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グローバルユニオン
No.28/2014
■HIV-エイズ
 
共に学ぶ

ノルウェー船員組合のレナ・ディリングは、海事産業がHIV/エイズに対して無知であり、また懸念が広がっているという課題に対応するため、従業員セミナーがいかに役立っているかを説明した。

HIV/エイズについて精通していることは、海上で働き続ける者にとってはもちろんのこと、万人にとっても不可欠だ。船の上では潜在的に危険な行きずりの性行動が起きやすいため、結果としてHIV罹患率が高くなり得る。

今日でもHIVウィルスがどのように伝染するのか、またその影響にどのように対処できるのかについて、十分に理解していない人は多い。その結果、うっかり危険な行動を取ってしまう傾向が高い一方で、誤った不安や先入観を持ちかねない。
労働組合はこうした事実に留意し、HIV/エイズに関する教育イベントを行うことが、海事部門の従業員が問題に関心をもつきっかけになっていることに注目して欲しい。
毎年、クルーズ産業で働く何百人という男女が、ITF加盟のノルウェー船員組合、イタリアのFIT-CISL、ITFが実施する広範な訓練セミナーに参加し、国際海運の現実から労働組合権や職場の課題まで、あらゆる種類の関連トピックを話し合う。しかし、常に最も人気のあるセッションはHIV/エイズに関するものだ。セミナーでは、専門家による情報、安全な環境で疑問や関心事を追求する機会、非常に深刻なHIV/エイズの話題を気軽に話すことができるようにするための楽しい活動などを提供している。参加者は、日頃のためらいを捨て、行うべき会話に遠慮や躊躇なく入り込める自分自身に気づくことが多い。
HIV/エイズの患者・感染者にとって、時に社会的な偏見は乗り超えることが最も難しい障害となる。したがって、教育者は、HIVはどうしたら感染しないか、HIV陽性の従業員が殆どあるいは全く支障なく仕事や日常の活動を続けることができるのかといったことについて情報を伝えることが極めて重要だ。握手や抱擁を通してウィルスに感染するといった、ありがちな誤解が今も存在する。私たちはこのような根拠のない話をきっぱりと否定する必要がある。
HIV/エイズに対する社会的偏見が依然としてなくならないのは、HIVウィルスが一種の「恥ずべきライフスタイル」に関係しているとの考え方があるからだ。そのため、教育活動の最も重要な目標は、必要な警戒を怠れば誰でも感染し得るというメッセージを強調することだ。
私たちのセミナーでは、クルーズ船のスタッフがお互いの経験から学び合う。必ず患者・感染者が参加し、HIV/エイズが生活にどのような影響を及ぼしたかの経験談を語る。
インドネシアのバリから参加したヨーク・フェルディナンデスは、夫がエイズで死亡した後、3年前の検査でHIV陽性と判明した。ヨークも勇気のある人々の一人で、経験を分かち合うために私たちのセミナーに参加してくれた。
診断直後、彼女は落胆し、希望を失い、すぐに死ぬものと思い込んでいた。母乳で育てていた一番下の息子も検査で陽性が判明した時、彼女の絶望感はさらに深まった。友人も家族も、彼女の精神状態を変えるために何とか援助しようとしたが、何もできなかった。残る二人の息子にウィルスを移すことを恐れ、息子たちに対するキスや抱擁も思い切ってできなくなった。
医者を通じ、地元のHIV/エイズ財団に連絡を取ってからヨークの人生は好転し始めた。彼女はその財団で、正に必要としていた教育を受けることができ、同じ境遇にある女性たちから支えを得た。現在、息子と健康的で幸せに暮らしているとヨークは話す。必要な治療を受けられ、自分が置かれている状況を昔より把握できているからだ。息子たちが将来、成功できるよう、懸命に子育てをしているとヨークは語る。今では彼女も活動家となり、自分が受けたのと同じ教育や支援を他の人に提供している。
もちろん、ヨークと家族にとって生きていくことが依然として厳しい時もある。特に、人々の無知から生ずる差別や嘲笑に直面する時はそうだ。だがヨークは、他の感染者が現状に対処できるよう支援する活動に大きな満足感を感じている。彼女が誰にでも行う助言は、治療を受け、体調と健康を維持し、これまで通りの生活を続ける、というものだ。彼女の使命は「エイズをゼロに」という自らの目標に到達するまで人々の啓発を続けることだ。
こうした教育イベントで、人間がいかに心を開いて自身の体験を語り得るかを知ることは非常に価値あることであり、また、初めのうちは慎重だった参加者がイベントが終わる頃には自らの体験談をしてくれたHIV感染者と抱擁し合う姿を見るのも感動的だ。
セミナーを開催するたびに、参加者は多くのことを学び、多くのことを得た、といつも語ってくれる。私たちはクルーズ船産業の船員に対し、労働条件についてや、いかに健康を維持し、いかにHIV/エイズを理解するかについて、今後も教育を続けていく。社会がHIV/エイズは皆がよくわかっている過去の問題と見なし始め、満足してしまっているため、新たな危険が生じている。現実には、今でも毎年約230万人の新たな感染者が生まれており、この数は一部の船員の間で増え続けている。
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現在、セミナーがフィリピン、インドネシア、インド、ジャマイカで計画されている。

連絡は
seminars@nsu.org
または
www.facebook.com/norwegianseafarersunion
まで
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