的に変化することはなかったが、ファースト・スチューデントのバス倉庫の職場で実施された組合承認選挙で、チームスター労組がいくつかの勝利を収めるようになっていった。
ここ数ヶ月間は、強制的な職場会議も減り、株主からの圧力のせいで、反労組の宣伝活動も勢いを失っている。そして、米国の組合が英国の組合に常に言っていたこと「ファースト・スチューデントのバス労働者が、使用者の干渉なしに自分たちで決定を下すことができれば、彼らは間違いなく組合に加入する」が現実になった。
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ファースト・グループの組織化

ファースト・スチューデントのバス車庫職場でチームスター労組が次々と組合承認選挙に勝利し、15,000人が新たに組合員となった。ファースト・グループ経営陣は、米国の子会社、ファースト・スチューデントの組織化阻止の闘いで敗北したことを認めた。
現在、ファースト・スチューデントの従業員の30%以上が組織されており、チームスター労組は今年末から来年初頭にかけて50%の達成を見込んでいる。
ITFは、米英合同のこの闘争において、重要な調整役を果たしてきた。両国の組合の仲立ちをし、要請に応じてファースト・グループに関心を持つ他の労組(アイルランドのSIPTU、オランダのFNV Bondgenoten等)との連携も調整した。
これらの組合が運動に加わったことで、ファースト・グループは労組の国際連帯の範囲の広さ、それが欧州のバス・鉄道事業進出拡大にもたらす影響を知ることとなった。
オルグ計画がうまくいき、特に、「グローバルな組織化」が有効であることが証明されたことは非常に嬉しいことだ。ファースト・グループのバス運転手は、国際連帯の恩恵を被っている。
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ユナイトTGWU部門のマーチン・メイヤーは、ITF路面運輸部会の議長。
 
 
INDEX
物故者
英国の組合指導者ジャック・ジョーンズを悼む
オピニオン
ハナフィ・ルスタンディのイランへのメッセージ:イスラム教と民主主義は矛盾しない
海賊
悪化するソマリア沖アデン湾の状況
危機に直面する資本主義
金融危機が交運労働者に及ぼす影響は?
成功への道
不安定な雇用形態の改善を求めて闘う南アフリカの路面運輸労組
ジンバブエ
困難の中で奮闘する組合の様子
イランの労働者抑圧
組合活動家、サイード・トラビアンに聞く
グローバルな組織化へ
米英共闘の勝利-ファースト・グループの組織化
HIV/エイズ
ケニア港湾労働者、エイズ政策を勝ち取る
タイ
民主主義の強化-ITFの教育活動の成果
民間航空
勝利に沸くアルゼンチン航空労組
女性交運労働者
進歩の兆し
一般
ニュース
勤労生活:バーレーンの航空ケータリング・スーパーバイザーのハッサン・ハメイド
論説:この号の特集記事
 
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