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グローバルユニオン
No.28/2014
■法律
 
法的保護が必要なとき

危険を伴うことが多い海運産業の性質上、後に訴訟へと発展する問題を抱える船員は多い。外国の港で帰国する手段もないまま遺棄されれば、あなたも船主を訴えたいと思うだろう。海難事故の後、あなたに向けられた刑事または民事の告発に対して、自分自身を守る必要が出てくるかもしれない。 もし、この種の困難な状況に直面したら、直ちに組合に連絡し、助言と支援を求めるべきだ。雇用契約に定められた全ての関係手続きについて、組合は相談に乗ってくれるか、法的サービスを提供する、あるいは必要なら弁護士を見つける手助けをしてくれるだろう。 万が一、組合の支援を受けられないが、それでも弁護士が必要と感じるなら、弁護士を見つけて事実を説明したり、料金を交渉したり、無料の法的助言を受ける資格があるかどうかを証明したりするなど、面倒な作業をしなければならないかもしれない。以下の手引き書は、ITFとは独立した助言・調査組織の国際船員権利センターのウェブサイトから抜粋したものだ。弁護士を頼む際の国別の具体的な助言など、より詳細な情報は:www.seafarersrights.orgを参照のこと。

1.法律家の種類は?
法律家とは、弁護士だけでなく、仲裁人、法律顧問、法定代理人、法廷弁護士、事務弁護士、相談役など、異なる肩書の総称として世界中で知られている。肩書が何であろうとも、あなたの必要性に合致する間違いのない法律上の代理人を見つけることが望ましい。弁護士を選ぶ時は、あなたが抱える種類の法的問題に経験豊富である弁護士を選ぶべきだ。海岸線を持つすべての国に特有の海事法規と、場合によっては海事法廷があるが、全ての弁護士が海事法に精通しているわけではない。
警告のために一言。あなたを弁護する弁護士は、あなた自身と対立するかもしれない船主または他の海事関係者の弁護を同時に引き受けることがあってはならない。あなたの弁護士は常にあなたの利益のためだけに行動していることを確認する必要がある。

2.何を参考にするべきか
www.seafarersrights.org.:船員への法的サービス提供のための最善慣行憲章に調印をした弁護士と法律事務所のリストが掲載されているウェブサイト。
www.legal500.comwww.chambersandpartners.comのような国際指針と法令集(英語のウェブサイト)
特定の国の弁護士会または取り締まり機関のウェブサイト(但し、外国語であることが多い)
友人や家族の勧め
現地の労働組合や福利組織の勧告
現地の領事館の勧告

3.弁護士を雇う
ほとんどの法的手続きは一定の時間内に取り、弁護がなされなければならないため、弁護士を必要とする法的問題がある場合は、出来るだけ早く弁護士を指名すべきだ。
一旦、見込みのある弁護士を見つけたら、以下について説明するよう弁護士に求めよう:
問題を解決するための選択肢
望む結果を得る可能性
その訴訟に、どのくらいの時間が掛かるのか
遂行する業務に掛かりそうな費用の概算
法律上の援助が得られるかどうか
訴訟で負けた場合に支払わなければならない額
相手方の法的費用負担に備えた防御手段を講じるべきか
どのくらいの頻度で、進展に関する最新情報が提供されるのか(定期的に情報を知らせてくれるよう要求するべきだ)
弁護士のサービスに満足しない場合、どうすればいいのか

4.料金を支払う
弁護士費用を支払う手段としては以下が一般的だが、国によっては利用できないものある。自分にはどのような選択肢があるのかを把握しておく必要がある。
成功報酬あるいは「完全成功報酬制」。自分に有利な結果になった場合のみ、支払う義務が発生する。通常は裁判の結果、受け取る総額の割合で計算する。国によっては成功報酬を「conditionalfee(暫定報酬)と呼ぶが、内容は類似している。
均一料金または固定料金。弁護士が固定された総額を請求する。通常は損害請求額のうちの一定の割合に固定される。これは通例、損害請求が比較的単純または定型通りである場合に提案されるが、この料金がどのサービスと費用をカバーし、何がカバーされないのかを正確に尋ねることが重要だ。
時間料金。弁護士があなたの損害賠償請求に関する業務に費やした時間をベースとする。一時間当たりの料金は弁護士により著しく異なる。また、業務内容により、料金が異なる弁護士もいる。(例えば、法律上の調査を行う場合と裁判所へ出廷する場合では料金は異なる)。
月ぎめ料金。弁護士に所定の料金を支払う。これは、将来に備えるための支払いで、通常、払い戻しがきかず、将来発生する費用を前もって支払っている形だ。問題が訴訟になる場合は別に追加料金を要求されることが多い。
法定費用。特定の国の法律では、規則によって弁護士料金が設定されている。あるいは船員が支払わなければならない料金を裁判所が設定し、承認している国もある。

