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2011年1〜3月 第41号
■船内での暴力
 
船内での暴力

士官訓練生のアコナ・ジェヴェザが、レイプされたと友人に告げた後、海上で不審な状況で死んでいるのが発見された。
ジェーン・バレット


アコナ・ジェヴェザは、南アのイーストロンドンからさほど遠くない東ケープビレッジのヌクルーニで育った。失業状態でひどく貧しい母親ゼンジル・ジェヴェザと父親ノクワカ・ジェヴェザの一人っ子として、1991年に生まれた。娘が士官訓練生に選ばれとき、両親はたいそう喜び、誇りとした。
アコナは、南ア海上保安庁と港湾局の訓練プログラムの参加者、100人のうちの1人だった。このプログラムは、海運界での経歴を求める南アの若者を奨励するために創設されたものだが、特に港湾活動に従事する航海士の空きポストを充足することが港湾局の目的でもあった。ITF加盟組織の南ア運輸合同組合(SATAWU)は、このプログラムを支援していた。
士官訓練生が完全な資格を取得するためには、海上での実務経験を必要とする。アコナの「海上経験」は、カリバ号というコンテナ船に乗船することだった。このコンテナ船は建造されてから2年しか経っておらず、最初は南アの船社のサフマリン、その次は世界最大の船会社であるデンマークのAPモラー・マースクが所有者となった。カリバ号の旗国は英国であったが、多くの国際商船と同様に、様々な国籍の乗組員が乗船していた。
アコナの若い命が絶たれた6月24日、カリバ号はクロアチアのリエカに向かっていた。資格取得予定まで、僅か2週間だった。行方不明と伝えられた後、24日の午後2時頃、アコナの遺体が現地のクロアチア警察によって海で発見された。
アコナの行方不明と死亡を取り巻く恐ろしい状況が、次第に明らかになった。アコナは6月24日の朝、クラウデュシュ・コロジィチィック船長に、船内で上級航海士に何度もレイプされた、と報告した。それ以前に、他の南アの士官候補生にはそのことを打ち明けていたが、船長には怖くて報告していなかった。しかし、この日は勇気を振り絞った。7月19日付けの南アのサンデータイムズ紙によると、船長は直ちにその上級航海士を呼びつけ、アコナも交え、午前11時に会議を召集した。しかし、アコナは会議に現れず、海で遺体となって発見された。
自殺ではないかと疑われたが、アコナの友人や家族は信じていない。アコナの死亡事件は現在、カリバ号が英国で登録されていることから英国海難調査局の調査事項となっている。しかし、証拠収集は難航が予想されている。正義が果たされ、レイプの訴えについて確実に調査することは、さらに難しい。暴行容疑者のウクライナ人は、その後、サフマリンを解雇されている。アコナの遺体は、クロアチアで一度、さらに埋葬される前に南アで検死が行われた。
調査結果や容疑内容がどのようなものになろうとも、アコナの死は海上での虐待を白日のもとに晒した。アコナの死亡の状況調査について、サンデータイムズ紙は数人の士官候補生と話をした。ある若い女性は、自らの経験を次のように語った。「乗船したとき、10人の若い女性がいた。船長は神様のような存在で、誰の許可を受けることもなく、私たちと結婚し、洗礼し、埋葬さえできる。海は無人地帯で、海で起こったことは海に留まる」
虐待の疑いは、女性に対するものだけに限らない。自分と他の士官候補生が航海中に暴行を受けたと報告した男性士官候補生は、「それについては話したくない。航海中は、いろいろ悪いことが起こっている。自分もその犠牲者の一人だ」と述べた(2010年7月18日付けサンデータイムズ紙記事「南アの10代が経験した公海での恐怖」)。
このような話が公表されたことにより、他の国籍の船員からも似たような訴えが続発した。航海中のいじめも明らかになった。
今年8月初旬にメキシコで開催された第42回ITF世界大会では、海運業界全般、特にAPモラー・マースクのような船主に対して、世界の船員労組は、いかなる船舶のどの船員に対してもこのような扱いを容認せず、航海中の嫌がらせやいじめを根絶するための取り組みと、海運業界における相互尊重と機会均等の促進に向け、一層の努力をしていく、という強いメッセージの決議が採択された。
ITFのアリソン・マクギャリー女性コーディネーターは、「海運業界に進出することを、女性にためらわせてはならない。世界の労組が、FOC協約を通じて、職場における権利強化のために団体交渉ができるよう、女性への虐待について加盟組織に報告するよう求めている。女性は、暴力やいじめを受ける不安を持つことなく、職業に就くことができなければならない」と述べた。
ジョン・ウィットロー船員・水産・内陸水運部長も、この問題の重要性について強い意見を持っている。「女性は、暴力や差別を受ける心配をすることなく海運業界に進むことができなくてはならない。あらゆる労働者に対する暴力やいじめを、断固糾弾する。加盟組織に、この問題に対する意識を高めて取り組むよう求める」と強調した。
ノーチラスのマーク・ディキンソン書記長は、「海運業界に進もうとする若者の30パーセントを無駄にしてしまっている。海運業界でのいじめや嫌がらせ、差別が、容認されてはならない。性別、性的指向、人種に関係なく、100年前でさえ受け入れられないようなやり方で船員を処遇すべきではない」と語った。
アコナは、海運業界における男女間の垣根を取り払った勇気ある先駆者として記憶に残るだろう。SATAWUは、アコナの死によって女性が船員になることを躊躇しないようにしなければならない、と決意している。アコナの死は、船員の仕事が全ての労働者にとって安全なものとなる確固とした成果をもたらすキャンペーンの基礎となければならない。
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国連の「女性に対する暴力」撤廃デー

