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2011年1〜3月 第41号 |
■新会長の紹介 |
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ITF新会長の紹介
パディ・クラムリンは、労組活動家と労働者に明確なメッセージを持っている。「労組の活動は、生活の質に影響をもたらす最も重要な活動である」
あらゆる地域の労組活動家は、困難な時期に直面している。労働運動は、20年以上に及ぶ新自由主義政策と規制緩和の圧力を受けている。組合活動は、これらの状況下にあって、根本的に変化した。
オーストラリアでは1990年代、保守政権下でスト権を制限したり、団体交渉を阻む抑圧的な反労組政策が取られたため、同国の労働運動は劇的な変化を直接経験した。このような事態に直面し、オーストラリアの労組が右派勢力と闘うために結集し、その過程で活性化できたことはプラスだった、とパディ・クラムリン会長は述べた。オーストラリア海事労組(MUA)の全国書記長として、クラムリン会長は主要な役割を担った。
この闘いがITF会長に立候補する動機づけとなり、今年8月に開催されたITF第42回世界大会でクラムリン氏は会長に選出された。オーストラリア労組の指導者は、国際労組運動の一翼として手を差し伸べ、活動することの必要性を認識している、とクラムリン会長は述べ、先頃ITUC新書記長に選出されたシャロン・バロウについて言及した。
労組に対して逆風となる新自由主義的勢力に対抗するために、ITFと加盟組合は何を為すべきか?この問いに、クラムリン会長は次のように答えた。
「不可避的な攻撃から労組の現在の立場を守るためには、組織化およびキャンペーン遂行能力を具備した強い交通運輸労組を構築する必要がある。未組織の不安定労働者を含む組織化に取り組むためには、到達範囲を拡大するための我々の能力を強化しなければならない。そして、伝統的な職域からはみでたロジスティクスのような新しい職業に向けた、効果的なキャンペーン戦略を構築する必要がある」。
「新たな機会を発掘する必要があるが、戦略的なキャンペーンの遂行能力なくしては、それを実現できるはずもない。使用者は職場を非労組化するために、十分な資金を投入してキャンペーンを実施している。従って、それに対抗できるキャンペーン能力を構築しなければならない」。
クラムリン会長は、向こう4年間に組合が直面する課題について、確固とした考えを持っている。女性の組織化は、主要な優先事項だ。
「ジェンダー・バランスを欠いたままでは、労組を活性化することはできない。交通運輸は、一般的に男性中心の業界で、女性が大半を占める部門もあるが、賃金が均等であることはめったにない。しかし、人口の半分を占める人々を効果的に組織化できずに労組運動の改革や活性化を云々しても、誰も真剣には取り合ってくれないだろう」と、クラムリン会長は述べた。
また、「労組は若者にも手を差し伸べるべきだ。大きな政治的・技術的変化のうねりの中にあって、労組は若者を含め、未組織労働者に働きかけるために新しいツールを活用する必要がある。若者は共通の価値より、個人を大事にする」と指摘し、価値観の変化によって難しい面もあると述べた。しかし、クラムリン会長は労組がもたらす恩恵を力説しながら、青年労働者の参加を奨励した。
「組合の一員になることは、組合と一体化することである。その組織や過程の一部となることで、自尊心が涵養される。共同の利益を促進し、向上させることは、現在そして将来の自分の生活の質にもはっきりとした影響をもたらす。組合なくして、失業や職場の問題に対応することは非常に困難だ」
うまく意思の疎通を図るためには、組合の実態がどうなのか、何を提供するものなのか、すなわち、ディーセントワークの機会を生み出すための環境、広範な社会的・政治的価値について明確に理解しておく必要がある。 |
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最後に、クラムリン会長からのITF加盟組合へのメッセージを伝える。
「ITFの発展で重要な役割を果たしたオーストラリアの労組活動家、タス・ブルが、かつて私にこう言ったことがある。『労組活動は、並大抵の決意ではできない。あまり、感謝されることもない。金持ちや栄光に続く道でもない。職場の内外で、大きな圧力をかけられる。しかし、労組活動人生の重要性は、個々の労働者が、自分達や他の労働者の生活に真の変化や改善をもたらす影響を与えうることにある。それこそが、我々の人生の質と重要性を推し量る方法だ』私も、全く同感だ」。 |
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パディ・クラムリン
役職名:オーストラリア海事労組(MUA)全国書記長
新たな役割:ITF会長、ITF港湾労働者部会議長
「ITFの現在の基盤は、多くのメリットを我々にもたらしている。我々は尊重され、労働者の権利を擁護していると評価されている。政治的プロセスにも、長く参加してきた。
組織は整っている。だからこそ、我々の到達範囲を拡大するために、他のグローバルユニオンや国際労働組合総連合(ITUC)と、より効果的に連携する必要がある。我々の連帯活動は、折り紙つきである。ITFは、最も優れた国際連帯組織である。あらゆる地域・部門で、手を差し伸べ、資源を共有しようという精神にあふれている」 |
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要約
オーストラリア海事労組(MUA)の全国書記長であるパディ・クラムリンは、今後もITF港湾労働者部会議長として活動する。議長として、港湾および組織港湾労働者と関連従業員に関する世界中のPOCキャンペーンのデータベース開発に尽力している。
国際交渉フォーラムの副議長として、便宜置籍船で働く10万人以上の国際航路の船員の労働条件と安全を守るIBF協約の主要な交渉者となっている。
オーストラリアでクラムリン会長は、オーストラリア交通運輸労組連合(ATUF)の推進役と目されている。また、東チモールやパプアニューギニアにおける労組の発展に中心的な役割を担ったことで、幅広く尊敬されている。 |
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