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2011年1〜3月 第41号 |
■物流業界の労働者 |
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物流業界の労働者
ITFおよびユニオン・ネットワーク・インターナショナル(UNI)と加盟組織が、グローバル物流大手企業における労働者への支援と労組の連携を構築。
バーレンのDHLの労働者が昨年7月に使用者と合意に達したとき、その恩恵は国境を越えて拡大した。
DHLの使用者側が賃金・労働条件の引き上げに同意した後、同労組はスト中止令を出した。同意項目の中には、シフト手当、交通費、労働者とその家族のための健康保険が盛り込まれた。
インドのDHL労働者は、エクスプレス・ロジスティクス・サービスの組合結成は禁じられている、と告げられたとき、労組承認の例としてバーレンを指摘することができた。これは、ITFのDHLネットワークにおける成功事例のほんの一例である。このネットワークは、今や500人超のメンバーを擁するまでになっている。このネットワークは、2005年に立ち上げられて以来、著しい成長を遂げた。2010年10月には、「働く環境を整え、安全を!」のテーマで実施された前回の行動週間に、カナダからエチオピアまで、様々な国々の労組が参加し、シンプルだが独創的な活動を展開した。
グローバル・デリバリー・ネットワークは、必要なとき、迅速に対応することができる。しかし、その真価は、労働者の権利を擁護する戦略的組織化にある。
最近の労働者の権利に対する侵害記録を見ると、会社は、効果的な労組がないところで労働条件を引き下げ続けている。ITFの姉妹組織であるUNIが公表した書類には、DHLの労働者に対する威嚇やいじめの証拠が、多くの国で記録されている。インゴ・マロスキー・ITFグローバル組織化コーディネーターは、「少なくとも以前よりは、労組が反撃できる有利な立場にいる。組合権の侵害についての記録は、時に残酷なDHLの不快な側面を露わにしている。昔なら、このような違反行為が明るみになるとしても、相当の時間がかかっただろう。自国のITF加盟組織とは、それなりに良好な関係を維持しているのに、世界の他の地域では労働者や組合を搾取している会社を相手に闘う必要があるとき、活動的なネットワークによって我々は素早く世界を駆け巡るようになった」と語った。
UNIとの連携も、多国籍企業で行動を起こすために、より多くの組合や組合員を結束する上で、戦略的優位をもたらしている。
ニール・アンダーソンUNI郵便・ロジスティクス部会担当局長は、現在実施されている活動や、それがもたらす成果に前向きである。「行動週間を展開した。また問題を株主に提起し、組合を結成し、その協力を取り付けた。労働者の尊重キャンペーンにも力を入れた。会社と対話を始める用意はできている。グローバル協約締結に向け、不退転の決意で臨む」と述べた。 |
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特別レポート
ITF加盟組織、UPS労働者への支援行動を実施
トルコのUPS労働者が暴力と脅しに直面したとき、ITF加盟組織は世界行動日に、その力量を発揮した。メキシコで開催された第42回ITF世界大会(2010年8月)では、UPSで組織化を試みようとしたとして攻撃されたITF加盟組合のトルコ路面交通労組(TUMTIS)を支援するため、緊急行動が要請された。「UPSは嫌がらせを止め、正義を果たせ」のスローガンの下、労働者を支援するための世界行動日が9月1日に実施された。
ケナン・オズタークTUMTIS委員長は、「調整された世界行動日のみが、UPSのような多国籍企業に対して、効果的に対抗することができる。なぜなら、会社は一国で損失がでても、他国で上げた利益で埋め合わせることができるからだ。多国籍企業の業務に対する影響は、国際協力なくしては与えることができない」と語った。
浦田誠ITF内陸運輸部長は、次のように述べた。「この行動は大成功だった。急な要請にも拘わらず、加盟組織は連帯要請に迅速に対応した。ITF世界大会は、紛争に対する代議員の意識を高めた。大会での議論から実践的な行動が生まれた意義は大きい」 |
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組合が実施した活動
アルゼンチン:トラック労組(TFC)の組合員が、ブエノスアイレスのUPS配送センターの前で公開集会を開いた。組合旗を振ったり、パンフレットを配布して、数時間、配送センターへのアクセスを妨害した。
オーストラリア:オーストラリア海事労組(MUA)主導の下、交通運輸労組がシドニー空港近辺にあるUPS施設で抗議行動を実施した。UPS労働者の300台の車にビラを配った。全豪運輸労働者組合( TWUA)のUPSの組合員に、TNTやTollsなどグローバル宅配大手の組合員が合流した。
ベルギー:ディーヘムとブリュッセルにあるUPSの門前で、労組活動家がビラ配りを実施し、交通を妨げた。通行中の労働者が嘆願書に署名し、UPSの労働者は小型トラックのフロントガラスにトルコの旗を貼って連帯を示した。
香港:交通運輸労組活動家が、UPS事業所の前で会社代表者の1人に嘆願書を渡した。一方、エストニアの活動家は、タリンのトルコ大使館を訪問し、抗議文を配布するなどの共同行動を実施した。
ヨルダン:ITF代表とヨルダン航空輸送観光労組がアンマンのUPS事業所を訪れ、ヨルダンのUPS認定代理店のモハマド・アレマンに抗議文を手渡した。
韓国:韓国の加盟組合協議会であるKTFは、各業界のITF加盟組織(港湾、船員、タクシー、自動車、郵便、航空、鉄道、高速道路)から総勢40名の代表団を組織し、UPSのソウル事業所に集結した。韓国の現地マネージャーは、米国の本部にKTFのメッセージを伝えることを約束した。代表団は、トルコの労働者だけでなく、韓国のUPS労働者も支援すると強調した。
オランダ:ITF加盟のFNV Bondgenotenは、トルコの労働者を支援するため、総力を結集してキャンペーンを展開した。アムステルダムにあるUPS倉庫の入口に、40トンの砂を放置してUPSの作業を著しく遅延させた。この様子は、メディアでも大きく報道された。
米国:全米運輸労働者組合(TWUA)が、ニューヨーク市にあるUPS店舗の前で抗議活動を実施した。同様の行動がシカゴ、デトロイトでも行われた。 |
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「グローバル・ネットワークは、労働者に勝利をもたらす」インゴ・マロスキー・ITFグローバル組織化コーディネーター
「ITFは、今後も活動方法を変えていく。活動を改善する方法は必ずある。多国籍企業における新たな戦略的アプローチと活発なグローバル・ネットワークの動員によって、ITFは確固たる地位を築くことができる。
グローバル宅配企業の分野における活動では、ネットワークによって連帯活動と先を見越した組織化活動が起動し、拍車がかかった。ITFのネットワークは、現場で、組合事務所で、また、我々が『ハブ』と呼ぶ会社の主要な事業拠点で、活動家によって活用されている。データベースによって、中核的な研究や主要なマッピング・データ、職場での活動の保存がサポートされ、主要な連絡担当者によって構築、駆使されている。
このように、1つのグローバル企業内の活動家が世界中の仲間と人脈を保ち、連携することによって著しい進歩を遂げ、労働者のパワーを強化することができる。これまでの進展は満足のいくものであり、ネットワークの一員になる組合は絶えず存在する。グローバルな宅配企業で働く労働者を代表している組合は、ITFに是非、連絡してほしい」
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