世界同時不況が長引くにつれ、女性交通運輸労働者が職場や家庭で受ける暴力被害が増えている。国連の調査によると、3人に1人の女性が暴力を受けた経験がある。
これを踏まえ、ITFと加盟組織は、昨年11月の国連デーに行動を起こした。この問題に対する意識を高めるため、白いリボンとカレンダーを配布した。
パディ・クラムリンITF会長は、この行動を後押しし、「この日は、働く女性、男性、家族の利益、地域の営みにとって重要な日だ。我々の生活の質を支えるこれらの自由を踏みにじる行為に対しては、その余地も、容認もありえない。女性に対する暴力は、我々が産業や政治、職業の中で育み、闘ってきた全ての権利と価値を侵害するものである」と述べた。
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あなたができること

この問題についての情報を知る。
船員のサイト:www.itfglobal.org/seafarers/index.cfm
嫌がらせに関する情報www.itfglobal.org/seafarers/harassment.cfm
職場での嫌がらせ・いじめ撲滅についてのガイドライン
www.itfglobal.org/etf/etf-ecsa.cfmこのサイトでは、欧州運輸労連(ETF)とEUおよびノルウェーの16ヵ国の船主で構成する船主協会(ECSA)が策定したガイドラインが、どの国の労組にも参考になる。

組合員のための緊急支援を整備する。
ITFインスペクターが、迅速かつ効果的に事件に対応する。インスペクターの連絡先:www.itfglobal.org/seafarers/disc.cfm
「船員ヘルプ」は、国際船員支援サービスが運営する電話相談である。女性担当者に相談したい女性船員は、希望すれば女性の担当者がコールバックする。www.seafarerhelp.org. を閲覧するか、+44 20 SEAFARER(73232737)に電話する。

事件を通報し、記録するよう組合員に求める。
この問題に関する状況を把握したいと考えています。暴力事件に関する情報を、女性部門までメールでお知らせ下さい(women@itf.org.uk)。
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物流大手企業における労働者への支援と労組連携の構築
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パディ・クラムリン新会長の労組活動家、労働者へのメッセージ
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ITF部会の新任議長・副議長にインタビュー
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