
|
 |
2011年1〜3月 第41号 |
■仕事のための正しいツール |
 |
|
仕事のための正しいツール
ITF交通運輸・ツールキットについての報告
アラナ・デーブITF教育コーディネーター
2006年当時、世界銀行の理事会の承認待ちだった「プロジェクトP103080」は、カラチ港湾労働委員会(KDLB)閉鎖のための資金を提供することを提言していた。それが実施されれば、3,794人のカラチ港湾労働者とその家族の生活が脅かされることになった。
ITF港湾労働者部会およびアジア太平洋地域事務所の支援を受けカラチ港湾労組(KHDWU)は、世界銀行のパキスタン臨時代理局長に書簡を送り、団体協約に反し、使用者とも銀行とも何ら協議が行われていないことを指摘した。
ITFは、組合がプロジェクト計画の内容を検討する手助けをし、銀行の政策提言が実行されていない具体的な点を明らかにした。
これがきっかけとなり、ITFは世界銀行に書簡を送り、同銀行の方針によると、港湾改革の全段階に労働者を関与させること、並びにここ数年、世界銀行の現実的かつ責任ある港湾改革の取り組みは、その実行の結果として生じる可能性のある人的・社会的影響を認識し、対応する必要があると認めていることを指摘した。
今回のカラチの話は、世界中の組合がよく知るところとなった。これを踏まえ、ITFは、金融機関が関与する業界再編の課題に加盟組織が取り組むことができるよう、英国に本社を置くコンサルタント会社のパブリック・ワールドやドイツのフリードリヒ・エーベルト財団(FES)と連携して、資料やオンラインによるツールキットを製作している。
これらは、業界や企業の再編に対応する際、特に世界銀行のような金融機関が関与する場合に、ITF加盟組織をサポートする充実した資料となる。
利用する場合は、自分のニーズや状況に最も適したツールキットを選択することができる。例えば、世界銀行の動向に興味があれば、「institutions(機関)」セクションに進み、リンクを辿っていけばいい。
政府が交通運輸政策を改革したり、企業が再編したりするときは、雇用が失われることが多い。さらに、例えば外注や臨時社員への切り替えなどにより、多くの雇用が「不安定な」状況に置かれる。これらは、「労働の生産性向上」という名目で行われることが多いが、世界銀行、政府、使用者による生産性の定義や測定のやり方は、しばしば、ディーセントな雇用や労働環境の質を損う。ツールキットの資料は、こういった問題の様々な側面を検証している。
交通運輸再編の悪影響から労働者を守ることにおいて、組合は様々な成功を収めている。経験から得た教訓を1つ挙げるとすれば、それは、全く異なった課題への対応について、これまでに成功した対処法に依存するのではなく、組合自らが直面する課題の本質を現実的に評価し、適切な戦略・戦術を構築する必要がある、ということである。
ツールキットには、各国、各業界の組合から具体的なケース・スタディーが集められているので、組合の再編対応能力を強化するための知見を共有し、教訓を学ぶことができる。
ツールキットは英語だが、一部の資料はフランス語、スペイン語でも入手できる。 |
|
 |
ツールキットには、からアクセスできます。 |
 |
|
|
 |
|