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グローバルユニオン
No.28/2014
■港湾
 
コンテナ重量規制を求めるITFの運動

コンテナの重量申告が不正確だと、サプライチェーン全体に危険が及ぶ。コンテナ重量の新規制をしっかりと履行させるためのITFの運動について、ITF港湾部会のジェシー・フェン・サミュエルセン戦略キャンペーン・コーディネイターが報告する。

コンテナンの実際の重量がマニフェスト上に申告されている重量と異なることはあまりにも多い。
コンテナの重量を正確に把握することは、中に危険物が入っているかもしれないコンテナの揚げ積みや輸送を行う上で非常に重要だ。船舶にコンテナを積載する作業は、安全な輸送を確保するために専門的な技術が要求される。重量が間違っていると、積載作業員の負傷、液漏れ、貨物の損傷、船舶の沈没など、深刻な事態に発展しかねない。
また、多大な人的損失を生み出す可能性もある。過重積載コンテナは、それを荷役する港湾労働者、海難事故のリスクに晒される船員、陸送するトラックや列車の運転士、そして、交通事故や鉄道事故が発生した場合に巻きこまれる可能性のある一般市民にとっても危険な存在だ。
さらに、荷役危機や道路・線路等のインフラへの損傷、輸出税回避、保険金請求、海上での紛失、環境破壊といった問題にも関係する。
最近、国際海事機関(IMO)で、海上人命安全条約(SOLAS条約)改正の方針が採択された。その結果、貨物を収納したコンテナの個々の重量を計測するか、収納された貨物の重量と空のコンテナの重量を合算により重量を証明しなければならなくなった。安全強化の試みは、いかなるものでも歓迎すべきだ。しかし、改正案は履行や誤申告に対する罰則の問題について明確な答えを出していない。このままでは、サプライチェーンの中で労働または生活する全ての人へのリスクは解消しない。
重量計測の義務化を求めるITF案は理想的な基準として評価されたが、ハードルが高すぎることや時間が足りないことを理由に否決された。しかし、ITFの見解が船積み前の重量測定の義務化であることは変わらない。
重量計測の最も合理的な場所は、貨物がコンテナに積載され、封印される港だ。誤申告がなされているものや、安全の脅威となるものは船積みすべきではない。返送されたり、岸壁に置き去りにされたりする可能性があるとなれば、不実申告への抑止力ともなるだろう。
コンテナの重量問題は、サプライチェーン全体の労働者に影響が及ぶことから、ITFは港湾労働者だけでなく、船員、鉄道労働者、道路運送労働者も巻き込んで運動を行っている。業界、市民団体とも協力しながら、過重積載コンテナが交通運輸労働者のみならず、一般市民、環境にまで危険を及ぼすことを訴え、意識啓発に取り組んでいる。
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コンテナの重量規制を求めるITFの運動に加わろう!

ITF加盟組合が運動の担い手となり、各国政府にコンテナの重量規制や不実申告に対する罰則の実施を要求している。あなたもこの運動に加わり、安全を守ろう!

www.itfglobal.org/en/transport-sectors/railways/in-focus/container-safety/
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労使協議なしの自動化導入反対

混雑した港の機能の一部を自動化することは理にかなっていると言えよう。しかし、科学技術は安全や作業向上のために活用されるべきであり、組織労働者を攻撃するための言い訳として利用されてはならないとジェシー・フェン・サミュエルセンは主張する。

