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2011年1〜3月 第41号 |
■気候変動 |
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気候変動と闘う
組織化の機会となるか?
労組は、気候変動によって引き起こされた交通運輸の変化を生かすことができるか?
アズビョーン・ウオール記
ITFの気候変動会議は、画期的な行事だった。約140ヵ国から400人の参加者が出席したことは、気候変動の現実が、ITF加盟組合によって十分理解されていることを立証した。会議では、科学的な地球温暖化ガス(GHG)排出量の削減が広く受け入れられるとともに、勇気ある野心的な気候変動政策に絶大な支援が表明された。
多くの参加者は、GHGを排出して恩恵を受けた者が、その削減のための負担の大半を負うべきである、と強調した。これが、国際労組運動の「正当な移行」メッセージの重要な部分である。発展途上国は、自国の経済・社会を発展させる可能性を確保しておく必要がある。
気候変動は重大な課題であるというだけでなく、大きな機会でもある。技術一辺倒の問題ではなく、社会的、政治的な葛藤でもある。経済成長モデルと天然資源の濫用は、現在の経済システムに組み込まれている。
気候変動に対する取り組みは、大局的な政治的視点で捕えなければならない。交通運輸部門での必要な移行を実現するためには、経済の民主的コントロールを強化し、社会の富の再分配を徹底すべきである。それを実現するためには、経済全体でのアプローチを取り、市場・資本から労働者や民主的意思決定へと、力の均衡をシフトさせなければならない。
われわれは、将来、多大な課題に直面する。雇用は、気候変動および気候変動政策の結果に影響される。この取り組みにおいて労働運動が主導権を握らなければ、他者が先んじる。その他者とは、全く異なる政策を持つ多国籍企業や政府である。
この変革において、組合員や労働者全体の懸念や利益を中心に据えることを確保する唯一の方法は、積極果敢な気候変動政策を取ることである。現在、そして未来の組合員や労働者全体の利益を守る者は、他にはいない。従って、労働運動を担う我々が、気候変動を予防するために必要な戦略・方針を立て、雇用と賃金を守り、正当な移行プロセスを通じて雇用を創出するための政策を立案しなければならない。
技術的・社会的な変革によって雇用の数や質が自動的に上昇することはないが、組合の力を持ってすれば、それは可能だ。新たな質の高い、適正な賃金の雇用の創出は、我々の闘争の所産である。
特に環境保護運動とともに、我々はグローバルで大規模な運動と広範な社会的連携を構築しなければならない。労組が直ちに行動を起こさなければならない様々な問題がある。教育、啓発活動、新たな組織化・団体交渉戦略、特に労働時間短縮に関する戦略、社会的投資および大掛かりで拘束力ある国際協定実現のために政府にかける政治的圧力などである。また、新しい組合員を引き付け、組織率を拡大するための闘いも継続しなければならない。
気候変動会議は、気候変動への取り組みにおいて、ITFと加盟組合が新たに担う野心的な役割を明示したものとなった。しかし、我々は、これまで通り、それぞれの交通運輸、地域において、具体的な戦略、政策、行動を見出す必要がある。これらは、適切な研究・調査、継続的な実験プロジェクトに基づくべきものであるが、必要な行動を先延ばしにしてはならない。
進歩的な気候変動政策は、経済に対する民主的コントロールの強化、再生可能なエネルギーおよび公共交通部門における数百万規模の雇用の創出、市場競争の緩和とそれに伴う労働者全体のストレス軽減および生活の改善など、多くの可能性を提供する。メッセージは、非常に明確だ。今、これらの可能性を捕え、労働者と持続可能な交通運輸のために、前向きな一歩を踏みださなければならない。
アズビョーン・ウオールは、ITF気候変動作業部会議長 |
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ITF加盟組合の見解
ケマル・アルカー、トルコ航空労組(HAVA)
気候変動は、短期的な利益中心の資本主義体制という既存の経済的枠組みの結果である。
労働組合として、人的・環境的な破壊によって我々を脅かす資本主義の常軌を逸した悪循環を食い止めることができるか?答えは、はっきりしている。全ては、我々の手中にある。もちろん可能だ。我々は、気候変動に対する取り組みで大きな役割を果たさなければならない。
バイラ・ソウ、セネガル 航空・港湾労組(SUTAS)
アフリカでは、気候変動に取り組むのは通常、非政府組織(NGO)のみである。我々は得てして、自分達の問題を日々の生活という面でのみ捉えがちだ。アフリカの状況は、欧米とは若干、異なっている。
高度な交通システムはない。鉄道もかつてはあったが、今は廃れている。世界銀行の関心は、道路建設だけだ。大気汚染は、深刻な問題だ。
帰国したら必ず、気候変動問題を組合の議題に載せる。組合員を教育する必要がある。アフリカの問題を検討する次の会議の開催が計画されていることを喜ばしく思う。
気候変動会議に対する青年労働者の発言抜粋
「ITF青年労働者は、気候変動を我々の現実の問題として認識している。青年労組活動家として、よりグリーンで公正な将来を推進するため、積極的な取り組みをする。よりグリーンな水準まで生活・労働条件を引き上げ、気候変動に関する教育・啓発活動を実施するために、あらゆる機会を活用するよう、全ての組合に求めたい。よりグリーンな産業を通じて、新たな雇用が創出される。よりグリーンな労働者を通じて、持続可能な未来のチャンスがある。持続可能性を通じて、よりグリーンで、より公正な未来のチャンスがある」。
ミカエラ・ソル・ルイズ、アルゼンチン海事組合(SOMU)
「気候変動会議は、非常に有益だった。SOMUは、環境問題に非常に熱心な組合だ。環境基金、訓練船、ラジオ番組を活用して、環境の中でも特に漁業に関する環境問題の教育・啓発活動を行っている。 |
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参加方法
みなさんの気候変動に関する取り組みや、お持ちのデータベースについてお知らせください。ITFの気候変動活動に参加を希望する人は、ITFの作業部会に参加し、体験談を話したり、他の加盟組合の活動について情報を得ることができます。まで、メールをお送り下さい。
より詳しい情報は、ITFのウェブサイト()から、ITFの使用言語7ヵ国語に翻訳されたITF気候変動討議文書や、他の教育資料がダウンロードできます。 |
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