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No.28/2014 |
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2014年版シーファーラーズ・ブルテンへようこそ。世界中の船員の命に関わる海上労働条約(MLC)が発効してから丸一年が経過したことを受け、本号では、MLCに対するこれまでの評価を考察してみた。MLCは、私たちが闘い、求めてきた効果的なツールなのだろうか?特別報告の中で、MLCがいかに機能しているか、船員にとってどのような意義があるか、船員の正義を確保するためにITFインスペクターがMLCをどのように活用しているかを考える。
近年、船員が直面している最大の問題の一つは、ソマリア沖の海賊の脅威に日常的に晒されていることだった。この問題について、ようやく良いニュースを報告できる。船員への脅威の問題は、世の中に広く知れ渡り、ITFの運動が功を奏したこともあり、海賊の襲撃数が減ってきている。しかし、これで満足している場合ではない。他の海域の事例も含めて、最新の動向をまとめてみた。
海上での労働・生活は報われるべきであり、可能な限り安全であるべきだ。しかし、多くの船員にとって、そのどちらでもないことを私たちは知っている。低賃金、負傷、死亡などの問題を我々は決して受け入れることはできない。我々全てがこれらの権利侵害と闘う義務があり、そうするためには、労働組合の力による他に強力な方法はない。組合は変化への架け橋である。ITFとその加盟組合は、船員とその家族の福利のために、船主を見張り、政府に圧力をかけている。その力の成果が、海賊行為の減少やMLCの発効という具体的な形で表れている。本号の「ITFの支援活動−最前線からの報告−」も読んでほしい。それでも納得できないなら、「労働組合:なぜ加入が必要なのか?」を参考にしてほしい。
我々の力は、船員と港湾労働者の協力という礎の上に築かれている。船員と港湾労働者は、良い時も悪い時も、常にお互いを気にかけてきたし、これからもそうあるであろう。なぜ荷役が港湾労働者の仕事なのかの説明記事を含む港湾関連の記事も読んでほしい。
多くの産業にとって、2014年は重要な年である。我々はオフショアのオイル・ガス産業において、労働者の代表権と組合の力の確立を目指して活動している。また、ILO第188号条約(漁業労働条約)の批准も訴え続けている。漁業部門は、危険な船舶から違法漁業、人身売買まで、海上のあらゆるところで見られる驚くほど劣悪な労働条件がいくつも存在する部門である。我々はこれらの悪弊と闘うために、漁船員と共にたゆみない努力を続けている。漁業部門やオフショア部門に関する活動で紹介している。
これらは、ITFのFOCキャンペーンに関する最新の数字と並んで、本号に掲載されている記事の一部に過ぎない。そして、何か問題が発生した時のために、案内書がついていることを忘れないでほしい。ここには、雇用契約を結ぶときや詐欺行為にひっかからないためのアドバイスや、援助を必要とするときにどこに相談したらよいかの情報が掲載されている。
船員の権利のために闘うITFの力は、交通運輸労働者とその組合の集団的な力から成り立っている。これらの組合はあなたを必要としている。また、あなたもこれらの組合を必要としていることを我々は確信している。船員が十分な報酬と安全を確保されるべき職業であることは言うまでもない。
ITF書記長代行
スティーブ・コットン |
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