人間が技術に置き換えられるのはいつの日か?今、港湾業界で盛んに論じられている問題だ。既に、ゲートやセキュリティー、スケジュールなどのシステムの自動化は何年も前に実施されている。しかし最近、クレーンやノンロード車両の運転など、港湾労働者が伝統的に行ってきた作業を機械が代わりに行い始めている。
これらの変化に対して、組合は組合員の雇用を守るために奮闘しているが、多くのケースにおいて、コスト削減や組織労働者の弱体化を目的に自動化が導入されているように思われる。
既に多くのターミナルが半自動化されている欧州では、ITF加盟組合が組合員の雇用確保を使用者に約束させた例もある。日本、韓国、オーストラリア等の組合も、自動化導入の労使交渉で成功を収めている。米国のILWUとILAは、自動化で仕事を奪われた労働者に別の仕事を与えるか、再訓練を実施するという条項を団体協約に盛り込ませた。
サウジアラビア、ドイツ、オランダでは、完全自動化の港湾が増え続けている。完全自動化は高コストのオプションであるため、現在、その予算を確保できるターミナルは決して多くない。しかし、世界の港湾の約3%が既に完全自動化されており、新しいモデルも生まれている。完全自動化ターミナルでは、作業員数は最小限に止められ、遠隔操作で運営されている。港湾から離れた場所で操作されることもある。
世界で最も早い時期に完全自動化が導入されたロッテルダム港(オランダ)を組織するFNV(ITF加盟)は、長年、自動化の問題に取り組んできた。FNVの対応は、余剰となった労働者がコントロールタワー、セキュリティー、整備、保守などで新たな役割を果たせるように支援するというものだ。その際、可能な限り、変化を労働条件の改善につなげるように尽力している。
ITFに加盟する港湾労組は、急速に普及する自動化が強い組合を排除するための手段として利用されることを懸念している。この懸念が現実となれば、船員にも影響が及ぶ。船員はもともと港湾労働者のいない港など好きではないが、事態はそれだけにとどまらない。船舶乗組員の賃金未払いや基準以下の労働・居住条件の問題を寄港地のITFインスペクターが発見した場合、現地の港湾労働者に支援を依頼して問題解決を図る場合が多いのだが、港に労働者が存在しなければ、このような支援も成り立つはずがない。
ITFとITF加盟組織は、自動化が導入されている場所、理由、労働者への影響をよりよく理解するために、会議やネットワークを通じて学び合い、対応を検討したり、グローバルな連帯・運動を構築したりしている。このような協力体制は、例えば、DPWのようなGNTオペレーターが現代化の名の下に反労組活動をしかけてきた時などに効力を発揮する。
どうやら、自動化ターミナル設備の販売会社が、人件費削減と組合「問題」排除の手段として、自動化を港湾オペレーターに売り込んでいるようだ。最近開催されたロイズリストのセミナーでプレゼンテーションを行った「労務管理ソフト」の制作会社は、ソフト導入の主な利点として、人件費の削減を掲げていた。同様のプレゼンテーションを行った別の企業は、自動化の主な検討材料として、「米国西海岸のILWUの賃金、手当、慣行」を挙げていた。また、他の複数の企業が、自動化を通じて「労務問題を回避」することに言及していた。
ITF加盟組合は進歩に反対しているわけではない。ターミナル運営の変化は、いかなるものも組合と協議すべきであると主張しているのだ。自動化は生産性や安全性の最大化のために導入されるべきであり、組織労働者を攻撃するために利用されてはならない。
ITF加盟港湾労組はこれからも自動化の最善慣行を共有し、この問題への組合の関与を要求していく。自動化=安全な港を意味するべきであり、未組織の港を意味するものであってはならない。
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明日の港湾のために

港湾も環境問題への対応が求められているが、対応によっては、労働者に悪影響が及びかねないので、組合が政策立案に初期段階から加わることが非常に重要だとITFのポーラ・ハミルトン港湾部次長は言う。

欧州運輸労連(ETF)が2011年に実施した調査によると、港湾の環境パフォーマンスの向上は労働者にプラスとマイナスの両方の影響を及ぼすことが考えられる。温暖化ガスの排出削減は労働環境の改善、つまり、労働者や地域住民の健康向上につながる一方、環境問題への対応コストは賃下げや人員削減の形で労働者に押しつけられるからだ。
だからこそ、組合は使用者が環境対策の検討を開始した段階から交渉に関与すべきだ。雇用喪失と「グリーン・ジョブ」の創出は、環境保全や開発・成長のバランスと同様に重要な課題である。
ジュディス・アブカITFアフリカ地域港湾部会議長は、「東アフリカ沖の油田・ガス田の発見によって、アフリカは大きな課題を突き付けられた。組合も環境対策に積極的に関与していかなければならない。我々は従来型のアプローチを改め、これらの油田の発見が東アフリカの環境にどのような影響を及ぼしていくのかを真剣に考える必要がある。賃上げや労働条件の改善だけを要求していてはだめだ。全ての団体協約に、港の環境対策に関する条項を盛り込ませるべきである」と語る。
業界の中には、環境対策を理由に労働者の権利を侵害する方針(自動化等)を押し付けてくる企業もある。組合が、業界、自治体、政策立案に積極的に関与すればするほど、港の将来に労働者の懸念が反映されることとなる。
港湾産業の抜本的なシフトを促すと思われるこれらの動きが、環境的・経済的のみならず、社会的にも持続可能なものとなるためには、労働者の声が中心に据えられなければならない。
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荷役は港湾労働者にまかせなさい

