2011年1〜3月 第41号 |
■質の高い公共サービス |
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質の高い公共サービスの削減に反対
ITFは新戦略の重要プレーヤー、公共サービスの削減に反対し、地域社会の連帯を促進する。
ITFを含め多くの国際産別組織(GUF)が参加しているグローバルユニオン評議会(CGU)主導の"質の高い公共サービス―今こそ行動を!"QPSキャンペーンに、官民両部門労組の指導者や自治体、市民グループも結集している。適正な税制は経済危機の重要な解決策であり、公平かつ民主的で持続可能な社会構築のための最善策と位置付け、質の高い公共サービスへの投資を促進するという前例のない共同の取り組みを決意した。
QPSキャンペーンは、質の高い教育、医療、公共交通機関、水、衛生など、公共サービスの擁護に明確な利益を見出す重要な戦略的都市の地域社会との連携を構築することを目的としている。従って、キャンペーンは世論形成に影響をもたらす。労組は、同様の目的を持った地元や地域の団体を、この取り組みに迎え入れて欲しい。地元メディアとの協働は、地元当局、政治団体、名士との連携と同様、戦略の重要な部分といえる。
ITFはキャンペーンを成功させる決意をしており、そのための資源を投入することについても言明している。デビッド・コックロフトITF書記長は、「これは、公共サービスで働く労働者だけの問題ではない。世界中の人々が手頃な価格で公共サービスを利用できるようにするため、その環境を改善することが重要である」と述べた。 |
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質の高い公共サービス行動計画
1.世界を地域と結びつける
2.協力関係の構築
3.マスコミ戦略の構築
4.研究委託と情報の共有
5.予算の削減、自由貿易協定など、一部の国における公共サービスに対する差し迫った脅威に対応する |
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行動計画の全容は、憲章はで閲覧できます。 |
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キャンペーン実施の経緯と、その重要性
キャンペーンは当初、国連ミレニアム開発目標(MDGs)が端緒となった。しかし、経済危機が状況を一変させた。政府は銀行救済に公的資金を投入し、公共サービスを切り詰めている。不平等と闘うつもりなら、これに対する闘いを避けては通れない。
これは、世界の労組運動に対する警鐘である。公共サービスの切り詰めによって影響を受ける多くの重要な問題があり、今すぐに行動することが求められている。今反撃しなければ、数10年かけた社会の発展が水泡に帰してしまう。世界の不平等は拡大し、あらゆる指標が悪い方向に向かっている。 |
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キャンペーンにおける労組の役割
これは全産業部門に共通する問題である、との認識から、私達は10の国際産別組織(GUF)を集めた。
このキャンペーンは、都市や地域レベルの自治体に接触して自らを対話の相手として紹介することにより、自治体や幅広い市民社会と協力関係を構築する機会となる。
国際レベルで指針を設定して、労組が参加できる具体的な方法を示し、最良のやり方を共有する方法を構築することが望ましい。労組が地域の自治体と対話を進めるときは、労組が活用できる確かな調査内容を提供することができる。
お互いに協力できる方法を見い出さなければならない。このキャンペーンが、労組間の結束を固める触媒となることを期待する。大きな隔たりがあることは知っているが、このキャンペーンがその隔たりを埋める役割を果たすだろう。 |
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キャンペーンの重要メッセージ
『質の高いサービスを提供する余裕はない』と口で言うこと以外にも、代案があることを示さなければならない。我々は、組合員のための質の高い仕事だけを懸念しているのではない。賃金が削減されれば、雇用はどうなるのか。どうやって、良い労働者を募集したり、採用したりすることができるのか。競争力という点から、全く意味をなさない。 |
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キャンペーンがもたらすメリット
良好な協力関係を通じて事例を共有する方法を見いだせれば、市民対話を充実させることができる。
我々全員が、質の高い公共サービスの受益者である。例えば、気候変動についての高い意識があれば、持続可能な交通運輸は解決策の一部となる。労働者が失業すれば、困難な状況に陥る。だからこそ、今が公共の利益に対する認識を高める時だ。物事を変えるのに、決して遅すぎることはない。 |
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インドの鉄道:最優先は人
インドの国営鉄道の1日当たりの旅客輸送人員は1,300万人、貨物輸送量は125万トンで、労働者数は154万人以上である。
インドの鉄道について全インド鉄道員連盟(AIRF)のカンジェバラン・A・ラジジェスリダーは、「多額の助成金を受けている。政府がサービス向上を重視している表れだ」と述べ、公共地下鉄サービスも計画されており、都市交通の大半も公営であることを明らかにし、「これらの公共サービスは人を最優先としているため、軒並み赤字経営だ」と語った。
それでも、例えばインド南部では民営化を求める圧力が強いが、労働運動によってその試みを阻止し、インドの交通運輸サービスの70パーセントが依然として国営である。 |
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ニューヨーク市営地下鉄・バスサービス:労働者を擁護する
全米運輸労働者組合(TWU)のロジャー・トゥーサンは、いかに組合がニューヨーク市営バス・地下鉄サービスの労働者に対する攻撃を食い止めてきたかについて語った。
経営者は、新入社員および退職者の年金と医療保険の削減を主張することによって、組合の分断化を図った。これに対して、地元の組合員100人がストを決行した。
「スト入りして3日も経たないうちに、経営者は2層年金制に対する要求を撤回しただけでなく、我々は史上初めて、1億3,700万ドルの年金の払い戻しを受けられることになった。また、メディケア(老齢者医療保障制度)受給資格対象となる65歳か67歳になる前に、生涯医療保険も受けられることになった。
また組合は、マスコミからの攻撃やニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグからの中傷、労働協約交渉での長引く議論、裁判所の組合対する罰金支払い命令等を乗り越え、世論の支持や他の労組、地域団体からのサポートを促進することができた。
「便宜的なものでなく、組合のイデオロギーや組合活動の政策・計画に有機的に結びつく形で、労組と市民社会が共通の大義を構築することに目を向けることの重要性は、いくら強調してもしすぎることはない」 |
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