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2011年1〜3月 第41号 |
■最前線 |
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船員の権利を促進するセンター、世界海の日にオープン
船員の法的保護を高めるための施設、船員の権利のための国際センター(SRI)の開所式が、2010年9月23日、国際海事機関(IMO)で行われた。
同センターは、国内法・国際法によって船員が受ける保護の改善を確保するために活動する。設立の初期段階には、ITFの船員トラストから助成金が提供された。ITF本部(ロンドン)を拠点とする同センターは、独立機関である。
ディアドリ・フィッツパトリックSRI事務局長は、次のようにコメントしている。「船員は、しばしば危険な状況下で仕事をする。移動労働者であるがゆえに、不当な処遇、搾取、虐待、不正な行為を受けやすい立場だ。様々な国の管轄内および国境をまたいで働いているので、異なった国内法・国際法の適用を受けることになる。従って、適用もしくは執行可能な法律がそもそも存在するのか、存在する場合には、どの法律を適用するのかが不明な場合もある。
SRIは、世界の船員の権利や利益の増進に特化した組織である。現在、国際海運業の分野で、雇用法に関する知見や情報について研究・普及するためのフォーラムはない。SRIは、この空白を埋めるために活動する。船員や船員の保護について真剣に考えている利害関係者にとって、国際的資源となるだろう」 |
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ITF、PALPAとPALEAのため支援を動員
ITFの民間航空部会と加盟組合が、2つの航空会社の組合員からの支援要請に迅速に対応した。
I T Fは、パキスタン国際航空(PIA)に雇用されている2人の先任パイロットが解雇されたことを受け、パキスタン航空パイロット協会(PALPA)の組合員を支援するよう加盟組織に要請した。この解雇は、組合を封殺しようとする経営者側の試みの一環として行われたものと見られている。
以前パキスタン政府は、PALPAの労働者に対して、「不可欠業務保全法(ESMA)1958年」を発動した。この法律は、争議行為を阻止するために使われることがある。ITFは、パキスタン政府に対して2009年11月に締結した2年間の労働協約をPIAに遵守させることを求める運動を主導したが、今年4月に裁判所が下した同協約履行命令にも拘わらず、使用者側は遵守していない。
ITFは11月に、フィリピン航空(PAL)の労働者を最大3千人まで一時解雇することを可能にする決定を覆すため、PALEAへの長期的支援を新たに決めた。
PALEAとITFは、この決定が実行されればPALの労使関係はさらに緊張し、PALは弱体化し、PALの資産は剥奪され、労組を骨抜きにして組合員の雇用の擁護を抑制する試みとみなされ得ることを、フィリピン政府に納得させようとしている。 |
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女性に対する暴力撲滅キャンペーン 2010年11月25日
組合は、女性に対する暴力に断固反対する
1999年以来、毎年11月25日に開催されている「国連女性に対する暴力撤廃の国際デー」に、前回に引き続き、世界中のITF加盟組合が参加した。
この国際デーは、世界的な景気後退が長引く中で、暴力を経験する女性交通運輸労働者が増えていることから、益々今日性を帯びている。ITFは、南アフリカの士官候補生、アコナ・ジェヴェザがレイプされたと訴えた直後に溺死した事件を含め、この年の職場での女性に対する暴力事件の増加を報告している。
アコナ・ジェヴェザの死亡事件に関しては、依然として十分な法的調査がなされていない。当時、アコナ・ジェヴェザは英国籍船でクロアチア近海を航海中だった。ノーチラス・インターナショナルなどの組合は、女性に対する暴力撤廃の国際デーを機会に、この事件を適切に調査するよう当局に求めた。南アフリカ交通運輸合同労組(SATAWU)は、この事件を「うやむやにさせないよう」、国連デーと同日の行動日を設定した。また、SATAWUは、16日間にわたる女性や子供に対する暴力反対運動の展開を予定している。
一方、オーストラリアの加盟組織は、「Notsilent, not violent」(声を上げよう、暴力反対)のスローガンの入ったTシャツと旗を配布し、家庭や職場でのホワイトリボン・デーを支援した。クロアチアでは、同国の海員労組に勤務しているジャーナリストのボジャナ・マーノイロビッチが、労組の支援を受け、暴力に関する女性の経験を集めて公表した。
この問題に関する啓発運動は、タイでも優先事項とされている。タイ空港公社国営企業労組(AOT.SWU)の女性部門は職場訪問を企画し、組合員が啓発活動に参加した。ケニアでは、鉄道合同労組(RAWU)が同様の取り組みを実施した。
この国際デーとその趣旨を周知することは、レバノンやペルーの客室乗務員の活動の優先事項だった。ペルーの交通運輸労組は、バスの停留所や車両にポスターやリボンを張った。エルサルバドル国際空港労組は、同国の国際空港で、この日を記念した活動を実施した。
ネパール政府が最近、女性に対する暴力撲滅法案を提出し、その成立を求める運動に組合員が中心的役割を担っている。ニカラグアでは、港湾・道路労組が、ニジェールの民間航空労組と同じように、暴力撲滅メッセージを訴えた。セネガルの民間航空労組も、国際デーを支援した。
一方、インドでは、ムンバイ交運港湾労組(TDWUM)が会合を開き、キャンペーン資料を配布した。パラディップ港湾労組は、女性に対する暴力反対を啓蒙するため、非政府組織のサマダーンと共にデモ行進を実施した。全インド鉄道員連盟(AIRF)は、セミナーやワークショップ、集会を開催し、カウンセリングも実施した。 |
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ITFが、この活動に力を入れている理由
女性活動家達は1981年以来、ドミニカ共和国の独裁者、ラファエル・トルヒーヨの命令によって虐殺されたミラバル3姉妹を追悼する活動を、11月25日に実施してきた。国連は、ミラバル姉妹の暗殺された日の11月25日を、「女性に対する暴力廃絶のための国際デー」として採択し、各国政府、国際機関、非政府組織(NGO)に対して、女性に対する暴力問題に関する意識を高めるための活動を、この日に行うよう求めている。
ITFは第40回世界大会で、職場の女性に対する暴力問題に取り組むための具体的かつ実際的な決議案を採択したことを機に、2002年以来、11月25日に活動を実施している。 |
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トランスポート・インターナショナル第40号21ページ掲載写真について、誤った使用をしてしまったことをお詫び申し上げます。ITFは、定期刊行物などの出版物において、女性の肯定的なイメージを促進するという決意を改めて確認します。 |
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