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2011年1〜3月 第41号 |
■キャンペーンアップデート |
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公正なフェリー
公正で安全なフェリーの労働条件を確保するための新たなキャンペーンが実を結び始めている。
ノリー・マクビカー記
欧州で混雑する航路を航海するフェリーの船員は、コスト削減を目指す船主によって搾取されている。このような船員は、僅か時給2ユーロで働き、訓練を受けなければできない、あるいは資格がなければできないような作業でもするものと思われている。このような低賃金の船員は、ほとんど権利を持たず、必ずしも苦情を言ったり、拒否したりできる立場にないことから、安全上の影響は計り知れない。
10年前、欧州連合は、この問題について取り組む機会があった。出身国に関係なく、欧州域内のフェリー乗組員は、同等の労働の権利と条件が保障されるべきであると提案したのだ。
この提案が実現していれば、欧州域内の船員は同等の立場に置かれるはずだったが、残念ながら船主の激しいロビー活動によって阻止された。
その結末は、勤続年数の長い乗組員が相次いで削減され、10年に及ぶ失業となった。たとえ代替要員が確保されたとしても、欧州域外の人件費の安い労働者が雇われた。その大半は、ラッシング、貨物の積み付け、車両やコンテナへの積み付けを行うよう求められた。中でもラッシングは非常に危険な仕事で、きちんと訓練を受けていない労働者が行えば命にかかわる怪我を負うことがある。
だからこそ、ITFと加盟組合は、公正なフェリーのキャンペーンを継続している。キャンペーンは、まだ初期段階だが、海運業界が関心を向け始めた良い兆候が表れている。経験上、地域全体の労組が結集すれば、船主は聴く耳を持つことはわかっている。
例えば、2009年6月、P&Oフェリーが欧州に定住していない船員に30人の港湾労働者が行う貨物のラッシングをさせようとしたとき、ITF加盟組合は、この動きを阻止するために結集した。港湾労組および船員労組がこの問題について共同戦線を張ると、会社側は譲歩を余儀なくされた。
従って、我々は、ITF加盟組合が声を一つにして、一つの問題に取り組めば、状況は劇的に変わり得ることを知っている。
我々は、海運業界の全ての指導者に対して、ITFとともに取り組み、責任を持って問題の解決に当たるよう求めている。そして欧州のITF海員労組には、キャンペーンを引き続き支援するよう要請する。国際的な取り組みこそが、海運業界における賃金や労働条件を切り下げる底辺への競争を防ぐ、唯一の方法である。 |
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あらゆる労働者のために、公正かつ安全なフェリーを
ベルギー、フランス、オランダ、英国、アイルランドの各国の組合員が今年9月、旅客・貨物フェリーのための行動週間に参加した。この期間、参加した港湾労働者は、船員が貨物の積み付けや固定作業を行うことは危険を伴うことを、乗組員や旅客、船主に話すことができた。
行動週間は、オランダの港、フック・オブ・ホーランドにあるステナ・フェリー事務所の前で実施された集会・デモを皮切りに始まった。英国とアイルランドの代表が、ステナ・ブリタニカの船内で乗組員や乗客と会い、キャンペーンについて話した。また、ユナイトの港湾労働者部会の委員が、ステナ・フェリーのキリングホルム港ターミナルで、貨物輸送のトラックドライバーにロビー活動を行った。
欧州の港湾や海上で船員がラッシングを行っているところをベルギーのACVトランスコム労組とベルギー運輸労組BTBが確認したスペイン船籍のL'Audace号が、ゼーブルッヘ港に着岸した。船員は、着岸前にラッシングをはずし終わっていた。組合は港湾当局と会合を持ち、行動を起こした。3日後、L'Audace号が英国のサウスハンプトン港に入港したとき、ユナイトの組合員が抗議行動で援護した。会社側は、2度と同じようなことが起きないようにするため、組合と話し合うことに同意した。 |
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