船員が港湾や船内で荷役することは、自らの安全を危険にさらすだけでなく、団体協約に違反するとともに、最も強力な味方である港湾労働者の雇用を脅かすことになる

貨物を船舶に揚げ降ろしする作業は、様々な技術を必要とし、かつ、危険を伴う作業である。それらの技術や作業方法は変化していくため、作業のための訓練を受けた港湾労働者も、習得した技術や知識に日々、磨きをかけていくことが求められる。これらの仕事が船員によって行われることになれば、あらゆりレベルで警鐘を鳴らしていかなければならない。
船員は、船員としての通常業務に加えて、コンテナのラッシング作業を定期的に指示されているが、作業のための適切な訓練を受けていないことが多い。このような慣行は、作業に関わる全ての人を危険にさらすだけでなく、船員の疲労問題にもつながりかねない。疲労は海難事故の主原因であり、各国の船員組合が長年取り組んでいる重要な課題である。
一方、港湾労働者は、船員のこのような作業が彼らの仕事を奪う、あるいは、彼らの賃金・労働条件を脅かしかねないということを分かってほしいと感じている。船員と港湾労働者は歴史的に強い連帯で結ばれている。FOC船乗組員の権利保護のシステムは港湾労働者に支えられてきた。港湾労組の影響力を船員のために使おうという彼らの善意−例えば、乗組員の賃金未払いをめぐり争議中の船舶の積み降ろしを拒否すること−によって、数えきれないほどの利益が船員にもたらされてきた。
ITF加盟組合の団体協約には、組合との合意なしには港で船員に荷役をさせてはならない、荷役は訓練を受けた港湾労働者が行うべきであるとする重要な条項(詳しくは右のコラムへ)が盛り込まれている。この条項は、港湾労働者と船員の安全および雇用を守る闘いにとって非常に重要な武器となっている。船員によって荷役が行われていることがITF加盟組合の知るところとなれば、ITF本部に連絡が行き、対策が講じられる。
英国では、ITFに加盟するユナイト労組が、港湾労働者と船員の相互利益のために両者の協力を一層強化する新たな取り組みを開始した。ITFインスペクターとユナイトは、全国の港湾事業者と共に、荷捌きの仕事は港湾労働者が行うという原則を強化することで、船員の安全の促進と港湾労働者の雇用確保に取り組んでいる。既にリバプール港ではITFと港湾オペレーターの間で覚書が締結され、港湾労働者の雇用維持につながっている。
ユナイトとITFは合同で英国の港湾でイベントを開催し、多くの船員が直面している劣悪な居住・労働条件を港湾労働者に伝えている。港湾労働者と船員は相互に支え合ってこそ強くなれる。そして、両者の権利を守るためには、組合加入が非常に重要だ。
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船員は荷捌きをすべきでない

全てのITF承認協約には次の条項が盛り込まれている。

非船員業務
船舶乗組員、もしくは会社との終身雇用または期間雇用を問わず乗船する者は、当該港湾労働者またはITF加盟組合に事前に認められ、かつ、その作業に対して適切な補償を得る場合以外は、伝統的または歴史的に、港湾労働者が行ってきた荷捌きに関連する作業を実施してはならないものとする。本条文における荷捌きとは、以下の事柄を含むが、これらに限るものではない。(積荷、揚荷、搬入、搬出、注水、トリミング、分類、仕分け、束積、荷解き、ユニット組み立ておよび解体といった本条文における荷役、および検数、検量、計測、容積出し、検査、受取り、監視、配送、見本抽出、封印、固縛、荷解きといった貨物および物品に関連する作業)
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