5.無料の法的サービス
訴訟費用支援:弁護士を頼む余裕のない者が法的サービスにアクセスできることを保証する。しかし、あらゆる国で利用できるというわけではなく、あらゆるタイプの法的問題に利用できるというわけでもない。
無料奉仕:民間の法律事務所で働いている弁護士は、しばしば時間の一部を無料奉仕の(任意の、無報酬の)訴訟に使っている。弁護士が無料奉仕の法的サービスを提供するかどうか、もしそうならあなたが適格かどうかを問い合わせることができる。
非政府組織(NGOs):特定の労働者グループを代表しているいくつかの組織は、無料の法的サービスを提供できる。彼らが何を提供するのか知るために、地元の組合か船員センターに連絡すべきだ。
ヘルプライン(電話相談):最初の情報には役立つが、具体的な助言については法律の専門家と話をすることが必要だろう。

6.事態が悪化した場合
自分の法的問題の処理の仕方に満足できない場合は、弁護士か弁護士事務所または弁護士の職業規制機関に不服申し立てができる。弁護士が怠慢である場合は、法的行動を取ることができる。
どの段階でも弁護士を変えることができるということは覚えておこう。しかし、裁判を急いで進展させようとして新しい弁護士を導入すると、高くつく場合もあることも覚えておこう。また、弁護士を変えた場合は、訴訟関係の様々な締め切りを見落とさないように注意することが大事だ。
弁護士リストと、弁護士の探し方と雇い方に関するより詳細な情報については、SRIのウェブサイトwww.seafarersrights.orgを参照のこと。

国際船員権利センター
(SRI)は、船員と法律に関係する問題に関して、調査や教育、訓練を通じ、船員の権利を促進することを専門とする独立したセンターである。
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悪徳弁護士に注意するよう呼びかけるフィリピン人船員

世界最大の海事労働者の供給元であり、競争激しい海事法律産業の本拠地であるフィリピンは、法的支援を必要とする船員にとっては危険なところかもしれない。ITFマリタイム・オペレーション責任者のジョン・カニアスが説明する。

フィリピン人船員はグローバルな海事労働者の約3割の約30万人いる。
この数字をフィリピンの海運産業の訴訟率が非常に高い現実に照らしてみると、この国の海事弁護士市場の潜在的な規模が明らかになってくる。フィリピンで仕事を求める弁護士は非常に多い。法律専門家からの魅力的な援助の申し出が、常に費用対効果の高いものであるとは限らず、また必要ですらないものかもしれないということを船員は認識すべきなのだ。
フィリピンの団体交渉条項では、調停を通じて損害賠償請求を決定できる法的枠組みが規定されており、その多くは、弁護士のサービスがなくとも、海外で労使紛争を解決するのに十分である。
船員が利用できる法的プロセスにはいろいろある。1件当たり5千ペソを超える損害賠償請求が絡む場合は、全国労使関係委員会の管轄となるが、比較的少額の損害賠償請求の場合は労働雇用省の地方局(強制仲裁の場合)か、全国調停仲裁局(任意仲裁の場合)に委ねられる。
これらのシステムのもとに、弁護士は自らのサービスを売り込む機会を与えられている。船員やその家族による損害賠償請求は、主として労働契約の途中破棄や、決められた死亡・障害・医療給付金の未払いといった、深刻な違反の申し立てに関係する場合が多く、多くは莫大な金額が絡んでいる。
海事労働弁護士間の競争は激しく、船員とその扶養家族に気に入られようと、多くの弁護士があの手この手を使っている。弁護士が使う手段の中には全くもって信頼できないものもあるため、船員とその家族は用心する必要がある。例えば、悪辣な弁護士とその仲間が見込みのある依頼人に一見、魅力的に見える貸し付けや前払い金を提供することも多いが、ローン金利が非常に高く、利息が膨れ上がり、結局、船員が最終的に受け取る賠償金のほとんど全額が金利の支払いで食いつぶされてしまうことなどもある。また、新たな依頼人を確保する手助けをさせるために、紹介者報酬を提供することで船員を仲間に引き入れようとする弁護士もいる。
知らずにこの手の悪辣な弁護士を雇ってしまった場合、白紙の紙を提示され、そこに署名するように言われるだろう。あるいは法外な料金を請求され、これから受け取るに違いない莫大な決着金で容易に支払えるだろう、といって安心させるかもしれない。実際には、彼らが約束した金額が裁判所によって裁定されるかもしれないし、そうならないかもしれないが、弁護士は依然としてあなたに料金を支払う責任があると主張するだろう。
このような種類の策略から自分自身を守るため、フィリピン人船員は以下のチェックリストを参考にすべきだ。

弁護士を指名する前に:
1) 団体交渉協約をチェックし、組合の助言を求める
2) フィリピンの改正労働法は、法的サービスについて請求できる料金を決着金額の10パーセントに設定していることに注意する。
3) 正しい情報を得た上で同意する場合を除き、白紙や何らかの契約を約束させる、いかなる文書にも署名しない。
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