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2011年1〜3月 第41号 |
■港湾労働者の組織化 |
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港湾労働者の組織化
ITFと加盟組合によるキャンペーンによって、グローバル・ネットワーク・ターミナルで働く10万人以上の港湾労働者に恩恵をもたらすことができる。
ディー・スリヴァン記
港湾労働者は、危険かつ急速に変化する産業で働いている。グローバライゼーションは、使用者が絶えずコストを削減し、直接雇用の労働者を請負労働者に置き換え、労働基準を引き下げることによって利益を守り、増やそうとすることを意味する。
ITFの港湾労働者部会は、港湾労働者がいかなる場所で働いていようとも、公正かつ安全な労働条件を整備することによって、あらゆる港湾労働者の職場で受け入れ可能な労働基準が適用されるよう、取り組んでいる。
だからこそITFと加盟組合は、船内の労働条件を監視・改善するために、2006年にグローバルな便宜港湾(POC)キャンペーンを開始したのだ。
多数の国でコンテナターミナルを運営するグローバル企業が有する規模と影響力は、雇用に大きな影響をもたらすことを物語っている。メガターミナルオペレーターであるA.P. モラー・マースク(APM)、ドバイ・ポーツ・ワールド(DPW)、PSAインターナショナル、ハチソン・ポート・ ホールディングス(HPH)の4社のみで、世界のコンテナ産業の半数を支配している。
ITFと加盟組合は、GNTにおける組織化の強化と、GNTの行動に影響を及ぼすことにもっと焦点を合わせなければ、POCキャンペーンの成功はおぼつかないと考え、ターミナルにおける組合権と組合の承認、各地域における団体交渉・協約、安全衛生基準の改善、グローバルな枠組み協定を達成するためのGNTキャンペーンを策定した。
2011‐2014年の主要目標は、GNTとグローバルな枠組み協定について交渉し、実行することである。DPWやAPMのみと締結するだけでも、約10万人の港湾労働者が恩恵を受けることになる。 |
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港湾労働者の権利:2つの港湾についての報告
海運業界において、企業の社会的責任は重要性を増し、GNPビッグ・フォーも書類上では完璧な政策を謳っている可能性はあるが、国連グローバル・コンパクトに署名しているのはAPMのみである。しかも、GNPの行動は、美辞麗句の言葉とは裏腹に、同じ会社によって運営されながら、各ターミナルで大きくばらつきのある基準が適用されている。英国のサザンプトンのターミナルと、例えばイエメンのターミナルとを比較してみよう。
サザンプトンの港湾労働者は全員、ユナイトの組合員である。執行委員会のスティーブ・ビッグス議長は、「英国のどこにも引けを取らない賃金と労働条件を達成した」と述べた。施設協定によって組合に事務所とパソコンが支給され、ユナイトの全国産別部会委員会に出席するなどの組合活動のために休暇が取れる。欧州活動協議会の英国代表を務めるビッグスは、欧州のDPWの港湾労働者とも定期的に会合を持つ。
一方、イエメンのアデン・コンテナ・ターミナル(ACT)では、状況は全く異なる。合意した賃上げの約束を守らなかった使用者に抗議するため、労働者が2010年4月に赤いリボンを付けたとき、使用者は警察を呼んで、非労組契約に署名しない労働者の港湾への立ち入りを禁じた。組合員は全員、署名を拒否した。
港湾労働者は翌月、ACT労組の要求を支持するストを開始した。要求には、労働者と家族のための医療保険、ロックアウト中の損失賃金の支払い、機械設備による事故費用を労働者に負担させることの中止が含まれた。
ITF加盟組合からの抗議によって、DPWはイエメンの運輸通信一般労組(GWUTT)傘下の労組と交渉を始め、要求の大半を受け入れることになった。ある港湾労働者は、ITFへの手紙で次のように述べた。「ITFの具体的かつ合法的な連帯によって、DPWから平和裏に我々の要求に対する反応を勝ち取ることができた」
国際的な連帯が奏功し、労使紛争は労働者に成功をもたらしたが、結果は全く違ったものとなっていた可能性がある。
「港湾労働者が会社で不当な扱いを受けているとき、組合員がお互いに連携したり手を貸したりせずに支援もしなければ、それはだれの身にも起こり得ることになる」(ITFパディ・クラムリン会長兼港湾労働者部会議長) |
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アカバにおける組合権とディーセントワークのための闘い
ヨルダンのAPMターミナルで働く850人の港湾労働者の組合権と適正な労働条件を確保するために闘っている結成後間もない労組のほとんどは、当初からITFの支援を受けてきた。
APMターミナルが組合の関与に反対したため、2005年のヨルダン労働組合総連盟(GFJTU)による組合委員会設置の試みは頓挫した。新たに設置されたヨルダン港湾労組(GUPWJ)のACT組合委員会が、6ヵ月間に320人を秘密裏に組合加入させ、委員会の選挙を実施して地元のAPMターミナルの経営者に承認させた。
GUPWJのACT組合委員会コーディネーター、モハメッド・アル・サビエンは、「特に、自国の労働法が労働者にとって芳しくないものである場合、民営化や使用者の強欲に立ち向かう唯一の方法は、組合を結成することである」と述べた。
APMターミナルが2006年9月に政府からアカバ港を引き継いだとき、GUPWJのACT組合委員会は提示された2年契約に反対し、恒久的な契約を獲得することに成功した。
ITFアラブ地域事務所は支援を提供し、2007年に最初の作業部会を実施した。また、GFJTU、GUPWJのACT組合委員会、APMターミナルの3者間の第1回団体協約を巡る8ヵ月間の交渉が不調に終わり、ストを決行する場合は、ITFも連帯行動を取ることを申し出ていた。
しかし、交渉は妥結し、住宅手当と賃上げが盛り込まれAPMターミナルが労働者の貯蓄基金と福利基金を設置・運営することになった。
GUPWJのACT組合委員会は団体協約に向けた次の交渉を開始し、その自信と経験が示した通り、僅か3ヵ月で妥結した。 |
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あなたが、できること
これから2014年までの間にGNTキャンペーンを成功させるためには、加盟組合の支援が必要だ。
今日から、できること:
ITFのウェブサイト()のパスワードで保護された「マイITF」セクションから港湾労働者の港湾情報データベースを定期的に更新することによって、ターミナル・オペレーターに関する情報を他の加盟組合と共有することができます。
みなさんの港湾に関する問題を話して下さい。もし、あなたの組合がGNTオペレーターとの間で問題や紛争を抱えていたら、できるだけ早く知らせて下さい。あなたを支援し、連帯活動を調整し、GNTオペレーターとの話し合いに及ぼす影響を最大限にすることができます。ITFのウェブサイトの「マイITF」セクションから、素早く簡単に行うことができます。
新しいGNTキャンペーン・ニュース掲示板も利用できます(4カ国に翻訳)。「組合ニュース」セクションにみなさんの最新ニュースを書き込み、組合の同僚や港湾の組合員と共有して下さい。
組合代表が職場ニュースや情報を書き込み、掲示板に貼ることができるよう、GNPキャンペーンポスターを配布して下さい。
掲示板、ポスター、他のキャンペーン資料についてのご意見や、GNTキャンペーンをもっと効果的にする方法についてのアイデアがありましたら、メールでお知らせ下さい()。 |
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